泌尿器科医・木村明の日記


MAPWOS~マップウォズ


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ]

PRIASに刺激を受けて、当院で進行中のPSAの高値の人のフォローアップ方針を、
MAPWOSと呼ぶことにしました。
Meguro Azamino Protocol Without Or Sextant biopsy。
無生検もしくは6か所生検による目黒あざみ野プロトコル。

読売新聞でも紹介していただきましたが、当院はPSAが4以上の人を全例生検はしていません。
10未満のときは前立腺体積をもとにした前立腺確率を求め、それをもとに検査を受けるかどうかを患者さんに決めていただいています。

この数式は目黒の病院に勤めていたころに作ったものです。
勤務医時代は確率を提示し、「私にできるのは降水確率を示すことだけです。傘を持っていくかどうかはあなたが決めてください。」と説明していました。
自宅がある、あざみ野(ごめんなさい、Center-MinamiもTsuzukiも子音なのでAzamino)近くで開業してからは、
「確率は5%未満です。つまり一人のがん患者さんを見つけるために19人に無駄な検査をすることになってしまいます。」
と確率が5%未満なら、針生検を勧めなくなりました。
この式で確率が5%になるのは、PSA densityが0.19の時です。
つまり当院で針生検しているのは、PSAが10以上か、PSA densityが0.19以上の時です。
突然ですが、ここでPRIASの話に。
国際的な取り決めに従い、アクティブ・サーベイランスにエントリーできるのは、
PSAが10未満で、PSA densityが0.2以下の時です。
つまり何が言いたいかと言うと、当院でがんと診断がついた方は、すぐに治療すべき方々です。
PRIASが決めたPSA densityが0.2、と私が選んだ確率が5%との不思議な一致に驚いているところです。
Sextant biopsy(6か所生検)とPRIASが義務づける8か所生検との不思議な一致については、
明日のブログ、「MAPWOSの6か所生検とPRIASの8か所生検」に続く。
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