泌尿器科医・木村明の日記


アクティブ・サーベイランス(PSA監視療法)


一昨日の講演会では、アクティブ・サーベイランスの話が大変参考になりました。
無治療経過観察、という表現では、治療しない消極的な姿勢に聞こえるため、積極的に見ていきます、という意味で、アクティブ・サーベイランス。
PSA監視療法とも訳されますが、PSAだけを見ていくのではなく、1年後には再生検も行います。
一昨日の講演会では、アクティブ・サーベイランスのやり方について質問がありました。
講師の先生は、
「それは今進行中のプリウス(?)の7年目の結果が出てくれば明らかになるかも。」
とか、
「プリウス(?)が1年目・4年目・7年目の生検を義務付けていることが、PSAだけ測定していたのでは、進行は判定できないことの裏返しでしょう。」
とか、回答されました。
懇親会場に移動してから、講師の先生に、「プリウスって、プロペシアに関係したスタディーですか?」と聞いたら、
「アクティブ・サーベイランスの国際的なプロスペクティブスタディーです。香川の筧教授も参加されています。」
とのこと。
その辺のキーワードを組み合わせ、やっとPRIASのサイトを見つけることができました。
PRIAS。PRIUS(プリウス)ではありませんでした。
Prostate cancer Research International:Active Surveillance
アクティブ・サーベイランスの方法を国際的に統一して、成績をプロスペクティブ(前向き)に見て行こうという現在進行中の研究です。
治療法としてアクティブ・サーベイランスを選ぶとは、
3か月ごとPSAを測り、
最低、1年目・4年目・7年目・その後は5年ごと生検を受け、
PSAの上昇率が高いときはその年にも生検を受ける、
ということです。
この方法でフォローし、
必要になった時、前立腺摘出術もしくは放射線療法を受ければ、進行がんになってしまう確率を5%未満にできるはずだ、
それを証明しよう、というのがPRIASの目的です。
手術が嫌だから、アクティブ・サーベイランスを選ぶというのはだめです。
必要になったら、手術か放射線を受ける覚悟がある人だけが、PRIASにエントリーできるのです。
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