泌尿器科医・木村明の日記


MAPWOSの6か所生検とPRIASの8か所生検


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ]

PRIASのことを書いた日、事務長はうちでやっているのもPRIAS?って聞いていました。
当院には、横浜市の〇〇さん

千葉の男性のように、3か月ごとPSAの採血に来られている患者さんが多数いらっしゃいます。
そして、PSA densityを元にした確率が5%以上になったら、生検を実施します。
PRIASでは、
8か所生検で2か所以下のコアからのみ大人しい(グリーソンスコア6)がんが出た人で、
PSAが10未満、PSA densityが0.2以下なら、治療はせず、
3か月ごとPSAを採血し、PSAの増加速度が速ければ再生検を行います。
MAPWOSとPRIAS、3か月ごとPSAを採血し、PSAが上昇したら生検、という流れは同じですから、
門前の小僧の事務長から見れば同じかもしれませんが、
大きな違いはMAPWOSの対象患者さんの病名は「前立腺癌疑い」、
PRIASの対象患者さんの病名は「前立腺癌」です。
さらに当院では生検の結果、がんが見つかれば、手術や放射線ができる大病院に紹介してますが、
PRIASでは、8か所生検で見つかるがんが2か所以下なら、治療はせずに、
また3か月ごとPSAの採血でのフォローとなります。
当院で行っているのは6か所生検。それでがんが見つからなければ、
また3か月ごとPSAの採血でのフォローとなります。
6か所生検でがんが0と、8か所生検で2か所以下、
6か所生検でがんが0、は、8か所生検で2か所以下、の必要条件ではありませんが、十分条件です。
こう比べていくと、当院でやっていることは、ロッテルダムの先生方が決めたプロトコールにきわめて近いことに気付きます。
私が患者さんにしている説明は、「がんの可能性は5%未満ですから、まだ生検しなくていいですよ」。
オランダの先生方が患者さんにしている説明は、「大人しいがんなので、まだ治療しなくていいですよ」。
私がやっていることは、無駄な生検を減らしているだけでなく、がんという診断をつけないで行っているアクティブ・サーベイランス、と言えないこともない、と自信を深めました。
先週金曜日にNHKでオランダ紀行を放送していました。オランダ、行ってみたいです。
来年の夏も電力不足なら、夏休みを2週間ぐらいにしてオランダの風車を見に行こうかな。
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