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演者の略歴

第8回日本腎泌尿器疾患予防医学研究会口演原稿



PSA高値で検診施設から紹介された患者での前立腺癌陽性率

木村明、吉田雅彦、斉藤功 (東京共済病院泌尿器科
田村政紀 (PL東京健康管理センター)

PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺癌のスクリーニング検査として、非常に有効であり、一定年齢以上の男子受診者に、ルーチンに測定を行う検診施設が、増加しつつある。PSA高値で検診施設から紹介された患者での前立腺癌陽性率を集計し、PSA値や超音波検査を基に、前立腺針生検が必要なグループと不要なグループに分けることができるかについて検討した。

スライド1

(1) PL東京健康管理センターでPSA高値を指摘されて当科に紹介され、平成8年7月より平成10年6月までに、前立腺針生検を行った94例を対象とした。





スライド2

(2) PL東京健康管理センターで使用しているPSAのキットは、ランリームPSA(東亜医用電子)で、Tandem-Rとほぼ同じ測定値を示す。





スライド3

(3) 前立腺針生検は、平成9年7月までは触診下に経直腸的に6カ所生検、平成9年8月からは、超音波ガイド下に経会陰的に6カ所生検を行った。







スライド4

(4) PSAが10 以上の32症例では12例(37.5%)が癌であった。PSAが10未満の66症例では7例(11.3%)が癌であった。  







スライド5

(5) スライドに各群の年齢の平均を示したが、差がなかった。従って、age-specific PSAについては、今回検討しないことにした。  





スライド6

(6) PSAの値が10未満の症例での、癌群、非癌群の、PSA、超音波計測前立腺体積、PSADの平均値を示す。PSAの値が10未満のときは、PSAは、癌か、癌でないかの判断には、役立たなこと、超音波計測前立腺体積は、癌では小さいこと、従って、PSAを体積で割った、PSADは癌で高値となることが、示されている。  





スライド7

(7) PSA、PSADのROC曲線を示す。ROC曲線は、横軸が偽陽性率、縦軸が癌を見逃さない率なので、左寄りにある、PSADの方が偽陽性率が、正常値と異常値の境界をどこに設定するかにかかわらず、低いことが示されている。しかし、癌を見逃さないところに正常値と異常値の境界を設定すると、偽陽性率が64%にもなり、前立腺針生検不要群を抽出するのにPSADはあまり有効でなかった。















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スライド8

(8) 検診施設でPSA高値を指摘された患者から、よく受ける質問に、自分が前立腺癌である可能性は何%か、というのが多い。 そこでPSADを元に、確率を算出することを試みた。使用した関数はロジスティック関数で、λが-∞の時、pは0、λが+∞の時、pは1、λが0の時、pは0.5となる。λはPSADの一次関数で、係数は判別分析により求めた。係数9.9は、PSADの分布が、癌と非癌とで、どれくらい離れているかを反映した数字で、切片- 4.8は、癌と非癌との境界線を反映した数字である。



前立腺体積・PSAによる癌の確率の早見表
前立腺体積・PSAによる癌の確率の計算フォーム  



スライド9

(9) 対象の62人で癌確率を計算し、その値が大きい方から、順に6、7人ずつ10組に分け、それぞれの組での、計算上の癌患者の数と、実際の癌患者の数を示した。PSAD計算の元になった前立腺体積が平成9年7月までの症例は、経腹的超音波検査によるものであることを考慮に入れれば、かなり満足のいくものと言える。  













スライド10

(10) まとめ PSA値がgray zoneにある症例において、PSADは癌で高値を示したが、偽陽性率が高く、前立腺針生検不要群を抽出するのにはあまり有効でなかった。 PSADの値をもとに求めた前立腺癌確率は、前立腺針生検を受けるかどうかを患者本人に選択してもらう際、有効と思われた。




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