泌尿器科医・木村明の日記


内助の功:コラーゲン:コホート研究


水金の午後に加え、土曜のローテーションにも入ることになった事務長、助かっています。

「水金の午後と土曜に働いてくれる人募集!」なんて求人広告を出しても、応募してくださる方はいないでしょうから。

「開業に向けての第1歩:家族の同意を取り付ける」、という開業コンサルタントのアドバイスは破ってはいけません。

もっと稼げと院長にいじめられ、その方針にエビデンスはあるんですかと部下にいびられても、

奥さんの同意なしに、勢いで辞表を書いてはいけません。

亜沙郎先生の奥様は看護師ですが、うちの事務長は元銀行員。

お金の計算には詳しいですが、採血してくれるわけではありません。

逆にお金に詳しい分だけ、離婚したとき、事務長口座にはいっぱい、院長口座のお金は空っぽ、という不安もあります。

でも、医学については素人、というのも、素人向けの説明を考える上では貴重です。

静岡にて;

「Q.摂ったコラーゲンって、どうなるの?

A.カラダの中ですべて分解されます。一度吸収してから、カラダへ取り込んだものが、あなたを美しくするコラーゲンになります。」

について、

私:「この説明変でしょう?

Q.ベンツを輸入したらどうなるの?

A.港で解体して、鉄とプラスティックとガラスとゴムに分解し、工場に運ばれて、車の材料になります。

みたいでしょう?」

事務長:「でも、それでもできた車はベンツでしょう?」

たんぱく質とアミノ酸の関係など、生化学を勉強していない人には通じない、例えだとわかります。

事務長:「コホート研究って何?」

私:「コホートは古代ローマの兵隊たち。ある集団を前向きに観察する統計研究のことを前進するローマ軍の姿に例えたらしい。」

事務長:「前向き研究でないのは何?」

私:「後ろ向き研究。前立腺癌になった人に昔どんな生活をしていたかを聞くような研究。」

事務長:「なんだ。前向きとは未来、後向きは過去のことなのね。」

そうなんです。プロペシアの前向き研究とは、プロペシアを処方された人たちの今後を見ていくことであって、

プロペシアに都合のよいデータを出すべく、「前向きに検討させていただきます」という意味ではないのです。
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