茶色いシミについて

≪老人性色素斑≫
老人性色素斑解説
老人性色素斑
■一口で言うと・・・日光照射、加齢などにより出現する顔面の色素斑です。外来ではもっとも多く経験します。
■診断は?
☆顔面に生じる扁平な色素斑。色調は淡い褐色から黒色調まで種々の段階があります。境界明瞭・ほぼ円形であることが必須なのです。いびつな形状、濃淡混在、色調が多彩、赤みが強い、青い、などの場合は他の疾患を考えます。特に悪性黒色腫 と基底細胞癌を除外します。
このシミ、実は時の経過とともに隆起し、老人性疣贅(脂漏性角化症)に移行する場合が多いのです。
☆鑑別診断は?
①メラノーマ(形が不整形、しみだし、濃淡不整、ダーモスコピーが必須)
②基底細胞癌(日本人では黒いしみの様な外観なので非常に紛らわしい)
③日光角化症(「赤みのあるシミ」)
④ADM=真皮メラニン(やや青みがかった色素斑)
⑤太田母斑(多くは色素斑の分布・形態)
⑥炎症後色素沈着(かっての炎症歴?)
⑦薬疹(あらゆる形態をとる。「理由のない不思議な色素斑」)
⑧雀卵斑(発症時期が早期です。特徴的な分布)
☆病理は?表皮ケラチノサイトの日光・紫外線による変化です。メラノサイトに異常はありません。時間の経過とともに表皮が増殖し、老人性疣贅に移行することが多いのです。
☆説明 紫外線による皮膚の防御機構が働き、ガンにならないよう、色素を作り出してしまった状態です。ほっておくとますます皮膚が増殖しイボのような盛り上がりとなることもあります。
■治療について
保険では 対処法なし
自費では
◇ 治療①ピコレーザーを使用しております
レーザー照射の様子
☆照射直後は白色に変化、すぐに黒色に代わります。微量な出血を伴うことがあります。照射後は抗生物質軟膏(アクアチム軟膏など)を外用し、非固着性のドレッシング保護とします。

レーザー照射 直後の状態 このあと黒いカサブタになります。
☆<自宅での処置> 局部の洗浄は積極的に勧める。ただし過度な摩擦に注意。洗浄後抗生物質軟膏を塗布、非固着性ドレッシング保護とします。心配なことがあれば医院を受診してください。おおむね1週間後2週間後 1か月後に再診しましょう。
☆1か月後にはピンク色の肌が出現します。しかしその後一時的に炎症後色素沈着を生じます。遮光すれば問題はありません。数か月で徐々に落ち着いてきます。レーザー治療の効果は完全ではなく「ゼロ」にはなりません。
☆上記のようにならない例も多数あります。例えば半年以上経過し、患者が「不十分である」と感じることもあるのです。そのため初回照射時に以下の説明をします。
説明1:「色素斑は増殖し、1回のレーザー照射ではその表層が除去されるのみの場合があります。そのような場合は再照射となります。金額はおおむね初回の半額で行っております。」。
説明2:「必ずしも通常の治療経過とはならない場合もあります。その点はご理解ください。色素斑によるレーザー治療の効果について当医院が100%保証することは致しません。不十分な治療効果の場合でも 再照射はお金がかかります。ただし初回よりは割引となりますので安心ください」
☆治療上の注意点
●老人性疣贅に移行している場合は効果が得られないことがあります。その場合は炭酸ガスレーザーを用います。
●肝斑には照射しません。しかし肝斑があるかどうかは大変難しいのです。肝斑があればその部位にレーザー照射はしません。

「肝斑」の例(上記)