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2000年9月の常識

大阪城に住む/大阪のクマ/たんつぼ/新連載「関西エロス#1」/ささ丸マンガ/あとがき


「西の常識」第五回(ミリオン出版「GON!」2000年9月号に掲載)

◆先の見えない不況。失業率はとどまることを知らず戦後未曾有の高率を日々更新している。ということで、日本中の街角にはさまざまなルンペンさんがあふれている。さて、大阪は行政の調査による暮らしにくさでは、全国有数の都市といわれておりまするが、その市内には一万人を優に超える方々が野宿で生活しているのである。これって、大阪が暮らしやすいコトの証明じゃあ〜りませんか。古くから淀川河川敷はその手の方々の居住地としては有名で、バブルを経た今日では、住居の横に家庭菜園をしつらえ、どこからか電気も引っ張りこみ、冷蔵庫にテレビ、ビデオと、かなりアッパーな暮らしをしている方々も少なくない。いっぽう、新しく脚光を浴びはじめた野宿者居留地が、じつは大阪には存在するのである。

 

■太閤秀吉の残党か!?親戚か!? 大阪城に住む人々がいる!!

●来年春に「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」が完成するあかつきまでは、「食」と「お笑い」以外にはめぼしい観光資源などない大阪である。いまのところは、なんとか海外からも見物客が集まっていただけているのはやはり「大阪城」である●余談だが、大阪城はたまたま「大坂(旧表記)」という地名のところに建てたので大阪城になったが、太閤さんの気まぐれで、もし杭全(くまた)に城ができていたら、いまの大阪府は杭全府(くまたふ)と呼ばれていたかも知れない●これではいつまでたっても阪神の優勝は望めない●上町台地の北のはずれ、昔、大坂と呼ばれていた土地に城があるからこそ、大阪は大阪なのである。

●現在、城の中心にそびえる天守閣は、1931(昭和6)年、世界的恐慌の影響でかなり深刻な不況時にもかかわらず、全額市民の寄付(約百五十万円、時価換算でおよそ五百億円とも七百億円ともいわれている)によって完成したもの●平成の大改修も終わり大阪の市民のシンボルとして親しまれている。一時は荒れるにまかせていた大阪城周辺も大阪城公園として整備され、現在は都心では数少ない市民のオアシスでもある●ところが、ここ数年その大阪城に住むひとが増えている。天守閣に住むような剛胆な者はいないが、れっきとした大阪城内、大阪城公園内をオアシス化している方々の数が年々増加しているのである。

 

●天守閣の東南にあたる大阪城公園内に「市民の森」と名付けられ、木々がうっそうと茂る森がある●現在は、そこがほとんどキャンプ場と化しているのである(ちょこっと難民風ですが)●年間約110万人といわれる観光客にバレぬよう、ひっそりと大阪城内に住んでいるのは約千人●キャンプ場らしくアウトドア用テントもちらほらあるが、一番多いのは木々に張り巡らせたロープに防水シートを掛けた簡易テント状のもの●なかには立派な窓サッシやドアパネルを増築している本格的な住居も存在する●おりしも、夫婦ものなのか中年男女のカップル2組が、輸入物のツーバイフォー材で3LDK相当の住居を新築中であった。材料は数日かかって市内各所から建築廃材を集めリヤカーで運んだらしい。お話をうかがうと、大きな声ではいえないがサラ金ふみたおして逃げてる最中だとか。ココは世間で経済難民とよばれる種類のワケありの人々も少なくないが、こうした元気なグループも存在する。

●大阪城は大阪のシンボルであるからしてとうぜん都心に存在している。天守の周囲をとりまく内堀の外側はおおむね大阪城公園である。ということで公園内の森をでれば都会のどまん中、多少の現金さえ所持していれば、そうそう生活には困ることはない●ライフラインのうち水道は、そこかしこにある公衆便所から。電気・ガスなども廃品の発電器を修理して使ったり、ボンベコンロも花見客などの捨てたもので間に合うらしい●一応は公共の公園内ではあるが、とにかく森なので燃料にも困らない●住民たちは、その立場上かなり遠慮しながら生活しているので、この事実は市民にそれほど大っぴらになってはいない関係で、ココがこうなっていることを知らない家族連れやカップルが訪れることも多く、日曜祭日にはごみ箱のなかは行楽地なみにゴージャスなのだという。

●ただ、世の中楽しいコトばかりではなく、毎月のように自殺者もでているらしい。さらに遊歩道路上の片隅には注射器が打ち捨てられているのを発見した。いわゆる都会のデンジャラスゾーンでもある●が、はなはだひねった見方ではあるが、大阪城に居留する人々の存在は、さまざまな意味で大阪は住み易いという事実の証明でもある●「生きることはたやすく、生活することはむずかしい」など、すこし人生を哲学したくなった人はぜひ訪れるべきである。

■今月の気ぃわるい物件

クルマのワイパーにはさまったトカゲ

■大阪(北摂)にクマ出現!?

6月末から、大阪府北部の能勢町、箕面市、池田市、茨木市などでクマの目撃情報が相ついでいる。この地は旧摂津國の北部に相当することから、大阪では俗に北摂(ほくせつ)と呼ばれている。北摂地方はもともと山間部ではあるが、野生のクマが生活できるほどの自然など何処にもなく、現在そのほとんどが住宅地として開発されつくされている。ということでここら辺りの山道を車で10分も走れば住宅地かゴルフ場に出る。

さてクマであるが、北摂の野生動物といえば箕面のサルの知名度が高いことから、おおかたの市民たちは、小太りで色黒のサル(アブレオス?)を眠ぼけたオッサンがクマと見間違えたのではないか、と一笑に付されていた。だが、ついに7月9日、茨木市の山中、宿久庄でクマのものとみられる足跡とツメ跡が発見され、残念ながらクマの存在は確実なものとなってしまった。しかし、野生のクマの生息が確認されているエリアからは少なくとも100キロ以上離れ、そこから移動してきたとは考えにくい。山の中でクマを乗せた、と主張する個人タクシー運転手も池田市に存在するらしいが、コレは大阪ではあたりまえすぎるギャグである。

 

■たんつぼを探せ!!

●たんつぼ君ことM総理のおかげで全国的に知名度が上がり、喜ぶべき「たんつぼの都」大阪である。だが本誌のようなヤング雑誌では、実物のたんつぼがいったいどういうものであるか知るひとは少ないのではないか、と憂いた年長者である主筆は、京阪神の交通機関の主なターミナルを約2日間かけ「たんつぼ探索」を決行した。が、けっこう暑いせいもあって、残念ながら発見することは叶わなかった。むかしは駅のホームや地下街の目立つところに設置されていたものなのだが……。唾液線ホルモンの分泌が日本一活発といわれている泉南のヤンキーたちは、一体どこで痰や唾を吐いているのか。また、奈良や和歌山の奥地から巨大な地下街に迷い込んだネエチャンたちは、口中に貯まった粘つく痰や唾をどこで吐けばよいというのか。腹立たしい気持ちにすらなった主筆でありました。ということで、読者サービスとして、記憶でイラスト化してみました。ちなみに、「つばつぼ」と表示されたのもありました。

【全国のお友達にお願い!】「西の常識」では、「たんつぼを見たことがある」「近所にたんつぼがある」「たんつぼを持っている」など、各種たんつぼ情報を求めています。(註:くれぐれも「こえつぼ」と間違わぬ様)

 

■シリーズ 関西エロス 第一回「土手」

先日、実家へ寄ったときになにげなく外を出歩いていると、この写真の木の下で立止まった。それはもう随分昔になる……、小学校の低学年だった頃、近所の一つ年下の女の子と遊んでいたとき手をハチに刺された。泣きわめいていると女の子の母親が来て僕の腫れかけた手を見るなり「男の子はこんなことで泣いたらアカン」というようなもっともなことを言ったあと、「オバチャンがオシッコかけといたろ」という衝撃的な言葉が続いた。笑ってこんなこと言うオバチャンに対し、どう返答していいのか困っていたがオバチャンは本気だった。子供を家に帰らせたあと、僕の手をひいて家並みから離れた土手の片隅に連れていった。スカートをまくりあげパンツを下ろすと成熟しきった大きな白い尻が表れた。そしてすぐさま僕の手をしゃがんだ太ももの間に導いた。「ハチ刺されにはアンモニアが一番ええねで」と言って顔を少し横向けたので、僕も見てはいけないような気がしてうつむいたと思う。そしてちょっと間があったあと僕の手にオバチャンは本当になま温かい尿をひっかけた。そのあと腰をひねり向きを変えて残りの大量の小水を田んぼの横のみぞに向け、時おり目を閉じ気持ち良さそうに放っていた。お世辞にもあまり容姿の良いオバチャンではなかったのだが、この時は何か良い女性のように感じた。今から思えば少し前からオバチャンの膀胱は小水でパンパンだったに違いない。そしてハチ刺されがオバチャンの心にこのイタズラを芽生えさせた。あの時子供心に妙な興奮と背徳感が入り混じっていた。でも、オバチャンは大人なのになんでこんなことをするのだろうとはあまり考えなかった。今日にまで至るオバチャンと放尿に興奮する性癖はこれがトラウマなのは確かなことだ。歩きながら今もあまり様変わりしていないこの場所で、オバチャンともう一度あの時を再現できればという気持ちになった。そして大人になった今こそオバチャンを木にくくりつけ、あの大きな白い尻をワシ掴みにしてみたいものだ。(上田耕司)

 

■ささ丸マンガ「ビーチ・アニキ」

「ささ丸マンガ館」はこちら 

■あとがき

●さて北摂のクマちゃんですが、「勝尾寺」という水子供養のメッカが近いことから若いヤンキーファミリーが集まることでも知られている観光スポット「箕面の滝」でたこ焼き屋を営業している「クリちゃん」の三姉妹(ただし血のつながりはない)から伺ったお話では、発見者によるとかなり人なつこい子熊のようなので、マニアに捨てられた違法ペットの確率が高い。見つかると猟友会に撃ち殺されちまうので早くどっかに逃げなさいね。

●次号の予定は、「関西レズビアンスポット探訪」「大阪オリンピック」「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)完成間近潜入!」「アメ村グラフィティ」「何でもランキング」「働くおとうさん」「路上のアーティスト」「淡路花博」「シリーズあの人は今」などの中からテキトーに取り上げるつもりであります。

●無責任にも予告するだけでした「WEB版『西の常識』」ですが、関係者の根回しにはもう少々時間がかかりそうな気配が濃厚でありまして、詳しいことなどは近々お知らせできるとおもいます。期待せず待ってネ! お願いっ!

※なお、毎回くどいようですが、本文中の関西の地名・人名などの固有名詞は実在のものと一切関係はありません。

■主筆:二階堂茂

■協力:NGD、ひらま、上田耕司ささ丸

西の常識「沖縄サミット」記念

マニアにはたまらない?「主筆のケツ」ナマ写真プレゼント! は発送をもって終了させていただきました。きわめて少数のご応募者のなかから抽選で約1名、テキトーに選ばせていただき、勝手に発送させていただきました。


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