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2000年8月の常識

関西のホモ/駐車禁止/ウルトラマニアのヘアーサロン/古墳の上で野良シゴト/車に住む/ささ丸マンガ/あとがき


「西の常識」第四号(ミリオン出版「GON!」2000年8月号掲載)

 

◆昨年、覚せい剤取締法違反容疑の罪で起訴され、アッという間にCDがレア扱いになった男色変態ミュージシャンM原敬之が、同時にMDMA(メチレンダイオキシメタンフェタミン:通称エクスタシー)も所持していたことが、主筆の仲間うちで話題になった◆MDMAは、アンフェタミン(通称シャブ)を化学変化させた合成麻薬で、海外ではホモの方々のセックスドラッグ、ゲイドラッグとしても知られている◆そのM原氏が西の「ハッテン場」にときおり出没している、との情報をさるルートから入手した。我が「西の常識」取材班はとるものもとりあえず(ところで「とるもの」って何や?)、阪神間の「ハッテン場」として知られる数カ所を探索するにいたった◆これは伝聞だが、Mの実家は大阪府北部にあり、その男色趣味に目覚めたのもそのアマチュア時代をすごした関西のハッテン場でのことだという◆さらに余談であるが、主筆は仲間うちでは「ちょっとホモ」な人物として知られている。もっとも「ちょっとだけホモ」で、そのほとんどは「女好き」なのよ。ふふふ。

 

■関西のホモ集結? ホモホモビーチ発見!!!

●さて、東京の新宿2丁目、夢の島公園などのハッテン場は全国的にも知られ、近頃は犯罪の温床として何かと物議をかもすことも多い。ホモさんたちの行動はともすれば、保守派層から眉をひそめられたりもするのであるが、そうそう特殊なひとびとではない●古今東西、男色は野生動物のあいだにさえよく見られ、古代ギリシャの哲人や皇帝たちにはじまり未開といわれる民族まで、ほとんど世界の大半に分布している男性の趣味習慣である。ちなみにわが国での正確な起源は不明だが、仏教伝来で僧侶の女犯が禁じられてからではないかとされている。真言宗の始祖である「空海」を男色の始祖とする書も多数存在するが、これは単なる俗説。ともあれ戦国時代には「衆道(しゅうどう)」と呼ばれ武士階級ではさかんにおこなわれていた行為である。織田信長と森蘭丸などはよく知られた男色関係である●徳川時代に入り男色は全盛期をむかる。各地に「蔭間茶屋」「若衆宿」と呼ばれた男色風俗店が設置され、男色にもプロの手が入ることになる●参考までに天和2(1682)年に刊行された、井原西鶴の「好色一代男」の主人公である世之介は、その7歳から60歳までの生涯に、女性3742人、男性725人と関係をもったとの記述がある●男色は、わが国成人男子の趣味のひとつであり、「変態」などではなかったのである。そこんとこも、よーくご理解いただきたい。

 

須磨・塩屋・舞子

●汚れちまった大阪湾。海岸線はどこもかしこも埋め立てられてしまっているので、自然海岸は少ない。完全な自然海岸ではないが神戸の西には、数少ない都心にほど近いビーチがある。須磨海岸は、20年前ビーチボーイズのヒット「SUMA HAMA」で世界的にも知られるようになった阪神間唯一の泳げるビーチである。日差しがキツくなりはじめる頃には、気のはやる若人たちが、乱れた男女交際にうつつを抜かす、夏期限定の生臭いパブリックな風俗地帯である●いっぽう、これは阪神間に共通の地形でもあるのだが、山の迫りくる海岸というロケーションをもつ須磨は、源平の古戦場「須磨の浦」としても全国的に知られている。だが、「スマのウラ(裏)」はすなわち「マス」、マスターベーションの隠語として広く全国に流通してきたことばでもあるのだ。そのことが関係しているのか、20年ほど前から須磨海岸は、秘かにホモのハッテン場として発展し、その世界では有名なスポットとなっている●もっとも、ホモさんたちはシャイなので、海岸全体に大集結するというようなことはなく、とくに海岸最西側、あるいは塩屋浜、舞子浜という駅から遠くどちらかというとさびれたポイントをホモさんたちは選んでいた。遠慮したわけね●今回の取材はとうぜん「海開き」前ということで真夏の全盛期ではない。が、真っ白いフンドシをキリリと締めたイナセな、しかも年期のはいった中年ホモさん(サムソン系)が約2名と、外人(白)ホモが1名という状況であった。ところで、何故に外人は海辺で本を読むのだろう。どうでもいいことだが。

 

泉の広場

●大阪梅田の地下街「ホワイティ梅田」の東の端に「泉の広場」がある。中央部に小さな噴水(泉)があり、泉の周りには公衆電話やベンチがある。ホモさんたちはここでハッテンするらしい●地上に上がれば至近距離にホモ映画専門上映館(現在は閉館)が存在したという地理関係や、なにかと便利な公衆便所も設置されていることから、大阪の都心部唯一のオープンなハッテン場となっていた●ここ数年は、近所のミニシアターで、年に数回「レスビアン・ゲイ映画祭」などが開催されるときのみ往年の盛況をみせる●ホモ上映館の閉館を知らない地方のホモさんが、過去の情報をもとに決まって訪れる場所でもある●某日、周辺にたたずむオッチャンらを定点観察した。約2時間で約4名のホモとおもわれる人物を発見することができたことを報告しておく。

 

新歌舞伎座裏

●ゲイとホモはどこが違うのか? ゲイバーとホモバーは同じではないのか? 成人男子として見過ごすことのできない大きな問題である●主筆が知るかぎり、ホモバーには3種類ある。ひとつは、経営者はノーマルでお客がホモ。ふたつ目は、経営者がホモでお客はノーマル。最後に、経営者もお客もホモ、の3種である。当たり前だが、経営者かお客にホモがいないとホモバーは成立しないのである●大阪ナンバ御堂筋沿いにそびえる新歌舞伎座の裏には、会員制バーが並ぶ細い路地がある。主筆は下戸なので酒場情報に疎いが、ここらあたりは関西でも有数の歴史あるホモバーばかりなのだそうだ●歌舞伎映画演劇関係者にホモさんが少なくないのはその見てくれだけでも判断がつくが、もともと歌舞伎に代表される演劇興行のなりたち自体が、わが国の男色の歴史と深く関わっているのは明らかなのである。

 

■今月の気ぃわるい物件

某公衆浴場のエレベータ内で撮影された主筆のケツ

 

■だれでもやってるねんけどな

大阪には「ゴト日」と呼ばれている商(あきな)い習慣がある。始まったのは戦後の混乱期といわれ、商品を仕入れる商人と問屋が、お互いの金銭的負担を軽減するために「5と10」のつく日ごと小刻みに決済するシステムである。というわけで、毎月の5、10、15、20、25、30日はゴト日となる。なかでも20日は大会社の決済も重なり、大阪市内全域が集金目的のクルマの違法駐車で混乱のきわみと化す。行政と警察は、十年ほど前から毎月20日を「ノーマイカーデイ」とし、クルマの都心部乗り入れをどうにか排除しようとしているが、大阪人はそうしたマナーなど気にはしない。みんながマナーを守ると都心はガラガラになり、誰かが「得」をすることが目に見えている。大阪人は他人に得をされるとくやしい。どうにかして自分も得をしたい。自己中心的でワガママな性格である。罰金というリスクがあるにはあるが、運悪く警察に発見されない限りは「得」なのである。  

 写真は、とあるゴト日、大阪市内で撮影されたもの。ワイパーに挟まれた警告チラシの枚数はかなりのものだが、どれもこれも法的拘束力はなく、単なる「オドシ」なので、ビビる者などいないのである。

 

■ウルトラマニア?ヘアーサロン

 奈良のウルトラマニア発見! こーゆーのってゴージャスなのか中途ハンパなのか…。目立たないのではじめはよくわからなかったけど、よく見るとウルトラ兄弟や怪獣たちがヘアーサロン看板の名前の横にズラーリとくっつけられてます。さぞかしここのオーナーさんも観てたんでしょうね。アッシもずっと観てたもんね〜。個人的にはウルトラセブンが好きです。セブンの相手ってウルトラマンに比べると以外と怪獣が少なくて、等身大の宇宙人とかが多かったからなんかリアリティあったしSFしてたような記憶がある。まあ、ほとんどは途中で大きくなってしまうので失望したけど。余談ですが、若き日の松坂慶子が出てたのなんか傑作。松坂慶子が花の匂いを嗅ぐんですが、その花についてたミクロの怪獣かなんかが鼻に入って(おやじギャグ)巣食い、鼻孔の奥あたりで血を吸い続けるというお話しなんですけどね、今から考えればなんかヤラシかったりして、女体に寄生するなんて。しかも血を抜いて弱らせるとなるとこれは立派な瀉血プレイやないのか。そもそも花を媒介に寄生するなんていう他力本願のちまちました作戦がなんともダニっぽくて好感もてましたよ、ちょっと投げやりな営業って感じです。結局セブンも小さくなって鼻の穴めがけて入っていってコイツをシメあげてメデタシ、メデタシ。この回のウラ版としてB級アダルトなやつ、女壷に寄生するとかいうのをやってほしいものです。で、セブンも小さくなってビラビラかきわけてね。でもこれじゃどっちかっていうと「ミクロの決死圏」のウラかもね。それで本題ですが、このウルトラサロン、夜にはウルトラ出演者たち全員がライトアップされ、かなりマニアックな看板になります。

 

■キトラ古墳の上で 野良仕事に励むおいちゃん

村中、古墳いっぱいだよ〜。ってわけで農作業をしてるおいちゃんが立っているこの場所は「キトラ古墳」。よくはわからないが、たぶん国の重要文化財かなんかに指定されているものじゃないかと思われる、古墳上での農作業がサマになっています。世界的遺産を踏みつけて仕事をするという緊張感を克服したんでしょう。大切なものは飾っておくだけでなく使いこなしてナンボということを教えてくれてます。ちなみに古墳の入口は竹を組んで閉められてるよ。

(奈良県明日香村発)

 

■今月のビックリ!「クルマに住むひと」

 

■ささ丸まんが「エコ・アニキ」

 「ささ丸マンガ館」はこちら

 

■あとがき

●残念ながら、ハッテン場でM原敬之氏にお会いすることはできませんでした。不景気のせいか、関西はどこへいっても貧乏くさい。ここ数年、ゲイ・ファッションがブームの兆しもあり、マスコミ的にもてはやされているというのもよく耳にするのですが、昨今のホモのハッテン場の衰退傾向をかいまみて少しせつなくなったことは事実。見せ物、キワ物、芸人としてのゲイがもてはやされ、ハッキリとした目的意識(男色追求)をもつホモさんたちはいき場を失いつつあるのかも知れない。オカマはホモではなくお商売ですよー!

●脱力が主眼の本ページですが、気候が気候なので脱水気味であります。

●次号の予定は、「大阪城に住む人々」「何でもランキング」「働くおとうさん」「たんつぼを探せ!」「大阪オススメの公衆便所」「淡路花博」「シリーズあの人は今」「アメ村グラフィティ」などなど。

●6月開始を予定していた「WEB版『西の常識』」ですが、もう少々お待ちいただければお知らせできるかも……。期待せず待て!

 

「西の常識」連載4回目記念

マニアにはたまらない!? 『主筆のケツ』ナマ写真プレゼント

ご希望の方はGON!編集部内「ケツ写真プレゼント係」までハガキでどしどしご応募ください。(すでにプレゼントは終了しております)

※なお、本文中の関西の地名、人名など固有名詞は実在のものと一切関係はありません。

■主筆:二階堂茂

■協力:NGD、ひらま、上田耕司ささ丸

神の國「たんつぼクン」アイロンプリントプレゼント!は発送をもって終了させていただきました。少数のご応募者のなかから抽選で約1名、テキトウに選ばせていただき、勝手に発送させていただきました。


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