日蓮聖人が立正安国論を奏進され七百五十年の聖年を迎えた今年、日蓮宗ではその恩に報いるため、またそれを啓発するための施策を出し、今年様々の行事を展開しております。本佛寺でもそれに従属する如く祖山身延山への登詣や先のサンパレス福岡大会への参加、更には京都日蓮展覧会参加等を推進しております。それに加え、今年、励光閣が前励日管上人百遠忌を期して建設されましたことは縁と思う所であります。 さて、本年も総会のご案内を致しました所、殆どの役員のご出席を賜りましたこと心より御礼申し上げます。 今回は1励光閣完成報告並び寄付進捗状況2御会式万灯行列推進企画報告3本佛寺境内現況報告4改宗者報告5年度奉納者報告6その他とし順次進めて参りたく存じます。それぞれに忌憚のない前向きなご意見等頂戴出来れば有り難い次第です。 今、人間社会を取り巻く環境に対し世界が動き出しつつあります。過日フランスのサルコジ大統領が「現在世界はお金という宗教に侵されている」という発言が物議を醸しましたが、もしかするとその通りかもしれません。私は西身延青年会の会報「心耕」で「笑顔」について寄稿しました。人間の当たり前の仕草、本能までも金銭主義に加えられ本来の幸せを見失っているのではないかという今を憂う文体で表現しました。役員の皆様は如何お考えでしょうか。お寺は心を照らし直す聖地・洗う聖地・懺悔する聖域だとされます。この励光閣はそのような意味を包含し建設されました。これは本佛寺檀信徒全員の知る所であります。されど膨大な予算を掲げ、不況の中寄付を忝なくするという背反する行為は住職として大変心苦しい決断でもありました。されどここに至り、耳納連山に聳える仏舎利塔、十一の堂宇、仁王門それらを司るような形で参詣者の為の「励光閣」境内中心に出現したことは感慨深く、また誇らしくもあります。まさに日本一の寺院となりました、本当にありがとうございました。 本日はそれらを含め、本佛寺の未来を考察しながら会議を進めて参りますので、宜しくお願い致し、参集の御礼の言葉に代えさせて頂きます。 尚、この会議内容は是非、お戻りになりました題目講・地元檀徒等へお伝え下さいますよう懇請し、開催ご挨拶と致します。 合掌
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おえしき 過日、日本文学研究者のドナルド・キーン氏が「国際化が進んでも、日本人は、外国人に比べ自国意識が強い」とコメントしていました。これは大変興味深い発言です。日本人の愛国希薄が叫ばれて久しいですが、実は外国人から見ると逆であるというのです。確かに価値観の多様化、食物の変化、移民の増加、流通の変動を挙げればそうとばかりは言えないよとの反論もあるでしょう。でも彼は「外や内に向けての意識が鋭くなっただけ」と説明します。更に「自由で平和的に行動する日本国」と加えています。 さて、私達を取り巻く環境は本当に悪くなったのでしょうか。以前もこの事柄に触れましたが、ここうきは市も住みよい街になりました。今年の「御会式ポスター」に明治期の町並みを掲載していますが、高度成長に漏れず殆ど快適な生活をそれぞれに頂いているようです。これは皆さんの努力の賜ともいえるでしょう。そこで御会式にあたり今一度心静かにお考え願います。そうです。ご先祖様のお陰なのです。次世代の為にと苦労された先師・先祖・先輩。この脈々たる尽力無くして今はありません。「ただ個人主義が行き過ぎ」と前出のキーン氏は今を指摘しています。家屋も個々となり仏壇や祭壇がない家庭が増えました。私達がグローバル化に警鐘を鳴らすことは、手を合わせる対象が喪失することであります。この御会式は「報恩」が柱の行事です。ご先祖の恩に報いる時、今を幸せに感じずにはいられません。 祖師曰く「蔵の財より心の財!」 共に感謝の心を表現致しましょう。合掌 平成二十一年十月 西身延本佛寺
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