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D&G(ドゥルーズ&ガタリ)研究会は,早稲田近辺で開催する読書会を活動の中心とした,てんでんばらばらの参加者による,自由気ままな集まりです。

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G. ドゥルーズ&F. ガタリ『千のプラトー』読書会

『千のプラトー』解題へ

3. BC10,000年――道徳の地質学(地球はおのれを何と心得るか): pp.90~

報告: 2003/05/15

まずは「機械圏」(抽象機械+機械上アレンジメント)という概念について議論がなされました。非常に大雑把に分けてみると,1. スピノザとの対比で読む眞鍋さんと大田さん,2. カントとの対比で読む大久保さんと秋山さん,といった構図で白熱した議論がなされました。

交換された情報量が多くて限定的な報告になってしまいますが,1. と2. について大きくまとめると以下のようになるかと思います。(なお,カントとの関係は前回の報告も参照のこと。)

  1. スピノザの「内在平面」がここでの「存立平面」に対応し,「属性」が「抽象機械」に対応,「様態」が「機械状アレンジメント」に対応すると思われる。ただしそうすると「ダイヤグラム」の位置付けなどに困難があり,対応関係は相対的なものに留まる。
  2. ところでこの「ダイヤグラム」はカントの「図式」に対応するものと思われる。しかし[ダイヤグラム≒抽象機械]であることなどを加味すると,カントの諸概念にドゥルーズ+ガタリの諸概念を対応させる試みも,やはり相当な難点を含みそうである。

このようにスピノザとカントを読み込んで考えていくと,どうやらその両者の枠組みを発展的に統合するようなものとして抽象機械―機械状アレンジメント,そしてダイヤグラムといった一連の概念を提示しているように思われる,というのが結論かと思います。そしてまた,そういった諸概念群で無機物から有機物,そして人間から社会までを統一的に(次元の差は設けていますが)把握し様というのが,『千のプラトー』の試みのうちの一つだということになるでしょう。

このように,私の担当部分では議論が機械圏に集中しました。その他全体を若干振り返りつついくつかの確認をして,長かった第3プラトーに無事?別れを告げることができました。いずれにせよ本プラトーでは諸概念の整理と説明がなされただけなので,これ以降でその具体的な適用がなされることが期待され,我々の期待も高まるといったところでした。

可能な限りメモをとりましたが,報告者には当日の議論の全てを理解することはとてもできなかったと自覚しております。誤りや補足等ございましたらどうぞよろしくお願い致します。 ――蛭田

議論――スピノザ,カントとドゥルーズ&ガタリの諸関係

この後,スピノザ,カントとドゥルーズ&ガタリの諸関係をめぐって議論が展開された。「Intermezzo――スピノザ,カントとドゥルーズ&ガタリ」にまとめたので,こちらもご覧下さい。

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