街角よろず相談所home >> 本人訴訟・少額訴訟とは >> 証拠の収集

訴えてやる!」とは言ってみたものの・・・

自分でやってみよう。
本人訴訟・少額訴訟

但し、訴状の作成・提出、訴訟の代理はできません。)
本人訴訟を起こす前に
お問合せ・ご相談は
06−4865−4808
0120−928−553
(大阪からは無料)

「街角よろず相談所」
行政書士中田ただあき事務所

訴えなければ回収は0である。訴状・答弁書の書き方証拠の収集強制執行

証拠の収集
 民事訴訟における証拠調べには、書証、当事者尋問、証人尋問、鑑定人、検証の5種類がありますが、素人が行なう本人訴訟のレベルでは書証と尋問の進め方さえ知っておけば充分であると思われますので、この2つに絞って説明いたします。

1、書証


 裁判所に提出する証拠はほとんどが書面による証拠になります。書証とは、借用書、契約書、約束手形や小切手、各種証明書、診断書、内容証明郵便、免許証、事件記録や出版物、新聞記事まできわめて広範囲の書類が含まれています。最近では、不倫相手に対する慰謝料請求訴訟などで携帯のメールをパソコンに転送しプリントアウトしたものも証拠として提出したりすることも少なくありません。

 裁判所の証拠調べには他にも後で述べる当事者尋問、証人尋問に加えて鑑定人、検証などがありますが、民事訴訟では何といっても書証が最も有力な証拠になります。ですから、できるだけ書証を証拠として裁判所に提出できるよう最大限の努力をするべきです。例えば解雇された場合に、解雇の無効を主張したいときは、訴訟を起す前に解雇理由を付した解雇通知書の発行を求めるなど、なるべく相手に書面を作成させるように仕向けることが大切です。

 書証を提出する時は、原本を手元に保管しておき、A4サイズのコピーを被告の数+1通を裁判所に提出します。このとき、書面の右上に番号をつけます。原告が提出する書証には「甲第1号証」などと記載します。一方、被告が提出する書証には「乙第2号証」という感じに番号をつけていくことになります。

2、証人尋問・当事者尋問

 民事訴訟において、重要な証拠になるのは先に述べたとおり書証ですが、当事者が書証の成立を認めなかったり、書証だけでは不十分である場合はそれを補うために証人尋問が必要になります。そのためには証人を準備して裁判所に申請することになります。このとき証拠申出書という書面を提出しなければなりませんが、本人訴訟レベルでは、親切な裁判官にあたれば、職権で証人を連れてくるように命令したことにして、申出書の提出を免除してくれる場合もありますので弁論の時に裁判官に相談しみてもいいでしょう。

 証人尋問はまず、主尋問といって証人を申請した側に尋問させます。主尋問が終わってから、相手方が反対尋問を行ないます。このように主尋問と反対尋問が済むと、さらに尋問の申出をした当事者が尋問します。これを再主尋問といいます。さらに相手側が尋問するかどうかは裁判長が決めますが、基本的には聞きたいことが出てくる限り何度でも尋問を認めてもらえるので、尋問中は落ち着いてよくメモをとり、証人の言ってることに矛盾がないかどうかを見極め、質問すべきことをまとめておくことが重要です。その後裁判長が補充的な尋問をしていきます。当事者が尋問することを投げ出した場合は裁判官が代わりにに尋問してくれます。

 尋問は基本的は聞きたいことを聞けばいいのですが、不適切な質問は制限されます。以下にやってはいけない尋問を列挙します。

@具体的または個別的ではない尋問
 「原告と被告との間の金銭関係について述べてください」「そのとき起こったことを全て話してください」などといった質問は許されません。一問一答式に質問していかなければなりません。「原告と知り合ったのはいつですか?」「車の色は何色でしたか?」といった具合です。具体的な事実を一つずつ明らかにしていくことを心がけましょう。

A誘導尋問
 「車の色は黒だったですよね?」とか「スピードは100キロはでていたのではないですか?」というように質問者がある答えを希望していることがわかるような質問は避けなければなりません。「車の色は何でしたか」「何キロくらいでていましたか」と聞くべきです。ただし反対尋問のときは誘導尋問が許されています。

B証人を侮辱したり、困惑させる質問
 裁判は相手を困らせるためにするのではありません。事実関係を明らかにして、判決により妥当な法律関係を確定させるために起こすということを忘れてはいけません。
 
C前にした尋問と重複する尋問
 単純に時間の無駄であるということです。

D意見の陳述を求める質問
 証人は事実をありのままに陳述するために法廷に出廷しているのであって,意見を述べたり感想を述べたりするために出廷しているわけではありません。証人が直接経験した事実だけに限られるべきですが、ケースバイケースで裁判官が許す場合もあります。証人が直接経験した事実について、意外であったかどうか、一言でどう思ったのかを聞く程度ならスルーしてくれると思います。

E証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
 例えば、他の店員を証人にして「店長が原告を解雇したことについてどう思うか?」「そのとき彼は何を考えていたと思いますか?」などと聞いたりしてはいけません。「店長が原告を解雇したという事実はあなたにとって意外なことでしたか?」とか「そのとき彼は落ち込んでいましたか?」という風に事実を聞くようにしましょう。

 証人を出廷させる場合は、これらのことを踏まえよく打合せをしておきましょう。「原告が貸したと思います。」とか「私の意見では、原告は誠実な人間だと思います」というような陳述はしないようにしておくべきです。「原告が貸しました」「原告は誠実な人です」と答えさせなければなりません。これは証言の信憑性にもかかわることですので、裁判官の心証を良くするためにもきちっと質問して具体的な事実のみを答えていただくように心がけましょう。
陳述書の書き方
 上記のように、確実に事実関係や権利義務関係を証明できる書証がある場合、証人が出廷してくれる場合は問題ないのですが、書証が不十分な場合や出廷を断られた場合は、関係者の経験した事実を書面にしたものを証拠として提出する他ありません。このような書証を陳述書といいます。

 昨今、裁判の数が著しく増加しており、訴訟迅速化を図るため、証人尋問よりもむしろ陳述書を提出することで事実認定を行うケースが増えてきております。また証人として裁判所にきてもらうよりも陳述書を書いていただくほうが、証人の負担が軽減できますし、自分の有利な事実だけを書いていただけるので、反対尋問の際に不利な事実が表面化しにくいという利点がありますが、信憑性が低く評価される場合もあります。訴訟のキーパーソンにはなるべく証人として出廷してもらうに越したことはありません。

 書き方は特に決まりはないのですが、通常は表題を「陳述書」として、自己紹介・訴訟当事者との関係、事実関係の記載をして、書いた日付と署名・押印していただければ結構です。
以下、例のジャイアンVSスネ夫訴訟でスネ夫側の証拠としてのび太の陳述書の例文を下記に挙げておきます。

陳 述 書
 私は野比のび太と申します。原告とは小学校の入学当時からの知り合いでよく遊んだり、原告のお誕生日会などに招待されるなど、親しくさせていただいております。本件のラジコンの貸し借りの事実につき下記のとおり陳述いたします。
 平成18年1月3日、私がいつも遊んでいる空き地で原告とラジコンを操作して遊んでいると被告が突然現れ、「スネ夫、いいもん持ってんじゃねえかよ。ちょっと貸せよ」というなり原告のラジコンを取り上げました。原告は買ったばかりのラジコンだから今は貸せないと断ったのですが、被告は「何、俺様の言うことが聞けないのかよ。10日にはちゃんと返すから貸せよ」と半ば脅しているような口調でした。原告は目に涙を浮かべながら「わかったよ。絶対10日には返してくれよ」といいましたが、被告は返事するともなくラジコンを持って帰っていきました。ですので、本件ラジコンは原告が被告に貸したものであり、被告が主張するように、原告が被告にラジコンを贈与したという事実はありません。

平成18年4月3日  

  野比のび太  印

このように、契約書を交わしていないなどのケースでは、その場に居合わせた人物や関係者の陳述書を集めることで、事実関係が次第に明らかになります。よって、書証がないからといって訴訟を諦めるのは早すぎます。

 自分で裁判を起こすならこの本。「絶対に、訴えてやる!!」

行政書士中田ただあき事務所
街角よろず相談所home