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訴えてやる!」とは言ってみたものの・・・

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本人訴訟・少額訴訟

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訴えなければ回収は0である。訴状・答弁書の書き方証拠の収集強制執行

訴状の書き方
1、訴状とは

 民事訴訟を起すためには、訴状という一定の形式を備えた書面を作成し、管轄の裁判所へ提出することにより、はじめて裁判が開始されます。簡易裁判所では口頭でも訴えを起こすことはできますが、地方裁判所では必ず訴状を提出しなければなりません。
 
 訴状は最低3通必要です。原告と裁判所、そして被告の数だけ提出します。証拠書面がある場合はこれを被告の数+1通をコピーして訴状に添付します。

 訴状には「当事者および法定代理人、請求の趣旨、および原因を記載しなければならない」(民事訴訟法133条)とありますので、これに従って訴状を作成することになります。要するに訴状とは当事者・趣旨・原因の3つを記載すればそれでよいということになります。これなら意外と簡単に自分でできそうな気がしませんか?

2、請求の趣旨

 請求の趣旨とは、原告が裁判所から求める判決の結論の部分です。要するにどんな判決がほしいのかを書けばよいのです。大きく3つの類型がありますが、詳しい説明は省いて例文を下記に挙げます。

@給付の訴え
 ・「金〜万円支払え」
 ・「〜の建物を引渡せ」
 ・「〜の建物の所有権移転登記をせよ」

A確認の訴え
 ・「原告の被告に対する元金〜万円の返還債務が存在しないことの確認を求める」
 ・「原告は被告に対し、雇用契約上の地位を有することを確認する」

B形成の訴え
 ・「長男〜の親権者を原告と定める」
 ・「A・Bの土地の境界を別紙図面のイ、ロ、ハの各点を順次直線で結ぶ線と確定する」

 本人訴訟や少額訴訟ではほとんどが「金〜万円を支払え」というような給付の訴えになろうかと思いますが、不当解雇などのトラブルでは解雇の無効を主張することが多いので、確認の訴えとなります。

 その後に「〜との判決ならびに仮執行の宣言を求める」という仮執行宣言の文言を加えます。これをがあると、もし勝訴判決を受けて相手が控訴してきた場合でも、裁判が確定してなくても仮に相手の財産などを強制執行することができます。

3、請求の原因

 先の請求の趣旨では、原告の要求しかわからないので、実際にどのような経緯があって、どのような権利や法律関係に基づく請求であるのかを明らかにする必要があります。これを論理的に展開しなければなりません。

 つまり、請求の趣旨に至った根拠、理由を示す部分であり、貸金を請求する訴訟であれば、金銭を返還する約束で貸した事実、具体的には誰が誰に対して、弁済期をいつと定めて、いくら貸し渡し,その弁済期が来たということになります。さらに誰かが立ち会ったのか、現金で手渡したのか振込んだのか、借用書の有無などの事実を付け加えていきます。

 それでは、下記に訴状の例文を記載しますので、ご参考にしてください。なお、話を面白くするためスネ夫がジャイアンに対して、貸し渡したラジコンの引渡しを求める訴訟を起したと仮定しております。

訴 状
平成18年3月1日
豊中簡易裁判所御中
原告 スネ夫  印

〒○○○ー○○○○ 豊中市本町○−○−○(送達場所)
 原告 スネ夫 電話06−1234−5678

〒○○○ー○○○○ 豊中市本町○−○−○(送達場所)
 被告 ジャイアン 電話06−9876−5432

 動産引渡請求事件
  訴訟物の価格  15万円
  貼用印紙の額  2000円

請求の趣旨
 被告は原告に対して、原告所有のラジコンを引渡せ。
 訴訟費用は被告の負担とする。
 との判決及び仮執行の宣言を求める。

請求の原因
1 原告は被告に対し、平成18年1月3日、原告所有のラジコンを、返還日を平成18年1月10日と定めて、貸し渡した。
2 ところが、返還日を過ぎても返さないため、幾度となく催促したが全くこれに応じなかった。
3 よって、原告は被告に対し、上記ラジコンの返還を求めるため本訴に及んだ次第である。

証拠方法
1 甲第1号証 (陳述書 当時その場に立ち会った人物)  1通
2 甲第2号証 (ラジコン購入時のレシート)          1通

添付書類
1 甲号証各号写し                         各通

どうですか?そんなに難しくないでしょ?
答弁書の書き方
1、訴えられたらどうしよう。

 裁判所は、原告から訴状を受理すると、原告・被告両者に口頭弁論期日呼出状を発送します。訴えられる被告は、この呼出状が届いてはじめて自分が訴えられたという事実を知ることになります。

 訴状をみると、借りた覚えのないお金を請求されていたり、すでに支払ったお金を請求してきたり、覚えのない不法行為による損害賠償金を請求されているかもしれません。だからといってほったらかしにするとえらいことになります。どうなるかというと、原告の主張どおりに原告が勝ち、被告になったあなたが負けることになります。

 被告が裁判所に出頭して争わないと、原告の主張がでたらめのものであっても必ず被告が負けることになるのです。裁判というのは必ずしも正しいものが勝つとは限りません。自分が正しいと信じるなら、それを法廷で主張し、立証していかなければならないのです。

2、答弁書とは

 先に述べたとおり、原告の主張が正しくない場合でも、これに応じる必要があります。これによって裁判が進み、事実が明らかになっていきます。

 被告が訴状を手にしたら、訴状を隅から隅まで繰り返しよく読んで、その内容を確認したうえで、そこに書いてある事実が真実かどうか検討します。この訴状に対する応答を最初に書面にしたものが答弁書といわれるものです。

 この答弁書はできれば、第1回期日の1週間前には提出したいところですが、被告側としてはいきなり訴えられて、準備不足のなか答弁書を作成するのはなかなか時間がかかることです。ですから、第1回期日当日に答弁書を提出しても構いません。

3、請求の趣旨に対する答弁

 請求の趣旨に対する答弁は、被告が争う場合は必ず下記のように記載します。
 
第1 請求の趣旨に対する答弁

 1 原告の請求を棄却する
 2 訴訟費用は原告の負担とする
との裁判を求める。 
 簡単ですね。

4、請求の原因に対する答弁

 請求の原因には、訴訟の対象である権利関係の発生原因となる事実が書かれていますから、被告はこれらの事実をよく検討した上で、これに対する答弁を正確にしなければなりません。請求の原因に対する答弁の仕方としては、原告の訴状に記載された請求原因のうち、細かく事項ごとに応答します。応答の仕方は下記に挙げるように「認める」「認めない(否認する)」「知らない(不知)」の3つがあります。自分が認めていいことは「認める」と書き、自分が認めることができないものは「否認する」と書き、自分が関係していないことは「知らない(不知)」と書かなければなりません。

@認める
 相手方の主張する事実の中の1部の事実を認めることですが、ある事実について、一部は認めるが、一部は否認するという場合には、そのことをはっきり記載しておく必要があります。例えば「請求の原因第1項中○○の部分は認め、その余は否認する」という感じに記載します。

 認める部分と否認する部分があるにもかかわらず、その区分を明確にしないで、単に「請求の原因第1項は認める」としてしまうと、後から否認する必要が出てきたとしても撤回ができないのが原則なので注意しましょう。

 認めていいのかどうかよくわからない場合はとりあえず否認しておく方が無難です。大事をとるなら「請求の原因第1項は否認する。但し○○の部分は認める」と書きましょう。

A否認する
 「認める」の反対で、相手方の個々の主張事実を否定することです。否認された事実の存否について証拠調べをして、いずれの主張が正しいのかが判断されます。否認は自白と異なり、後で「認める」と変更することができます。

B不知
 自分の側では関知しない事実などについては認めるとも否認するとも応答のしようがありません。そこで、不知と述べるわけです。したがって、自分の関知している事実なのに、認めると都合が悪いから、不知と言って逃げるわけにはいきません。不知を応答した事実はその存否が不明なわけですから証拠調べが必要になる点で否認と同じになります。

C沈黙
 主張事実に対して応答しないと、あえて争わないのだと見られて、認めたのと同じ扱いを受けます。なるべく認否を洩れなく記載するようにしましょう。

5、被告の抗弁

 例えば売買代金を請求されたが、被告が未成年であることを理由に取消す場合のように、被告が原告の請求原因を認めた上で、請求の趣旨を否認するときは、被告の方で、積極的に原告が主張する権利が消滅した事実を主張しなければなりません。このような主張を抗弁といいます。

 その他、時効や同時履行の抗弁を主張するときに記載します。答弁書も訴状と同じく裁判所の分と原告に送達される分を裁判所に提出します。印紙は不要です。

 では、先のスネ夫が起こした裁判の答弁書をジャイアンの立場に基づいて作成してみましょう。

平成18年(ワ)第1234号 動産引渡請求事件
原告 スネ夫
被告 ジャイアン
平成18年4月1日
答弁書
豊中簡易裁判所御中
〒○○○ー○○○○ 豊中市本町○−○−○(送達場所)
 被告 ジャイアン 印 電話06−9876−5432

第1 請求の趣旨に対する答弁
 1 原告の請求を棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決をもとめる。

第2 請求の原因に対する答弁
 1 第1項中、原告からラジコンの引渡しを受けたのは認めるが、その余は否認する。
 2 第2項は否認する。ただし、原告から催告を受けた事実に関しては認める。

第3 抗弁事実
 原告は、本件ラジコンを被告に貸し渡したと主張するが、原告から贈与をを受けたものであり、本件ラジコンの所有権は引渡し日よりすでに被告に移っている。よって原告は本件ラジコンの所有権に基づく返還請求権を有しないから、被告は本件ラジコンの返還義務を負わない。

ジャイアンの「貸せよ」は「くれよ」と同じ意味をもつということでしょうか。

 自分で裁判を起こすならこの本。「絶対に、訴えてやる!!」

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