tube design top 

last update 05/06/06

 

 

 
トップページ 次ページ 戻る 進む
3.1 本機の回路図(最終形)
 

3.2

各部設計   2002/10/23 整流器バグ修整

3.2.1


最初に6BM8を3極管接続にしてプッシュプルで使用するときの出力段の検討です。

@ 6BM8(T)のEp−Ip動作曲線にロ−ドラインを引きプレ−ト負荷を決めます。
Epmax=300V(最大定格)においてEc≒▲32V、アイドリング20mA前後を与えるとプレート損失がPd=6Wとなり定格Pd=7Wにおさまります。

この場合のロ−ドラインは、最大出力を優先するか、(裸特性における)ダンピングファクタを優先するかを考えます.
6BM8の3極管接続時の内部抵抗rpはプッシュプル片側約1.4KΩであり、5KΩの出力トランスを用いれば無帰還のダンピングファクタは DF=(5KΩ÷4)÷(1.4KΩ×2)≒0.45となります。従って

 5KΩ(負荷1.25K)のトランスを用いれば DF=0.45(=5K÷4÷(1.4K*2)) 
 8KΩ(負荷   2K)のトランスを用いれば DF=0.72(=8K÷4÷(1.4K*2))

が予想される無帰還のダンピングファクタ(以下D.F.)となります。

Aダンピングファクタは、使用するスピ−カ−とお部屋の構造、音色の好みによって与えるNFB量を増減し、適切なD.F.量を決めることになります.ジャズ系が主な方はDF=3〜5、クラシック系は10前後が一般的と思います.

ここでDF=3以上を必要とすると、所要NFB量は
無帰還のD.Fが
 DF=0.45の時(負荷1.25K) 
  (0.45+1)*NFB−1=3より逆算して 所要NFB=約2.8(9dB)
 DF=0.72の時(負荷   2K) 
  (0.72+1)*NFB−1=3より逆算して 所要NFB=約2.3(7.5dB)

となります。せっかくの3極管接続ですからソフトディスト−ションを考えるならNFB量は少ないに越したことがありませんが、負荷を増すと最大出力がかなり落ちそうです.

B片チャンネル10W程度のパワ−も必要ですので、5KΩのトランスで考えますと、ロ−ドライン=1.25Kから、Ep−Ip動作曲線よりトランス1次側で9W/300Vの最大出力が得られることがわかります.この場合必要なグリッド入力はかなり深く、32V程度必要となります.(64Vp-p値)

3.2.2






















次に位相反転段ですが
所要NFB=約2.8(9dB)として、6BM8のみでアンプを構成しようとするとドライバ−段から前のゲインの検討は、かなり大変です。

@フロントが3極管で、位相反転がP−K分割のアルテック型構成をとりますと(μ=70 増幅度約50前後として)NFB=約2.8(9dB)から、1.8V前後で最大出力が得られそうです。

A差動型で位相反転段のみの構成をとりますとゲインは半分に減り、(μ=70 増幅度約50/2=25前後)最大出力を得るためには3.5V前後の入力を必要といたします.しかしながら、差動型は諸特性がよく、概ね良好な結果が得られますので本機も位相反転段のみで構成し、これに半導体の定電流回路を付加した差動型回路を採用します.

Bこの構成ではかなり低感度ですが、使用目的によって、ゲインが不足する場合はアルテック型に変更してもよいので、差動型で位相反転のみの構成をとります。CD用途として考えるなら成り立ちます。時定数の配慮は低域2段高域3段となります.

C位相反転段だけなので、ここでできる限りゲインを稼がなければなりません。時定数が低域2段なので、高域特性よりゲイン優先で、プレ−ト負荷を120KΩと大きめにして6BM8(3)のEp−Ip動作曲線にロ−ドラインを引き、ゲインを求めてみます.
Ecの変化量 △2.25付近±1.25=△1〜△3.5でのプレ−ト電圧の変化量は115Vから235Vありますので 

 ∴(235−115)÷(3.5−1.0)=48
と≒50倍になります。

NFBで約1/2.8倍、差動でゲインが半分になりますので最大出力時の所要入力電圧は(32V÷(48÷2))×2.8=3.7V
となります。

D定電流回路はこだわりますと真空管を使ってもいいんですが、ここでは一般的で飽和特性のいい2SK30(J−FET)を使って定電流ダイオ−ドをつくり簡単に済ませます。しかしながら特性的には十分で上下のゲイン差はほとんどなく差動回路がほとんど同時にクリップします。簡単にできるのなら、半導体アンプのいいところは取り入れましょう。一度採用しますと使わないのはソンと思うようになります。差動回路は定電流源が命です。

 ^^v ダマサレタ  ト  オモッテ  ツカッテミテネ.  

E高域特性はかなり厳しく、ざっと計算すると60KHZ前後となります。