夏が近くなると発熱が少なく小ぶりなアンプが欲しくなることがあります.
深夜に、音楽を聞く時、大型のアンプに火を入れるのも、ちょっと気が引けます。
こんなときにちょうどいい、小粋な50BM8(T)ppアンプをご紹介します.
普及型のタンゴU−15−5kを使って、8HZ〜80KHzまで±1dB以内におさまります.

左 最終外形 右 試作外形 背面
50BM8(T)
50BM8(Ef=50V)は、ヒ−タ−電圧が異なる以外6BM8(Ef=6.3V 5極部 Pd=7W 3極部 μ=70 ECL82)と同規格のもので、類似管に11BM8,16A8,8B8があります。
6BM8系の最大の特徴は3極管接続にしたときもそれほど出力が落ちないことです。6BM8は5極管のなかでは音のよい球として知られていますが、それは6BM8の内部抵抗が、通常使われているMT5極管中では最も低いからです。従って3極管接続にした場合でもEc=0Vの際の電流の立ち上がりがよく、他の5極管を3極管接続にした場合に比べ、倍近くの出力が得られます。
繁用されている6BQ5は3極管接続にすると 5W/Ep=300V ほどしか出力がとれません。 なお下記表中の代表的な3極出力管である”6RA8”18W/300Vはちょっときびしく LUX SQ38で15W程度です。
6BM8に匹敵し、かつプレート損失が12Wでもある6/8CW5系は、3極管接続でもっと適性があるんですが、残念なことに最大定格でプレ−ト電圧が275V、スクリーン電圧が220Vと低めなのがつらいところです。30A5も同様な理由でうまくありません。
そこで希少品の6RA8(3)の代わりに3極管接続ppで9W以上が得えられる6BM8はいかがでしょう。無論ピンコネクションは異なります。今回はヒーター電圧が50Vの50BM8を使い片CHを2本直列につなぎAC100Vよりダイレクト点灯します。整流もダイオードにすると、ヒ−タ−電力だけでも30Wもの電力がパワートランスから軽減され、ひと回り以上小さなトランスで済みます。
各rp(内部抵抗 5極管、ビ-ム管)等比較(代表値)
A1シングル |
極 |
rp(内部抵抗) |
μsg(g1-g2増幅率) |
3結時出力pp
|
6BM8 |
5 |
≒20K |
≒9.5 |
-- |
6BM8(T) |
3 |
≒1.47K AB1 |
≒9.5 |
9W/300V |
6RA8 |
3 |
≒900Ω A1 |
≒9.7 |
18W/300V |
6GW8 |
5 |
≒45K |
≒22 |
-- |
6AR5/6K6 |
5 |
≒68K |
≒7 |
3.1W/280V |
6BQ5/7189 |
5 |
≒38K |
≒19 |
3.4W/250V |
6AQ5/6V6 |
5 |
≒52K |
--- |
3.3W/280V |
8CW5 |
5 |
≒23K |
≒8 |
-- |
8CW5(T) |
3 |
≒670 |
≒7.2 |
3.9W/170V |
6CA7 |
5 |
≒17K |
≒11 |
16.5W/400V |
6GB8 |
5 |
≒15K |
≒15 |
18.5W/380V |
またGT管になりますが、6CA7は大変優れており、定格に対してあまり余裕のない高価な50CA10より、6CA7や6550を3極管接続にするのがお勧めです。3極管接続で良好な出力を得られそうな球は、rpとμsgが低いもので、gm=10000μ∪前後が目安でしょう。
次ペ−ジ調整後の最終仕様と各々の出力波形をご覧ください。特性表より、実測波形を見てしまったほうが簡単です。
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