ピアノ協奏曲ではないピアノ協奏曲

作成日:2008-04-12
最終更新日:

はじめに

古典派の作曲家は、ピアノとオーケストラのための作品を、 ほとんどは協奏曲(コンチェルト)という名称で生み出だした。 ロマン派以降は、 必ずしも協奏曲という名称になっていないことが多くなった。 そこで、協奏曲という名前を持たない、 ピアノとオーケストラのための協奏的作品を列挙しよう。

古典派

モーツァルト

モーツァルトはピアノ協奏曲を数多く作った天才であるが、 ピアノ協奏曲以外にもピアノとオーケストラの作品を残している。 そのほとんどが、最初はピアノ協奏曲の楽章として作られたが、 後に別の曲に差し替えられたため、独立した楽曲として残ったものである。

ベートーヴェン

ピアノと合唱を伴った「合唱幻想曲」Op.80 がある。まれに、交響曲第9番「合唱」の前座として取り上げられる。


ロマン派、印象派、民族派

フレデリック・ショパン

これらの協奏的作品は、 ピアノ独奏曲のショパンとは異なる書法で書かれている、 と指摘されることがある。 私はそうは思わないが、ピアノ独奏曲よりは外面的な効果を狙っている、 言い替えればオーケストラに負けないという力が強いように思える。

ロベルト・シューマン

シューマンについての項も参照してほしい。

フランツ・リスト

ガブリエル・フォーレ

ピアノ協奏曲は残していないフォーレだが、 ピアノとオーケストラのための作品は2曲残している。 バラードは若いころの、幻想曲は老年の作品で、 その作風の対照が印象的である。

クロード・ドビュッシー

フォーレを敵対視していたドビュッシーには、 奇しくもフォーレと同じ名のピアノとオーケストラの作品が存在する。 色彩豊かなオーケストラに乗ってピアノがダイナミックな転換するさまは、 ドビュッシーの才能をよく表している。

イサーク・アルベニス

マニュエル・デ・ファリャ

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

セルゲイ・ラフマニノフ

ラフマニノフの作品には、 ピアノ協奏曲と同じ程度に、 パガニーニの主題による狂詩曲は知られている。 名高い第18変奏のおかげであろう。


近代・現代

リヒャルト・シュトラウス

ジョージ・ガーシュウィン

ガーシュウィンにはピアノ協奏曲(ヘ調)もあるが、 あまり知られていない。同一作曲家の作品を比べて、 協奏的作品のほうが有名なのは珍しいことだが、 それだけ、このラプソディー・イン・ブルーには魅力が溢れている、 ということだ。

ヴィトルド・ルトスワフスキ

2台ピアノのレパートリーとして定着した ルトスワフスキのこの曲には、管弦楽とピアノの版がある。

伊福部昭

松平頼則

武満徹

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MARUYAMA Satosi