アラベスクは,唐草模様の意味. 2曲とも和声のアルペジオを唐草模様に見立てた甘い曲だ。 2曲を比べると第1番が有名だ。しっとりとしている。 第2番はからりとしていてお茶目な印象を受ける。
前奏曲、メヌエット、月の光、パスピエの4曲からなる。 前奏曲は清清しい印象に満ちあふれている。 メヌエットは少し諧謔が勝った曲。 月の光は、ドビュッシーのピアノ曲の中で、最も有名だ。 低音の響きに支えられ、厚い和音が溢れたあとで、 どこへ落ち着くともしれないアルペジオが恍惚の境地へと誘う。 パスピエは、名前は舞曲である。しかし、踊りの香りはほとんど消え、 妖精の徒競走のごとくひたすら軽い戯れを巻き起こす。
全 12 曲からなる。前半 6 曲が第1部、後半 6 曲が第2部という分類になっているが、 通常は 12 曲を一括して扱う。
ハ長調のドレミファソファミレで始まる。チェルニーを明らかにおちょくっているのだが、 悪意は感じられない。その後の展開が見事だからだ。
ショパンの練習曲の3度は急速であるが、こちらは穏当な速さでよい。 ムード音楽だと思えばいいだろう。
四度という扱いにくい技巧を扱うのはドビュッシーの独擅場ではないだろうか。 傑作に属する。
こちらは「三度のための」の世界に戻る。
あっけらかんとした表情を見せる。リズムも刻々変わる。
つむじ風のような曲想だ。フォーレの「前奏曲第5番」と比較すると面白い。
半音階がリズムの巧妙さと相まって不思議な空間を作る。
練習曲ではあるが、同じ作曲者の前奏曲集のにおいがする。
「4度のための」とならび、ドビュッシーの傑作とされる。 私にはその良さが残念ながらよくわからない。きっと、わかるためには ここで「響き」と訳された「ソノリテ」を理解すること、そして よいピアノによるよい演奏を集中して聴くことが必須なのだろう。
「組み合わされた」の代わりに「重複する」と訳されることもある。 また、版や訳によっては、この形容詞が落ちて単に「アルペッジョ(アルペジオ)のために」となっていることもある。 1拍を6等分するテンション入りの変イ長調の右手アルペジオから始まり、 ついで1拍を4等分する左手アルペジオと組み合わされる。 アルペジオは、左と右が合体して大きなうねりを巻き起こしたり、分離したりを繰り返す。 合間にはリズミックな合いの手が入る。 このリズムはどこか、アルベニスのイベリアから「トゥリアーナ」の一部分を思い出させる。
ちなみに、この曲には先駆版(初稿)が存在している。「見出された練習曲」、 あるいは「見つけ出された練習曲」などの名前で知られている。 debussy étude retrouvée で動画サイトを検索すればよい。 楽譜は Theodore Presser Company から出版されている(Roy Howat が補作)。 主調は同じ変イ長調だが、それ以外はかなり異なる。現行版は動と静の対比が際立っているが、 先駆版は絶えず動き回り、色彩が変わる異色の作品だ。ドビュッシーの作品でいえば、 ピアノのためにのトッカータや喜びの島につながる系列に属する。 先駆版のほうが好きな人もいるだろう。私はどちらも好きだ。
三部からなる。第1部と第3部は和音というより跳躍のための練習曲だ。 第2部は和音を素早く移動させる練習という趣だ。
なお、ピアノ曲以外の作品も含めた、ドビュッシーの部屋も作りつつある。