練習日誌(1998年)

作成日:1998-07-16
最終更新日:

過去自分が歌ったり弾いたりしたときの練習の記録(1998年)です。 (桃源会)はピアノの同好会関係、(合唱)は合唱団、 (合奏)は八重洲室内アンサンブルです。 古いほうから新しいほうに向かっています。 1999 年の記録もあります。

桃源会の演奏会の曲目

桃源会の有志で「演奏会をやろう」ともりあがったのが今年の初めだった。 時間もなかったので、まずは場所をとってみて、 あとで人を募るという挙に出た。 やりとりがいろいろあって、私も出ることにした。 何を弾こうか悩んだ。 桃源会では通好みのをやってもいいだろうと勝手に判断して、 数あるトッカータの中から、 クラシックファンの間ではそこそこ有名なプーランクの「トッカータ」と、 舘野泉ファンなら知っているだろう、エイナル・エングルンド(エングランド)の「序奏とトッカータ」にした。 プーランクのはいつか弾きたいと思っていて暗譜していたこともある。しかし、あらかた忘れてしまった。 エングルンドもいつか弾きたいと思って楽譜を買ってからもう十年以上経ってしまった。 果たして演奏会にまにあうのか? エングルンドの楽譜は実家の引越しに紛れて探すのに苦労をしてしまったほどだ。

演奏会のプログラムをみて、 さすがにこの二作曲者と二曲を取り上げたのは私しかいなかったので安心した。 フォーレスカルラッティを弾くことにしたらどうだったか。 ひょっとした作曲者が、あるいは作品がぶつかってしまうだろう。そうなると、先輩や腕達者と比べられてしまい、 余計恥ずかしかっただろう。

さて、このフォーレとエングルンドの両者を取り上げたのは演奏時間と興味の点からだけであり、 両者を比較する意図は毛頭なかった。ただ、取り上げてみて、 どちらもトッカータ部分が主音Aの9の和音から始まることにあとで気づいた。

プーランク「トッカータ」の譜読み

(桃源会)プーランクの譜読みを始める。彼の気まぐれからか、似て非なる音形が多い。 こういうのは気になるが聞いている人はわからないだろうから無視することにする。 Heugel 版11ページ、26小節めの右手のAの嬰記号が落ちている。これは後のAに本位記号があること、 27小節め同一音形のオクターブ上のAには嬰記号があることから、間違いであると判断した。

追記:20年後、2019 年の練習苦闘記録はプーランクを参照。

プーランク「トッカータ」の CD

(桃源会)プーランクのトッカータはまだプロのものを聞いたことがないので、 CDを買うことにした。 有名なのはホロヴィッツのだが、聞いてしまうと呪縛にあって大変になるのではないかとおそれた。 他にプーランク全集というのもあったが時間当たりの単価が高い。 結局、全集ではないもののプーランクの他の作品もたくさん入っている、パスカル・ロジェのCDを買った。 聞いてみると私のイメージとはさほど違わない。

エングルンドの序奏とトッカータは、昔舘野泉が「北欧の音楽」という LP 5 枚組にあり、それを録音したカセットテープを持っていたが、 今ではどこにあるかわからない。 おまけに私がもっている楽譜は第2版で、 舘野さんが弾いているのは初版の方である。 仮にテープを聞いても真似できないだろう。 だから演奏を再度探したり手に入れたりする努力はやめた。

エングルンド「トッカータ」の譜読みを始める

(桃源会) エングルンドの譜読みを始める。プーランクとは違い気まぐれは少ない。しかし難しい。気合で押していくしかないだろう。 Fazer 版9ページ、151小節、右手のGにつくべき嬰記号が落ちている。
133小節目から始まる Meno allegro の部分は、 8分音(休)符7つをむりやり4つに割ったカノンになっており、考えるとわからなくなるので考えないことにする。 マリンバかビブラフォンでダブルマレットでやるとかっこいいだろうな。

WWW 上のエングルンド

(桃源会)エングルンドのトッカータをWWW上で検索する。 「エングランド」の名前でかけると出てくる。日本でライヴで演奏したピアニストがいるんですね。 舘野さんではなく、おそらくフィンランドの人である。 そういえば、フィンランドのピアニストといえば、オリ・ムストネンがいたな。 アルカンとショスタコーヴィチのCDでデビューするなんて、こいつはただものではない。

楽器店で練習

(桃源会)近所の楽器店の貸しスタジオで練習する。この日は日曜日であった。次の土曜日に練習するつもりで予約しようとしたら、「平日は別のものが担当しておりますので、月曜日にお尋ね下さい」ときたもんだ。全くの殿様商売だなとあきれてしまった。疲れる2曲をみっちりやったので文句をいう気力が起きず、すごすごと帰ってしまった。
だいたいこの日練習前にスタジオ代金を払ったところからケチがついている。30分500円で2時間の予約なのに合計が3150円ですという。なんかおかしいと思い、直接指摘するのもはばかられたので「料金体系はどうなっていましたっけ」と聞くと「30分で500円ですから、1時から3時までで3時間で1時間1000円の、3時間で3000円で消費税がついて3150円、あ、2時間か、ええ、そうすると、2時間で、あ、すいません、2000円で消費税の、2100円です」と悪びれずに言ったのだった。さて、どの楽器屋の息がかかっているかはわかりますよね。

で、練習の成果はというと、あまりなかった。プーランクのほうで指がもつれるのに気づき何度も練習したがうまくいかない。場所は14ページの58から59小節の左手。ありがちな音形で実際モーツァルトのイ短調のピアノソナタに出てくる。こんなのも弾けないとはなあ。指使いをいろいろ試して、手首を柔らかく上下回転運動をさせればできそうだという感触をつかむに留まった。

通勤電車のイメージトレーニング

(桃源会)プーランクの指のもつれ部分とエングルンドのMeno allegro部分を思い出しつつ、 通勤電車にのる。イメージトレーニングも結構役に立つ。

譜めくり依頼

(桃源会)エングルンドの譜めくりを連れ合いに頼む。3回ほどでわかってくれたようだ。

再度楽器店での練習

(桃源会)10月25日、再度楽器店に練習しに行く。 プーランクの指のもつれ部分はなんとかできるようになった(ただし完璧ではない)。 エングルンドの盛り上がる部分を集中的に練習する。結構汗だくになる。帰りに春秋社版のラヴェルの楽譜を見る。金がないので変えない。私がもっているのはDoverだけである。


合唱団のリハーサル

(合唱団)10月30日、いよいよ本番前のリハーサル。ちょっと声ががさつである。
「流浪の民」出とちりをしてしまう。今までSさんだけがとちっていたところなのに。
本番。だいぶお客さんが来てくれてなによりである。
シューマンは力んだところがあるものの、なんとか通過。
フィンジは、Clear and gentle stream で、途中事故があったが、私はきちんと歌っていたつもり。 これもただの強がりか。今思えば、私が無理矢理元の音を保とうとしたのがいけなかったのだろう。
本番の「流浪の民」はOK。
打ち上げでは途中で辞さなければならなかった。残念。

楽器店でまたまた練習

(桃源会)11月1日、こりずに楽器店に練習しに行く。プーランクは別の個所がもつれるようになった。 老人力が増しつつある。エングルンドの盛り上がる部分も必ずつっかえてしまう。

こりずに練習

11月3日(桃源会)。この日もこりずに楽器店に練習しに行く。 多少金を奮発してグランドピアノを借りた。 プーランクはもつれる個所が増大してきた。 やばい。エングルンドもはったりすら効きそうにない。困った。土曜日は楽器屋の練習はやめにしよう。

本番で撃沈する

11月7日(桃源会)、いよいよ本番のときがやってきた。 緊張する。 段取りのための早く行く。30分も早く会場に着いてしまう。
やがてSさん夫妻、Fさんがやってきて準備が整う。 なんだかんだで時間が過ぎていく。
リハーサルで弾いてみる。全く弾けない!
私の番になった。会場は空席が多いのが救い。
プーランクは暗譜していたが、今にも間違えるのではないかとひやひやしていた。自分の頭と腕がばらばらである。
エングルンドは一部が暗譜できなかったので連れ合いに譜めくりを頼んだ。 こちらもプーランクに負けず劣らずひどいありさま。 最後は結局指がもつれて叩き直した。こんなことは生まれて初めてだ。

昔からの仲間はそんなありさまを見て「昔よりパワーを増した」と言っていたが、 これは老人力のことだろう。 職場の将棋仲間は「きちんと弾いているのかでたらめを弾いているのかわからなかった」とのたもうた。さもありなん。
私の母親は「足をそろえてお辞儀をしなさい」と相変わらずうるさいものだ。

私を除けば、さすがに志願した人だけのことはある。達者な人がそろっていて、安心して聞けた。

打ち上げでは、けっこう妙な曲を知っていそうな若い後輩である U くんが 「こんな(エングルンドのような)トッカータがあったんですか」 と話し掛けてきた。これが私にとっての救いだった。

後記:今、U くんはカプースチンを弾いているようだ (2016-03-19)。

フィンジとバッハ

11月18日(合唱)。Finziの"Nightingale"とバッハのモテット。 第6番ハ長調のモテットのある部分はブランデンブルク協奏曲第1番とそっくりだ。

バッハのブランデンブルク協奏曲

11月28日(合奏)。バッハのブランデンブルク協奏曲第5番と第6番。 第5番のフルートは誰に頼もうかと思案する。 各自候補者と目している人に打診してみることでまとまる。

帰りにチェロのKさんと一杯。 こういったアマチュア合奏団をどう続けるかということに話は行き着く。 結構チェロをやっている人は多いということで意見が一致した。 なんでもKさんのもとに、 弾かなくてもいいからチェロを内装の一つとして飾っておきたいから入手したいという声があったのだそうな。 時代は変わる。

12月5日(合唱)。この日は「みぞれ」という歌の練習。 1983年のなんだかのコンクールの高校生の課題曲という。難しい。

恥ずかしい

12月6日(合唱)。ヴォイストレーニング。太ったと指導者に言われる。恥ずかしい。 声の方は多少なりともよくなった気がする。しかし、すぐにもとに戻ってしまうのだなあ。

イソ弦楽四重奏団

イソ弦楽四重奏団の第 111 回演奏会へ行く。場所は確か津田ホールだった。 出し物は、ハイドンの「鳥」、ボロディンの第二番、 そしてフォーレのピアノ五重奏曲第1番 (ピアノは青木礼子)。1998-12-14

後記:津田ホールは2015年3月31日をもって閉館した。大変残念だ(2016-03-19)。

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MARUYAMA Satosi