坪井俊 : ベクトル解析と幾何学

作成日 : 2022-10-25
最終更新日 :

概要

「まえがき」より引用する :

本書では微積分の基礎,2 変数関数の偏微分程度と,2 行 2 列,3 行 3 列の行列の計算等の線形代数の基礎を, おおむね習得した学生を対象に,2 次元の平面や 3 次元の空間内の曲線や曲面の表示の方法,曲線や曲面上の積分,2 次元平面, 3 次元空間上のベクトル場について解説する.

問は各節で与えられ、節末に解答が掲載されている。また、参考文献が巻末にある。

ベクトルと微分の表記

本書ではベクトルを `vecq` のように上に矢印をつけることによって表している。大学程度の数学書でこのようなベクトルを書き表しているのは極めて珍しい。 普通は太字斜体を使って \( \boldsymbol q \) のように表す。 また微分の記法は `"d"/("d"t)` のように、斜体ではなく立体を使っている。これも数学の教科書としては珍しい。 JIS では微分を表す `"d"` の字は斜体ではなく立体であると規定している。そのこころは、`"d"` は変数ではなくシンボルだからというものである。 ただ、数学書ではこの規定に従う書籍は珍しい。なお、物理や工学関係では微分の `"d"` を立体にしている書籍の割合は多くなるが、 それでも 1 割に満たないと私は思う。なぜ本書で `"d"` が立体なのだろうかと考えてみたら、本書で微分形式や外微分を導入しているわけだから、 `"d"` が外微分であることの記号を強調するためだろう、という結論に達した。ベクトル解析でおなじみの `"grad", "div", "rot", "curl"` がすべて立体であるのと同じ理由だ。

レーブの曲面族

本書の図はなかなかこっている。特に図 4.12 のレーブの曲面族はおもしろい。これは葉相構造というものらしい。 WEB で調べると、Reeb foliation などでいろいろな図が見られる。

講座<数学の考え方>

数式表記

数式の表記は ASCIIMath を使っている。

書誌情報

書名ベクトル解析と幾何学
著者坪井俊
発行日2002 年 5 月 25 日 初版 第1刷
発行元朝倉書店
定価3900 円(本体)
サイズA5版 240 ページ
ISBN4-254-11585-7
その他草加市立図書館にて借りて読む

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