山本稔、坂田定久 : 複素解析へのアプローチ

作成日 : 2021-12-23
最終更新日 :

概要

「まえがき」から引用する:

本書は複素解析への一つの入門書として書かれたもので, 複素解析全般の解説書ではない.範囲も複素数の導入から留数の応用までに限り, しかもこれらの範囲の種々の計算に習熟でき,理工学の書物をある程度理解し, かつ理工学への初等的な応用ができるようにと考えて編まれた書物である.

サポートページは下記にある。
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-1076-9.htm

感想

本書のサポートページを見ると、正誤表がある。これを見ると第18版3刷を重ねているので、好評なのかもしれない。 ただ、私が借りた本は第1版であり、この正誤表にあった、 ※第 9 版(2000 年 3 月)以前の訂正については刊行後長期経過のため省略させていただきます. という文面を見ると、大丈夫かと思ってしまう。 ともあれ、5章の「留数とその応用」には多くの実積分の計算結果がある。その一部を、 複素関数のページに載せた。

誤植

以下の点は第 9 版(2000 年 3 月)以前で訂正済かもしれないが、念のために記す。

p. 157 の問5-3(iii)の積分が、 `I_n = int_0^n (cosntheta)/(1-2acostheta+a^2)d theta quad (abs(a)lt1,n=0,+-1,+-2,cdots)` となっているが、 `n` の範囲は《`n=0,1,2,cdots`》とすべきだろう。というのは被積分関数の形から `I_-n=I_n` は明らかであるにもかかわらず、`I_n` の解として `I_n=(pia^n)/(1-a^2)` になるので、 `I_-n!=I_n` となってしまうからである。 参考までに、岩波 数学公式Ⅰ p.247 では、 `n` には制限をつけず、`I_n=(pia^abs(n))/(1-a^2)` の形を載せている。また、 数学公式ハンドブック(ポケット版) p.279 では、 `n ge 0` の整数としている。

p. 164 の練習問題3(ii)の積分が、 `int_a^(2pi)(dx)/(a+bcosx+csinx)` となっているが、 正しくは《`int_0^(2pi)(dx)/(a+bcosx+csinx)`》であろう。すなわち積分範囲は `[a, 2pi]` ではなくて、 `[0, 2pi]` だろう。

数式表現

記法は ASCIIMathML を、 表現は MathJax を用いている。

書誌情報

書名複素解析へのアプローチ
著者山本稔、坂田定久
発行日1992 年 11 月 25 日(第1版)
発行元裳華房
定価1900 円(税別)
サイズA5 版 166p
ISBN4-7853-1076-1
NDC

まりんきょ学問所数学の本 > 山本稔、坂田定久 : 複素解析へのアプローチ


MARUYAMA Satosi