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   森ノ宮医療学園附属診療所 院長 田中邦雄
医者選び 

 医者浮気のすすめ 
病気にかかったときは、まず安静・休養をとって体に
備わっている自然治癒力を上手に引き出すことが最もいい方法です。
そのつぎに、お薬・処置、最後に手術の順番になります。

 よほどの緊急を要する疾患を除いては、即座に手術ということは
あまりなく、多くの場合、何度か検査をくり返し、いろいろな可能性を
考えながら検討した結果、最後に手術という手段をとるほうが患者さんの
ためになります。

 ガンは手術といいます。ガンを手術で取り除けば、それで病気は進行しない
かもしれません。だからといって、手術後の患者の「クオリテイ・オブ・ライフ
(人生の質)」まで保証してくれるとは限らないのです。

胆石を手術すると、いつも下痢しやすくなります。
胃を手術でとると、食事毎に冷や汗を出して苦しむ(ダンピング症候群)
場合もあります。

このような、臓器をとる手術による不愉快な症状は死ぬまで続くのです。
手術のあとの症状が出たとき、手術した外科の先生は責任をなかなか
とってくれません。外科の先生は手術は好きですが、手術後の責任は
他に転化しがちです。苦情をいっても、死ぬよりましでしょう、
内科に行きなさいなどなど・・・ということになります。

 病気には、いろいろな治療法があり、医師(その医師の専門科)や病院
(病院にある設備)によって治療方針が違います。医者はそれぞれ、
自分の専門治療を勧め、他の治療の可能性まで言及することは、
残念ながら少ないようです。

手術をすすめられた場合には、 なぜ手術が必要なのか。 手術後、
どんな問題点が考えられるか。 手術をすることによる利点とマイナス点。
 他の手術法、手術以外の治療法はないのか。 このような点を、
同じ病院以外の複数の医師からきちんと説明をうけ、納得の上で手術に
臨むことが大切です。 一度手術した体は元にはもどらないのです。

手術したことによる苦しみは自分しかわからない苦しみです。 
アメリカでは医療費が高く、また医者同士の結束が硬い
(他の医者にかかっている患者は診ない)事もあり、簡単に他の医者に
相談はできません。

イギリスでは地区ごとの家庭医が決められているので、別の医者には、
患者さんが希望してもかかれません。 

その点、日本は、いままでかかっていた医者がいたとしても、自由に別な医者にかかって
相談することができます。健康保険制度があって、診察料もそれほど
高くありません。 これは患者さんにとっては非常によいことです。

 いまかかっている医者の治療方針に疑問を感じたら、一人で悩まず、
別な医者に相談する方法をとりましょう。ただし、卒業大学が同じ医者は、
先輩・同輩・後輩の気配りがどうしてもありますので、出来れば
別の大学出身のお医者さんがいいでしょう。

また、今までの治療をクソミソにいうお医者さんは、この医者は他の医者には
クソミソにいわれていると思って、遠慮しましょう。

 以上、最近、「今なら手術できる」と手術をすすめられた患者さんから
相談を受けたときの私の回答です。
                      
                                    文責 田中邦雄




 


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