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2001/10/31

 『いつか海に行ったね』(久美沙織 著/祥伝社文庫)読了。
 ふとしたきっかけで訪れる破滅。はじまりは一羽の鳥の……
 面白い。破滅物は好きなので、楽しかった。長編に書き直されたらな、と思う。鹿又先生と真吾君のコンビが、いいです。

 SIGHT のアフガン爆撃緊急特集号はなかなか。で興味を持って「SIGHT 同時多発テロ緊急特別号」を購入する。

アメリカをよく見てください。第一に、大統領支持は9割近くですが、報復攻撃支持は5割余りに過ぎない(9月末現在)。このギャップが何を意味するかを日本のマスコミは伝えていません。要は、非常事態においては大統領を中心に結束するべきだという強固な規範と同時に、大統領という役柄にいるのがブッシュ・ジュニアでいいのかという本音レベルの揺らぎが、こうしたデータには示されています。
 (同誌掲載の 宮台真司「近代社会のコーダとしてのテロリズム」(9月29日 談)p.58 より引用。強調は引用者による)

 テロ捜査で1000人逮捕――情報開示を求められるFBI


2001/10/30

 スラッシュドット経由で、Sunのトップページにロボット出現!。トランスフォーマー似?ウォーカーギャリアにも似てると思う。

 「小泉不況。小泉不況ですよ。小泉さんになってから、仕事の流れがまったく変わった。口先ばっかり。いまだに何の成果も出せていないでしょう。はやく、辞めて欲しいですね」(News23から 東京都大田区にある町工場の社長のことば)

 ニューヨーク総領事館、「期待できず」が9割近く
 確かに、これでは期待するだけ無駄だろうな、という事例がいくつもあげられている。なかでもすごいのが「総領事館が9月25日に現地の日本企業300社に出した手紙」の冒頭。「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

 USが、地上部隊投入から空爆続行に切り替えた理由。
 「最初の地上攻撃は失敗、米英軍に衝撃 英紙が暴露」(http://www.asahi.com/international/update/1026/028.html
 「26日付の英紙インディペンデントは、先週末に行われた最初の地上作戦が実はうまくいかず、米英両軍当局に衝撃を与えたとする軍高官の証言を伝えた。」「もともとこの作戦は、米国世論向け」の作戦で、「事前に収集した情報をもとに、比較的防備が手薄な標的が選ばれた。」しかし……


2001/10/29

 また、箍が外れた。知らない人間がますますカモになりやすい状況になりつつある、のだろう。

 スラッシュドットジャパンから、米軍がメインフレームに宣戦布告
 ぐしゃぐしゃな兵站システムを書き替えることにした米空軍。「30年間に渡って書き加えられてきた150万行にも及ぶCOBOLで書かれたコードは仕様書がない」ので「99年から進められている移行計画では、まず既存のCOBOLコードをひたすら解析・仕様書作成を行い、COBOLからJavaコードへの変換を行う。」のだとか。……わっはっは。冗談の規模が違いますなあ、さすがUS。2002年に発表される壮大なオチを、今から楽しみにしております。

 もひとつ、外務省、また不祥事? "米国大便館"に大笑い。

 辻元議員のパキスタンでの行動は、日・パ旅行社の掲示板によると、随分としっかりしたものだったようだ。


2001/10/28

 天皇賞(秋)。府中は朝からひどい雨、レース中継時には照明がついていた。芝はもちろん重、かなり荒れているように見える。
 レースはサイレントハンターがゲート内で止まって出遅れ、おしだされる形でメイショウドトウが先頭、トレジャー(3歳馬)が、それに競りかけていくような形になった。……どうなるんだろうと気楽に見ていたのだが、直線で大外に出てきた馬を見て、思わず叫んだ。
 レース後は、検量室前の映像をじーっと見て、目当ての人を探し出す。的場さんがさっとかけよって、アグネスデジタルの顔や体を拭いてあげていた。本当に嬉しそうな笑顔でした。ファンサイトの掲示板書き込みによると、表彰式のとき、的場さんはデジタルの手綱を引いていたそうだ。
 (1着 アグネスデジタル、2着 テイエムオペラオー、3着 メイショウドトウ)

 府中は雨、いっぽう、アフガニスタンは爆弾の"雨"――「北部同盟下に米軍が爆撃」。


2001/10/27

 9月11日からこちら、ネット内を流れているウソのいくつかは CSICOP Terrorist Attack HoaxWatch で読むことが出来る。ノストラダムスにエセ予言者と、今回も盛りだくさん。CNNが流した"衝撃"の映像「事件を喜ぶ人々」についても記述あり。

APTN提供の元のフィルムは全体で4分、放映されたのはその内の20秒のみ。画面の取捨選択もジャーナリストの仕事の一部だ、子供たちはカメラの前では特に興奮するものだ、論議を呼ぶことが分かっているものを映した映像はいつだって関心をもたれる、本物であろうと演出されていようと、あるいは買われたものであろうと。パノラマはまさにこの点を問題にしたかったのだと同番組のキャスターは述べた。テレビの中の現実はいずれにしろ構成されたものだ。
  ([aml 24197] Fwd: 「テロを歓迎するパレスチナ人の映像」問題についてより引用。見やすいように改行位置を変更しています)

 「食料投下する人道援助の欠陥認める EU委員長」(http://www.asahi.com/international/kougeki/K2001101900013.html
 プロディ委員長「目標を限定した軍事作戦は可能でも、目標を限定した人道援助は難しい。投下した食料が健康で若い兵士に持ち去られるかもしれない」(10月18日)……いや、目標を限定した軍事作戦も不可能みたいですね。以下。

 「めったうちされる Kabul」。
 さて、昨日の赤十字施設、民間住宅への爆撃について。米国政府の発表によれば「目標選択の過程での人為的なミス」「誘導装置の誤作動」らしい(http://www.asahi.com/international/update/1027/010.html)。
 問答集がどこかにあるのだな、きっと。
 Q.「民間施設爆撃の事実が報道されたら」 A.「しおらしい表情で「情報が古い」「人為ミス」「誤作動」のいずれかを原因とせよ。責任を負わぬよう、断定は避けること。更に質問された場合は「お前はテロリストの味方をするのか!」と突っぱねること。」
 Q.「民間施設爆撃の事実を"敵政権"が主張したら」 A.「嘘つき扱いするだけでよい」(参考http://www.asahi.com/international/kougeki/K2001101703119.html より、ラムズフェルド国防長官「タリバーンはうそつきだ」← 本当に言ってたのか……冗談で書いたのに)


2001/10/26

 『琉伽といた夏 1』(外薗昌也 著/集英社)を読んだ。("が"ではなく"と"なのが、いいなぁ)
 夏。「あの扉を開けたら、夏が待っていると思い込んでいる猫」はピートだったか。物語を語りはじめる"誰か"も、夏をつよく想う。"誰か"の立つ、夏のない世界は、語られる物語の先にあるのか、それとも――
 こういう話にはとても弱い。東京都庁とかギシギシとかカタバミとかイヌタデとか……妹とか。晩夏の、暑くてだるい日常に、まぎれこんだ冷たい"琉伽"。話の続きは、予想が付くような付かないような……はやく続きを読みたい。
 チャーミー小林こと、小林敦君は、ちょこっと速水厚志が入っているような気がする。

 以下、アフガン空爆関連。

 狙いは"犯人とされる人物"ではなく、あの土地だ――アフガニスタン―縛られた手の祈り から、US aims beyond Bin Laden(BBC 2001/09/18)を読む。

 『幸運なる二世ジョージ・ブッシュの真実』(J・H・ハットフィールド 著/二宮千寿子+渋谷正子+真喜志順子 訳/青山出版社)の作者が"謎の薬物自殺"を。彼の遺稿は「"息子"と"息子"は仕事上での"関係"あり」だとか。(ソフトスカル・プレス社の弔辞からワシントンポストの記事へ)

 「テロ事件で抑圧されるウェブ上の言論の自由(上)」「同(下)」(2001/10/29 追加)。

 「US hits Red Cross again」(BBC 2001/10/26)。今度も「情報が古かった」のか?
 ICRCのスポークスマンである Musa さんの言葉 "all Red Cross installations were clearly marked and all parties in the conflict had been told their locations "


2001/10/25

 『狼には気をつけて 3』(遠藤淑子 著/白泉社)を読んだ。12歳で大企業の最高責任者を"やっている"アレクと、彼女の護衛(?)ぼーっとした私立探偵フォレスト君のシリーズもの。
 同時収録の「星の大王様」、クライマックスでの家族の盛り上がりと、それを見て引く"とかげ"の反応に大笑い。シリーズのほうも、安定していて面白かった。
 この本、何故か今月の「花とゆめ COMICS 」新刊の並びに置いてなくて、うろうろと探し回った。

このように何事にも原因はあるし、恐怖とはその対象について、何の情報もないから起こる感情よ。知る事によってこわくなくなるの。
 (p.48 アレクの言葉より。句読点は引用者がつけました)

2001/10/24

 『現代戦争論 ポストモダンの紛争 LIC』(加藤朗 著/中公新書)読了。(第二版(2001年9月30日)には補記(2001年9月15日)が追記されている)
 頻発する LIC(Low-Intensity Conflictの略、低強度紛争)。LIC とは一般的に「テロ、ゲリラ、民族衝突、宗教紛争」などを連想させるが、その定義はあいまいなのだそうだ。本書の構成は次の通り。

  1. 理論(定義、原因、手段)
  2. 事例(アメリカ合衆国の対応の変遷)
  3. 対策(LICを管理するには)

 第1部では、それまであいまいだった LIC の定義を、主体に注目して「亜国家主体 対 国家主体の紛争」と再定義し、テロとゲリラについても、定義が行なわれている。
 第2部では、アメリカ合衆国の対テロ対策について、「守りの対策」から「軍事力による対策」への変遷が実例(イラン米国大使館占拠事件、リビア爆撃)とともにとりあげられる。そして、この二つの対策がいずれもテロ抑止の有効性を持たなかったということが説明される。(この本の初版が出たのは1993年)
 そのうえで、第3部の対策で 「LIC の管理」が提案されるのである。
 テロとは何か、何故テロが起きるのか、ということをつかむに大変良い本だと思う。テロを抑止する為の対策として提案される第3部は、あまりに大胆で、けれど「法による裁き」と「国家間を超えたテロへの対応」としては、これがもっとも良くはたらくのではないか、と納得できる。ただし、そのような組織の実現は、本書の初版発行から8年たった今(2001年)でも、困難な状況ではあるのだが。
 必読


2001/10/23

 ひきつづき『現代戦争論』。
 「テロ反対」「テロは何も生み出さない」と言ってるひとのテロの定義って何だろう。対象とする主体は、亜国家に限定されているのかな。「テロ支援国家も同罪。許さない」と米国大統領は言っていたけれど、この言葉を聞いた瞬間「自己批判?」と思ったひとはそれなりにいると思うのだが。
 などと考えていると、なかなかすすまない。

 うーん、それは WTC の住所ではないです。鈴木クニエさんが 10/11 の日記で、そのことについて詳しく書かれています。(余談。『タリバン』は、鈴木さんの感想を読んで、購入をきめました。)

 「ウェブ利用で格段に迅速化した平和運動」。


2001/10/22

 いっかいやすみ。

 『現代戦争論』を読んでいる。
 「テロは定義するより描写するほうが簡単な現象」(p.70)「つまりテロは紛争解決のための手段の一つであり、図3(引用者註:原文はローマ数字)に示すように、話し合いや交渉のような平和的手段とゲリラ活動、通常戦、核戦争のような物理的暴力の中間に位置する精神的暴力の一種である。」(p.72)「国家主体が亜国家主体にテロを行使する場合がある。」(p.73)
 テロを定義するのは主体ではなくて手段なのだろうか。

 長谷川さんというかたの、この投稿にうたれてしまった。何度か読み返す。

 やすみ、と思ったけれど、これだけ。
 「アフガン空爆で病院など被弾、市民に死亡者」(http://www.asahi.com/international/kougeki/K2001101602952.html
 「タリバーン大使、「病院空爆され100人犠牲」と訴える」(http://www.asahi.com/international/update/1022/025.html
 タリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使「米英軍はヘラートの病院を空爆し、約100人以上の患者、医師、看護婦らが死んだ」「これは超大国によるテロだ」
 「病院空爆声明に米国防総省「確認も否定もできぬ」」(http://www.asahi.com/international/update/1022/027.html
 「Taliban says 100 dead as hospital hit」(Guardian)

 "When journalists forget that murder is murder"(R Fisk)


2001/10/21

 風邪はまだ治らない。粥をつくって食べる。

 菊花賞。NHK総合で観戦する。久々の的場さんを見られて(聞けて)嬉しい。でもまだ見たりない……。レースは大荒れして、マンハッタンカフェ、マイネルデスポット、エアエミネム。

 「マハティール首相はブレア首相の電話に、アフガン攻撃は無駄な戦争だと
 しかし日本国の首相は「米国大統領はゲーリー・クーパー。(以下略)」だからなー。本当に支持率高いのか?……信じられん。自分の息子は芸能界に入れて、自衛隊はがんじがらめにしてまでも戦地に飛ばしたい……同じことを森前首相がやっていたらあっというまに(略)。ああ、まだ森さんのほうがマシだったよ。(人柄などという胸の悪くなるような目くらましが無いから)

 「「お前たちは有罪」「地上部隊がやってくる」タリバンへ米軍放送」悪の軍団の放送みたい。

 さて問題です。
 「民家2戸が空爆受け18人死亡 タリバーン政権発表」(http://www.asahi.com/international/update/1021/011.html)について、米国政府はどう対応するでしょう。次の中から選びなさい。(配点:5)
 a.「あそこに首謀者がいた」 b.「情報が古かったので間違った」 c.「タリバンは嘘を言う」 d.「無視」

 空爆支持の人の望む「終わり方」は、どういうものなのか。まさか「米国政府が終わりといったら終わり」なんてお粗末なものではないだろう。空爆反対派を「代案は無いのか」と問い詰める「空爆支持派」は現実的な考えを持っているのだろうし、私はそれを聞きたいと思う。(皮肉でもなんでもなく、真面目にそう思っている)


2001/10/20

 風邪をひいた。

 食事中のひとは見ないように。→ 意図せぬ"誤爆"の結果の画像。なるほど、足のひら(?)はこんな風に残るんだ。(文字コード(windows-1256)対応をしていないと文字表示は化ける。)

 Alternative Mailing List's より。
 ペシャワール会、中村哲氏の講演録(9月30日 福岡 河合塾福岡校)[1] / [2] / 別の方による同講演のリポート

たいてい外国人が、自分たちの主義主張を通すと、そのためにはトラブルも辞さないと、自分たちののの(引用者註:引用先原文ママ)考え方、主義、主張、価値観、文化観、これを現地に押しつけるということを、私たち医療関係者としては、こういう人々をどうしてくれるんだ、どうして救うんだ、自分の主義が大事なのか、ほんとに現地の女性が大事なのか、ということをいいたい。

 ロバート・フィスク氏「踏み潰され、自尊心をずたずたにされた民族の恐るべき蛮行(日本語訳)」(Robert Fiskのサイト

2万人か3万人の罪なき人々の死をどう思うか、誰でもよいからアラブ人に聞いてみるとよい。彼ないし彼女はまともな答えを返してくるだろう。「非情な、言葉では表せないほどの罪だ」と言うだろう。しかし彼らは同時に、西側の経済制裁ゆえに、およそ50万人の子どもの命がイラクで奪われた時、なぜ同じ「心なきテロ」という言葉を使わなかったのか、1982年、イスラエルのレバノン侵略の際、1万7500人の民間人が殺された時に、なぜわれわれは怒らなかったのかと聞き返してくるだろう。

 千田悦子氏の講演録(津田塾大学)

1979年ソ連侵攻以来、難民問題が注目され支援もあった。しかし「支援疲れ」となって、いつしか注目されなくなり、この空爆でアフガンがまた注目されるようになった。でも数年後また同じように忘れ去られるのかと思うと胸が痛む。

2001/10/19

 通勤中『現代戦争論 ポストモダンの紛争 LIC』(加藤朗 著/中公新書)を読む。"LIC"とは"Low-Intensity Conflict"「の略で低強度紛争のこと。リックと発音」(本書 p.3)。

LICといっても多くの読者は、一体何のことかと思われるだろう。低強度紛争と言い直せばテロやゲリラ、あるいは歴史に興味のある人であれば、パルチザンやレジスタンスを思い浮かべるかもしれない。また最近の民族衝突、宗教紛争を連想する人もいるだろう。実際、LICの中には政治学でいう破格現象(anormaly)としての性格を持つものもあり、LICとは何かについて万人が納得する統一的な定義は今のところない。
  (本書 p.6)

読んでいるのは、2001年9月30日第二版(初版は1993年8月25日)。本の最後に、2001年9月15日付け「補記」が載っている。

 食事会。鹿の刺し身を食べた。店員に「これ、どこの鹿?」と(冗談で)訊こうかと思ったが、疲れていたので、やめる。美味しい肉だった。(鹿やエルクがかかるスポンジ状脳症の慢性消耗性疾患(CWD)については、中西準子氏の「3-148.雑感(その148 -2001.10.9)「野生動物と狂牛病」 」で知った。)

 「イスラエル軍がパレスチナ自治区ベツレヘムに侵攻」(http://www.asahi.com/international/update/1019/018.html
 記事より「イスラエルは自治政府に対して、ゼービ観光相の暗殺犯の即時引き渡しを求める「最後通告」を突きつけ、応じなければ大規模な軍事攻撃に出る構えを見せている。」← 良い子のみんなはUS"ふきゅーのせいぎ"のマネをしちゃダメだよ!……と言っておこう、とりあえず。


2001/10/18

 『タリバン』(田中宇 著/光文社新書)を読んだ。
 アフガニスタンの置かれた現状をわかりやすくまとめてある。今回の空爆で主となるのは「アフガニスタン」問題であって「イスラエル−パレスチナ」問題では無い(関係が無いわけではないが)。それを理解するに良い手引き書だと思う。それ以外の部分、たとえば「第三章 サムライの国・アフガニスタン」のラフマッドさんのエピソードは興味深かった。名のある個人の話は、「XX人の傾向」という味気ない分析より、ずっと楽しい。
 著者は、米国が首謀者と断定した人物については同じ考えをとっているようだが、その上で、その首謀者とタリバンとの関係を書く。反米感情で彼を匿っているのでは無い、と。
 「タリバンは女性に酷いことをするから、空爆しろ」という、ある意味非常に大胆な発言をする知人の話は以前にも書いたが、それについてはこの一文が目にとまった。以下に引用する。

タリバンにたいするゆがんだ見方は、カブールの女性たちが着用している「ブルカ」に象徴されている。ブルカは伝統的な上着の一形態であり、ブルカ自体を着たくないと思っている人は、カブールの女性のうち一割しかいないという調査結果が出ている。彼女たちが嫌悪しているのは、たまたま何らかの理由でブルカを着ていない女性に対し、タリバンが暴力をふるったり、投獄したりすることである。
 ところがアメリカの人権団体などは、ブルカの存在自体が「女性差別」であると主張している。これはカブールの女性たちにとっては、民族衣装を否定されたことになるため、多くの女性が怒っているという。
 「人権侵害がある地域には援助しない」という考え方は、国連でも定着しているが、この場合の「人権侵害」は往々にして、ブルカの場合のように、他民族に対する欧米人の無理解や文化的傲慢に根差していることが多いため、間に挟まった現場の国連職員が苦労することになる。
  (本書 pp.155 - 156)

 いずれにせよ、これは「内政問題」であり、空爆の理由にはならない。北部同盟のほうがより酷かった、という話は散見されるが、またそうなったら、また空爆するのか?
 この本を読むと、「交渉を拒んでいるのはむしろ米国のほうではないか」という感じがより強まる。少なくとも、国連の現地職員はそう考えているようだ。

 「<ブッシュ大統領>米国赤十字本部訪問 誤爆には触れず
 記事によると訪問は16日。「大統領は「子供たちは暖かい衣服や食料、薬を必要としている。米国の子供たちのおかげで、この冬、寒さに苦しむアフガニスタンの子供たちは、ほとんどいなくなるだろう」などと、約100人の子供たちを背に訴えた。」
 同日(16日)の「カブールの赤十字倉庫への"誤爆"」の理由は、「情報が古かった。元々あそこはタリバンが武器庫として使っていた」だった。
 古い情報で「ピンポイントで精確なので民間への被害は殆ど無い」と主張する神経を疑う。
 国連の現地職員は「倉庫の屋根には赤十字の印が大きく描いてある。関係各処にも赤十字の倉庫であると連絡してある。考えられないことが起こってしまった」と言っていた。(2001/10/20 追加:ICRCの施設が空爆を受ける
 そもそも、その"古い"情報はいつのものなのか、そして倉庫を赤十字が使いはじめたのは何時なのか、それを知りたいと思ったが、TVニュースはそこで終わった。

 「対テロ法案:野中、古賀氏、採決前に退席 民主にも造反議員」。


2001/10/17

 "愉快"な失言を2つ。

 「なぜ米国人は嫌われるのか “中東のCNN”に聞く」(http://www.asahi.com/people/update/1016/005.html
 カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」ワシントン支局のファフェズ・アルミラージ支局長へのインタビュー。
 ――米政府はビンラディン氏のビデオをそのまま流さないよう米メディアに要請したが。
 「暗号などが入っているというのは深読みだ。安全保障を理由に自粛を要請すべきではない。ワシントンからも連日、実況中継はあり、その一部をプロパガンダと見なす視聴者もいる。内容の是非は視聴者に判断させるべきだ」

 「米議会で「大規模なサイバー攻撃を防ぐ」ための公聴会」うーん、マックを使えば安全、というのはちょっと短絡的だと思う。選択肢はひとつではない、というのはいいことだけれど。


2001/10/16

 光文社が新書を出した。
 本屋に並ぶデザインは一見、集英社新書によく似ている。色使いはそっくり。すこし地味かな。手に持つと、表紙はあれよりもやや柔めで本ページの紙も薄く、片手で持った時、丸まって手に馴染む。
 創刊10点のなかで特に目を引くのは『タリバン』(田中宇)だろう。レジの前や、"アメリカ同時多発テロ"の関連本を集めたコーナーにも積まれている。
 『本格焼酎を愉しむ』(田崎真也)は、あまり見かけることの無い焼酎関連本。利き酒の印象がずらりと並んでいて、これはたぶんワインを表現する時の言葉なのか――ちょっとぴんとこないが、たとえば「森伊蔵」はこう書かれている。

(24)「森伊蔵」二五度。香りは非常に華やか。黄色い果肉の果物の香りと華やかなお花の香りがまず先にきて、その後にミネラルの香り。白い土、石灰のような香りと芋の蒸れたような香りは控えめ。味わいはソフトで上品でバランスがいい。アフターで少しドライな印象を感じます。全体的にかなり上品。
  (同書 p.124)

"芋の蒸れた"というのは分るんですけど。

 さて、アフガニスタン空爆関連。

 「<アフガン攻撃>インドネシア大統領が空爆反対に転換
 メガワティ大統領「いかなる政府もテロリスト逮捕のため他国を攻撃する権利はない」

 「米軍のアフガン食糧投下を厳しく批判 国連の特別報告者」(http://www.asahi.com/international/update/1016/016.html)。
 ジャン・ジーグラー氏「食糧援助を行っている世界のすべての組織の中立性を疑わせ、信頼を損なう行為であり糾弾する」「(国連機関の対応について)米国を支持するのは、米国の資金を頼りにしているからだ」

 「テロ対応:日本宗教連盟が「戦闘によらない解決」求める声明
 佐藤丈史・同連盟事務局長「各団体の最大公約数で文案をまとめた。連盟に未加入のイスラム教の教義について学ぶ研究会を作り、活動を広げたい」
 記事より「同連盟がこうした政治的な声明を一致して発表するのは極めて異例」とのこと。


2001/10/15

 すこしずつ『暗号の秘密とウソ』を読んでいる。今のこの状況でこの本が出た偶然が、ちょっと恐い。

 Hotwired Japan Column 小林雅一の「メディア・パワーシフト」第8回 パニックを誘発するニュース
 「事件後、CNNが放送した、テロを喜ぶパレスチナ民衆の映像が、91年のクエート侵攻時のものであったというネット上の噂も、ニューヨーク・タイムズ紙によれば「デマ」である。」
 これについては、2001/09/15の日記に流れをメモしてある。重要なのは「使いまわしではなかったが、それが本当に"テロを喜ぶ映像"だったのか」という点。「同番組(引用者註:ドイツのTV報道番組「パノラマ」)は、真実かそれとも演出かと問い、この映像の真偽を疑うのではないが、その場の雰囲気が誰かによりたきつけられたものかもしれないと問うてみる必要はある、とする。」(「テロを歓迎するパレスチナ人の映像」問題について から引用)

 「アフガニスタンに心理戦も仕掛ける米国(上)」「同(下)」(2001/10/16 追記)食料とともにラジオを投下する作戦だとか。戦略国際間題研究所(CSIS)の軍事アナリスト、ジェイ・ファラー氏曰く「政府が変わることが(国民にとって)好ましい事態だと理解してもらい、それが実現したときには協力してもらうよう、種を蒔くための作戦だ」
 ……ものすごくすれ違ってますなぁ……ほんとうに正義だと信じてやってるのかもしれない。信じられないことだけれど。


2001/10/14

 秋華賞。テイエムオーシャン(一番人気)、ローズバド、レディパステル。本田騎手は前回より落ち着いた様子でインタビューを受けていた。

 同じ時間に、日本テレビは「長嶋茂男」を特集し、NHKは「イチロー」を特集していた。

 『アイアンマウンテン報告』(レナード・C・リュイン 著/山形浩生 訳/ダイヤモンド社)を読みなおし。

現代社会においては、個人の決断は社会的な方向性とは極端に距離があるため、社会構成員は自分でも認識せずに「目には目を」的態度を取りやすい。最近の例としてはベトナム戦争がある。少し昔の例としては、広島、長崎への原爆投下が挙げられよう。いずれの場合も、その被害者が「敵」だという見解さえ確立されれば、ほとんどのアメリカ人はその虐殺の規模と必然性のなさを、政治的な方程式の中で抽象化してしまえたのである。
  (同書 第5部「戦争の機能」p.87 より。強調は引用者による)

 たぶん、今回のアフガニスタン空爆にしても、そうなのだろう。TVニュースがどんな内容を伝えているのか、私はよくは知らないけれど、空爆の正当化をどんなふうに行なっているのだろうか。そして、再確認の必要さえ感じさせないほど、ひっきりなしにそれは行われているのだろうか。


2001/10/13

 かの地は兵器の展覧会場。なお実演も行なっております――

 米国国防長官「残念だが、軍事行動を行えば、意図しない人命の損失はある」(http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001101200790.html


2001/10/12

 6月の仕事が面倒なことを背負って帰ってきた。

 日・パ旅行社の「オバハンからの緊急レポート」。「小泉首相に質問する」に出演した感想が 10月13日 01:22 にある。そして CNN や BBS の「現地中継」の様子も。


2001/10/11

 Wired News から。
 「アフガニスタンを知るためのウェブサイト
 「米国の銃規制問題、テロ対策法案に盛り込まれず」記事によると、「米司法省はテロ対策法案において、インターネットの利用者に対して、国家の安全保障のためにプライバシーの一部を犠牲にすることを求めている。しかし、銃の購入者には、このような譲歩は要求していない。それどころか、アシュクロフト司法長官のオフィスでは最近、銃所有者の権利保護をさらに強化して、匿名性を認めようとする動きがある。」露骨な選挙対策だなあ。

 『暗号の秘密とウソ』"ドキュソ"(lamer) "厨房"という言葉をこの手の本で見ることになるとは。註釈が無いと分からない人もいるだろう……たぶん。こういう単語を見るとつい「平賀源内」などと思うのだった。

 「KING'S FIELD 4」トカゲが嬉しそうに走ってくる。そしてゲームオーバー。


2001/10/10

 『暗号の秘密とウソ』(ブルース・シュナイアー 著/山形浩生 訳/翔泳社)読みはじめ。トラフィック分析、面白い。今回、ペンタゴンへのピザ宅配になにか変わったところはあったのかな?

一九九一年にアメリカがイラクを爆撃したとき、ペンタゴンへのピザ宅配は数百倍になった。だれかが見ていたら、絶対に何かが起きるとわかっただろう(おもしろいことに、CIAへのピザ宅配は、ふだんとまったく変わらなかった)。
  (同書 「第一部 背景」p.46 より引用)

 「戦争」を唯一の手段と唱えるひとびとは、「戦争」の"終わらせ方"を考えているのだろうか「戦争にかわる手段も考えずに、戦争反対とだけ言うのは浅はか」と言う口を見ながら、思った。気のはやいことに、終わった"後"については熱心に考えているようだが。

 国境なき医師団のサイトより「国境なき医師団、軍事攻撃と援助物資投下の同時作戦を批判」。(2001/10/11 「無断リンク禁止」の注意書きがありましたので、リンクをはずしました。)


2001/10/09

 アフガニスタンへの空爆は続く。
 いつミサイルが撃ちこまれるか分らないという状態がどれほど苦しいものか――以前一緒に仕事をしたひとから、雑談にまぎれて聞いた話を思い出す。そのひとには逃げて帰れる国があった。だからこそ雑談ですんだ話でもある。

 [ Bill Totten's Home Page : Our World ]から「No.490 暴力では解決しない」。トッテン氏の「狂乱状態の大衆に冷静に理性的に語ることは安全ではありませんし、決して有効ではないからです。」という言葉にこめられた冷静さに驚く。文中の「アメリカ合衆国が空爆を行なった国と年代(第二次大戦以降)」。ほとんど絶え間無く行われていることさえ、私は知らなかった。
 知らないことが罪なのだと、少しは自覚してもいいのではないだろうか?中途半端な知識をもって歴史家のように振舞うのではなく、目の前の事柄を自分の知識の不足を意識しながら受け止められないものだろうか?そう、TVニュースを見るたびに思う。
 ネットのほうが、TVニュースのお祭り騒ぎよりよほどリアルに感じられる。

 「「ウェブサイトはテロ攻撃にどう反応したか」をアーカイブ化」(Hot Wired)

 某サイト経由で「劣化ウラン弾」。たしかコソボでも使われたはずだが、NATO はその影響については一切否定している。


2001/10/08

 US & UK アフガニスタンに空爆開始。曰く「タリバンに、だ。アフガニスタンにではない」詭弁。「民間人に被害はない」おいおい。つまり「死んだ人間は全てテロリスト」と言うわけか?

 現在の全ての日本のTVニュースについては
 「シリアスに検証するのだと称しながら、その実ひどい子供っぽさと無知と救いようの無い臆病根性(チキン)でこの話題を扱っている
という批判がふさわしいだろう。(「」内は『ジャングルクルーズにうってつけの日』(生井英考 著/ちくま学芸文庫)p.365 マイケル・アーレンの記事("The Bombs Below Go Pop-Pop-Pop"(1968))より孫引き。アーレンがこの記事で批判しているのは、ヴェトナム北爆を伝えるCBSの特集番組)

 「KING'S FIELD 4」墓場で10数体の骨に囲まれる。これがPS2のパワーなのかと感心する。土饅頭からふわぁと土煙が上がり、次の瞬間、骨がずらりと立ち並ぶ画面は、一見の価値あり。……でもゲームプレイヤーとしては、あんまり見たくない。(恐い)


2001/10/07

 京都大章典。着順はステイゴールド、テイエムオペラオー、スエヒロコマンダーだったが、ステイゴールド(後藤騎手)は斜行による進路妨害で失格になった。直線、ナリタトップロードの渡辺薫彦騎手がすごい状態で落馬した(騎乗位置から、前方に転げ落ちたように見えた)のでぎょっとした。が、幸い打撲で済んだらしい。ナリタトップロードもおおむね無事とのこと。(詳細はhttp://www.jra.go.jp/info/osirase/20011007-today.html

 「KING'S FIELD 4」(PS2/FROMSOFTWARE/RPG)を始める(「EVE TFA」は中断)。最初のセーブポイントにたどりつく前に3回ゲームオーバーになった。その後も着実にゲームオーバーの回数は増えている。
 開始時のHPは50、装備品無し、アイテム無し、一文無し。はじめて入手する武器は、ちょっと勇者の気分を損ねる。(まだKF2の初期装備のほうが勇者だ。)私は気に入ったけど。情けなくて、いい。


2001/10/06

 『終わりなき戦い』(ジョー・ホールドマン 著/風見潤 訳/ハヤカワ文庫)読了。
 異星人トーランと人類との戦いがはじまった。長い長い戦いのきっかけは、人類の移民船のひとつが消失したことだった。主人公は改変された徴兵制のもとに徴兵され(期間は5年)、特殊スーツを身につけた陸軍小隊の一兵卒として、辺境の星でトーランと戦うことになる。
 描写は淡々としている。主人公は愛国心(愛星心?)に燃えている訳ではないし、戦いのなかで、"正義"を見つけるわけでもない。守るべき故国(母星)はすべてにおいて遠く、自分がやらなければ!という気持ちはかけらも生まれてこない。しかも敵を憎む気持ちさえ――
 なんだか目の前に状況があるので戦うだけだ、というような感じ。燃えない戦闘描写がとてもいい。
 戦闘と軍だけを書いて、好戦的でないおはなしでした。いたずらな反戦でもないし。

 TVに出て「戦争ってそういうものですよ」と言っているのは、ちょっと考えてみると「戦争を体験していない大人」ばかりだったりする。


2001/10/05

 「デザインの現場」2001年10月号、特集は「今仕事を頼みたい 11人のグラフィックデザイナー」。そのなかのひとり、秋山真氏のページに『エントロピーの森』(ハイナー・シリング 写真/山形浩生 著/ハイナー・シリング展実行委員会)の表紙が載っている。「秋山さんがCTP印刷を採用した最初の本」(p.28)。CTPとは「Computer of Plate。データから直接刷版を出力する方法。時間とコストを削減し、かつ質の高い刷版が出来るのがメリット」(p.29)だそうだ。

「印刷代が安くなれば、その分の予算を素材に使うことができるので、最近はCTPを採用しています。再現性が重視される美術展のカタログで本紙出校が難しいCTPを使うというのは結構勇気がいることなんですが、通常のフィルム構成でもさまざまなプロセスを経るうちに、どうしても誤差が出てしまうのも事実です。結局、ピクトログラフィー、DDCP(Degital Direct Color Proof)などの非本紙校正を重ねて本刷りに立ち会うほうがずっとうまくいくんです」(p.29)
「本づくりでは文字組と素材選びを大切にしています。なるべく必要充分で、きれいなものをつくりたいですね」(p.29)
 (以上 同誌「秋山真 建築的視点から構築する形」(渡辺千春 取材・文)より引用)

2001/10/04

 仕事場の午後。ひもののにおいがただよってくる。ふりむくと、後ろの席に座っている人が、するめをかじりつつタイプしていた。

 テスト結果のレビューを、しどろもどろになりつつやった。


2001/10/03

 『グレイベアド 子供のいない惑星』(ブライアン・W・オールディス 著/深町真理子 訳/創元SF文庫)読了。
 2029年、人類の平均年齢は70歳に達しようとしていた。50年前の《変事》以来、子供は少々の例外を除いて生まれなくなり、最も若い世代は50代(1970年半ば生まれ)という有り様。人類は後継者を失って、滅びつつある。主人公、アルジャーノン・ティンバレンは妻とともに、11年間住んだ村をはなれ、川を下っていく。川沿いに有る集落に立ち寄りながらも、海をめざして――
 破滅もの。書かれたのは1964年。薄明るい、静かで衰えつつある人類の死に派手さは無い。けれど確実に、"ものがたりの終わり"へと読み手の手をひいていく端正な作品。終末のさなかにあっても、絶対の拠り所を作ろうとしない主人公(グレイベアド―灰色ひげ―は彼のあだな)と、主人公の妻、マーサ。主人公の友人で、信心深いチャーリー。奇妙な縁で"ながい旅"をともにする、もうひとりの知人、ピット。
 この本に描かれる、"信心深い人々"は、信仰心のあついひとには、少々不愉快なものだろう。私は心地よく感じたけれど。いや、これが無ければ、この本を読み進めるのは、たぶんつらい。死につつある世界で、彼ら(主人公と妻)のありかただけが救いのように見える。(ちょっと逆説的だけれど)

「一種の泣き虫イエスってところだな」ピルビームが言った。
「温厚な男だよ」ティンバレンは答えた。「いざってときには頼りになる男だ。たとえばきょうのようにな。あれはああいった信心深い男の特徴なんだよ――彼らは、もし自分が神の側にあるなら、敵は必ず悪魔の側にあると考えたがるものなんだ。それだから、人を頭ごなしに攻撃してなんとも思わんのさ」
  (『グレイベアド』 p.203)
<灰色ひげ>は、群集というものの信用のおけなさをよく承知していたから、同情なしにはこの少年をながめられなかった。おそらく少年は、いま熱心に拍手を送っている人びとが、いったん風向きが変われば、たちまち自分の血を要求するようになることを悟っているのだろう。だから彼は、手を振り、微笑を見せる。だがその眼は、けっして笑ってはいないのだった。
  (同書 p.277)

 ちなみに、ものがたりで遠回しに《変事》と呼ばれるものをもたらしたのは「アメリカ合衆国の大気圏外での核実験」。彼らは莫迦ではなかったが、思慮にかけていた、という訳だ。
 今の気分にはぴったりの物語だった。


2001/10/02

 「「テロリストのウェブ利用」報道は暗号製品規制の口実か力いっぱい見え透いていますが、無知ゆえに煽られるナイーブさんたちも多いからなぁ。

 「母親に「なにか大きいことが起きる」と予告していた」 
 「母親のもとに電話をかけ、「しばらく連絡が取れなくなる」と話した」
 とニューヨーク・タイムズが報じたとか。これのどこがテロ予告なんでしょうか?私にはさっぱり分からないんですが、「ノストラダムスの大予言」の読みすぎじゃないんですか、この記事書いたひと。(「ビンラディン氏、母親に前日「テロ」予告 NY紙報道」(http://www.asahi.com/international/update/1002/015.html))


2001/10/01

 笑った。↓

にもかかわらず、昔気質のソフトウェアデザイナーは致命的な欠陥を持っている。システムを便利で使いやすいものにする方法を見きわめる直感が、往々にして乏しいのだ。理由ははっきりしている。プログラマやソフトウェアデザイナーは頭がよすぎるのだ(それにふつうの人の倍の速さでタイピングできる)。
  (『そのコンピュータシステムが使えない理由』(Thomas K. Landauer 著/山形浩生 訳/アスキー出版局)「第10章 ユーザー中心のデザイン手法」p.231 より引用)

 「EVE The Fatal Attraction」(PS/ゲームビレッジ・シーズウェア/ADV)をぼちぼちと。

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