「まず自分がしっかり理解した上で、相手に上手く説明するための技術」
(p.8)について書かれた本。
そのために使う方法としてアナロジーがとりあげられている。
著者のサイトで、目次と前書きの抜粋を読むことが出来る。
アナロジーを使えば簡単に説明できる、わけではない事が、
アナロジーを使って分かりやすく説明されている。
それが何だか面白かった。
他人に説明する場合、
説明する事柄について、相手がどれだけ理解しているか、
それが分かってはじめて有効に使える、ということはつまり、
使うのは難しい方法ともいえる。
似たところが多すぎるものを譬えに使うより、
ポイントとなる一点のみ似ているものを使ったほうが、
上手く説明できるのかなと思った。
似ているところが多すぎると、
ポイント以外の似ている部分に説明も理解も引っ張られてしまうような気がするので。
ジャズについてはほとんど知らない。どれくらい知らないかというと、
僕のニューヨークについての知識といえば、 ハリウッド映画やらダイモン・ラニオンの小説から仕入れたものだけだった。 タイムズ・スクエアとかコニー・アイランドとかいったいくつかの地名は知っていた。 でもアップタウンとダウンタウンの違いもわからなかったし、 どこに行けば聴きたい音楽が聴けるのかもわからなかった。
(ビル・クロウ/村上春樹 訳 『さよならバードランド』 (新潮文庫)p.18)これくらい。
さすがに、 本書で章のタイトルになっている人の名前はわかるけれど、 だからといって、音楽を知っていることにはならないだろうし。
けれど、その程度の知識しかなくても充分に楽しめた。
酒にまつわる話が面白かった。 ビックス・バイダーベックがお洒落に無関心な理由(p.160)や、 エディ・コンドンと酒(pp.279-282)とか。