『ケルベロス第五の首』は読み終えています。
■【読書メモ】「アメリカの七夜」(ジーン・ウルフ/浅倉久志 訳)「SFマガジン」2004年10月号掲載
主人公(中近東の御曹司)が、文明崩壊後のアメリカ合衆国旧首都を訪れる話。
主人公が怪しい影に向けて銃を撃つ場面から、急に楽しく読めるようになった。そのあとは、オフィスをたらいまわしにされる場面や、もう一度銃を撃つ場面などを楽しく読み、謎があることには全く気付かなかった。
以下は、謎を整理するためのメモ(卵に似せた菓子の行方)。
主人公は、就寝前に日記をつけているらしい。朝につけている日もあるが(p46)。
ハリーぬきの芝居(p50)は行われなかったのだろうか?移動にかかる時間はどうなんだろう?
■タコ型宇宙人
『宇宙戦争』に出てきた火星人はタコのような姿でした。外見はタコさんウィンナーというより、エイリアン(映画)。ヨダレをたらしてるし。
『火星人ゴーホーム』の火星人は、緑色の小人でした。プログラマが徹夜中に召喚する小人さんとは別人だと思います、たぶん。
地球以外の惑星で育った人類が、月育ちを月人と呼ぶ話もあったと思います。手元の本の山を探したら「逆行の夏」(ジョン・ヴァーリイ/『20世紀SF (4) 1970年代』(河出文庫)所収)が出てきました。
台風18号通過。
■【本の感想】『にせもの美術史 メトロポリタン美術館長と贋作者たちの頭脳戦』(トマス・ホーヴィング 著/雨沢泰 訳/朝日文庫)
本書前半は古代から現代に到るまでの贋作史、後半は著者が実際に出会った贋作と、
それがどうやって贋作と判定されたか、その具体的ないきさつが描かれている。
著者はメトロポリタン美術館のキューレーターを経て、
1969〜1977年の間、同美術館館長を務めた。
翻訳では、訳者の判断により原書のほぼ三章分(他の贋作に関する既刊本で内容が重複すると判断された部分)が省略されているとのこと。(訳者あとがきより)
とても面白かった。
科学分析では判定出来ないような贋作や、
あまりにも単純な贋作にもかかわらず、基礎的な調査さえせずに高額で買い取られた贋作、
そもそも贋作かどうか判らない作品や、本物であるのに贋作と判定されたもの等々。
科学分析を行なった上で、作品の由来が常識的なものであるかを調べ、そして絵画を実際にたくさん見てきた人間の目で判断して、はじめて真偽がわかる作品があるらしい。もちろん、そうしても、贋作かどうか判断しかねる作品もあるそうだ。
科学分析だけで全てわかるのかと思っていたので、びっくり。
著者の贋作についての文章には、自分を特権階級に置くような高慢さが感じられない。 それが、この本を楽しめる理由のひとつだと思う。
「人が確信を持てるものがあるだろうか?」と彼(引用者註:ヒューバート・フォークナー・ヴォン・ソンネンバーグ。鑑定家)は言う。「だがあらゆるものが疑わしいからこそ、こうした贋作事件で鑑定に挑戦する醍醐味がある」(本書p.362)
訳者あとがきを読んで興味を持ったなら、おすすめの本です。
『象られた力』を読んでいます。