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お待たせいたしました!
新世紀の幕開けを飾る超大作『モンテ・クリスト伯』。
その活気に満ちた稽古場の様子を、
エデ役の鬼頭典子がお届けします。


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第五巻(2001.1/1〜)

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1月7日、稽古場日記最終号。
・・・と言ったら、皆さんがっかりですか?
昨日、今日と、王子の北とぴあというホールで舞台稽古がありました。
昨日は場当たり。(文字通り、頭から場面を当たっていくこと。)
初めてキャスト・スタッフ全パートが揃い、しかも劇場での稽古なので、
芝居と照明と音響、そして舞台転換のトータルの合わせを綿密に稽古しなくてはなりません。
暗転中に登退場する練習もします。衣裳の早替えも稽古しなくてはなりません。
ものすごい数の『モンテ』関係者が、神経を張り詰めてそれぞれのパートの仕事を行っています。
演じている最中に衣裳が崩れると、宮本さんはじめ、すぐに衣裳さんがとんできます。
そして、着やすくなるように、あっという間に直して下さいます。
メイクが変だと、ヘアメイクの林さんがそばに来て、
手持ちの何色もあるフェイスパウダーで、魔法のように綺麗にして下さいます。
(衣裳さん、ヘアメイクさんは大勢いて、
いつも衣裳やかつらの状態を客席からチェックしてくださっているのです。)
小道具がこわれれば、演出部がものすごいスピードで修理してくれます。
演出部は盆回しがそろそろ腰に来始めています。大変そうです。
客席には振付の新海さんもいます。
危なくないように、そして、遠くから観て配置のバランスが良くなるように、手直しが入ります。
音楽の車川さんの姿も見えます。
客席のずーっと向こうの上の方で、照明さんがピンスポットをふっています。
音響さんの、きっかけを確認する声が聞こえます。
演出の高瀬さんは客席からマイクでダメ出しです。
制作の浜本さんは楽屋付近で細々とした仕事を一手に引き受けています。
本当に沢山の人が劇場を右へ左へ駆けずり回っています。
わさわさして、落ち着くヒマがありません。
でも、この雰囲気が私は好きです。
芝居を創ってるんだな、大勢の人が力をあわせてるんだなと実感できるからです。
そして、舞台裏の暗さも好き。
すぐそこに、自分が出ていく明るい舞台が見える。
そして、袖幕の向こうに客席が見える…。
もうすぐ、あの座席がいっぱいになって、たくさんのお客様に会えるんだなと思います。
そこで初めて、『モンテ・クリスト伯』はかたちになるのです。
この日記を読みつづけてくださった皆さん、劇場に必ずいらして下さい。
お客様も『モンテ・クリスト伯』をかたちづくる大切な大切な一員です。
劇場全体が熱気に包まれることを願います。
一度きりしかない、ライブの、素晴らしい瞬間を皆で味わえますように。

今日、通し稽古をして、あとは初日を待つのみです。
スタッフと下っ端の役者たちは明日、キャストはあさって大阪へ向かいます。
ドラマシティでもう一度舞台稽古をして、初日を迎えます。
いろいろありましたが、内野さんを筆頭にみんな元気です。
もう、今までやってきたことを信じて頑張るしかありません!

長い間日記を読んでくださって有難うございました。
たくさんの励ましメールをいただき、心より感謝いたします。
この日記は、文学座のホームページを担当している演技部の村治 学さんが、
毎日私の送るメールと写真を編集して下さって出来たものです。
旅先にパソコンは持っていけませんが、デジカメは持って行きます!
そして、メールのできる携帯も持っていきます。
少し余裕が出来たら、番外編もあるかもしれません。
とにかく、今は本番に向けて全力を尽くします。
皆様にお会いできるのを楽しみに…。いってきまーす!

エデ こと 鬼頭 典子


1月3日、4日またもや合併号。

またサボってしまいました。ごめんなさい。
3日は最後の綿密な稽古。
頭から流しながら、もう一度修正を加えたり、確認したりしていきます。
高瀬さん、粘ります。
アトリエ公演ではなく、大きな劇場で演じる、
壮大なドラマを成立させるため、ダイナミズムの演技を要求してきます。
さんざん苦労した大人数のシーンも、中心にいるモンテ・クリスト伯を引き立たせるための
周りの反応というのが素晴らしく出来あがってきて、
これぞアンサンブルの芝居という感じです。
しかも、ただ脇役に徹しているのでなく、それぞれのキャラクターや立場で
リアクションできるようになったので、シーンにリアリティがあります。
客観的にずっと変化を見てきた私には、鳥肌モノ(?!)です。
ああ、みんなもすごいけど、高瀬さんの粘り勝ち。
仮に創ってあったラストシーンもついに決まりました。なんだか感動…。
ついに、ついに、形になってきました。
そして、昨日は夜9時半くらいまで稽古して、解散になりました。

そして今日、稽古場での稽古最終日。
明日から都内のホールを借りての稽古になるので、
今日は稽古場バラシの時間も考えて、朝10時から通し稽古開始。
お茶場のごみ箱にはリポビタンDの空き瓶が山のよう。
石橋君はドクターペッパーまで飲んで、「ウーッ、きくーっ!」と唸っています。
だんだん、何かに取りつかれたような一同になってきました。
ナチュラルハイというか…。
風邪を引いている人も多いけど、みんな高揚しています。
若手も、手ごわいダメ出しにもすっかり慣れた様子。
へこんで、チクショーと思うのが、みんな趣味になってきてるかも。
通し稽古、問題は多々あっても盛り上がってきました。
高瀬さんも手応えを感じている様子です。

でも、そんな私たちのもとへ、今日、訃報が届きました。
かねてから療養中だった文学座演出部の杉本さんという方が亡くなったのです。
稽古場は悲しみに包まれました。
一番とんで行きたいであろう演出部の仲間たちは、稽古場バラシと荷物の搬出、
そしてホールへの搬入などで、お別れにも行けません。
複雑な気持ちです。
これを乗り越えてみんなで頑張らなくては。杉本さんのためにも。
そして、私事ですが、今日、家に帰ってみたら愛犬が感染病で重体、入院です。
心が乱れます。
でも、しっかりしなくては。
明日はホールの仕込みのため、芝居の稽古はお休みです…。

外でペンキを塗り終えてくつろぐ、
スタッフ(演出部)の黒木 仁さんと田さん。
へこむシイバラ君(石橋君撮影) と思ったら、全然元気なシイバラ君。

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2001年1月2日、新世紀第一号!
ついにやって来ました、21世紀!皆様、本年もよろしくお願いいたします。
さて、新年初稽古。
2日しか休んでいないのですが、新しい年を迎えた気分も手伝って、一同リフレッシュされた表情です。
あちこちで、「明けましておめでとうございます。」「今年もよろしくお願いします。」という挨拶が聞こえてきます。
お茶場には、演出部の貝塚君が持ってきてくれた鏡餅が飾られ、差し入れのかまぼこが切られ、
みかんが積み上げられ、実家にとんぼ返りして来た人達の各地のお土産が並んでいます。
外はいいお天気。今日もウォーミングアップを外でする人たちが大勢います。

そして、新年初にして、まだトータル2回目の通し稽古が始まりました。
内野さん、2日間のお休みを経て、急激に役に魂が入っています。
演技はキャッチボールですから、主役が変わればまわりもまた変わります。30日の通しとはちょっと違うぞ…!
やっぱり疲れがとれたのかなぁ、リラックスしているのに集中している空気です。
私自身も、今まであまりに迷って悩み苦しんで、飲み屋で激したりもしたせいか、
肝っ玉が据わって開き直りました。半分やけくそにも近い感じ。
何かがはじけて、何も怖くなくなった気がします。
もう、うじうじしているのがアホらしくなりました。
今まで、貞節・純潔・無垢で、マリア様のような優しいエデにとらわれていたけれど、
もっとエゴイスティックに伯爵を愛しているエデでもいいじゃん、なんて思ったりして。
好きなものは好き、確固たる自信、みたいな。
内野さんも「愛にわがままな情熱的な女でいいんだよ。」って言ってたし。
貞節・純潔・無垢がイコール、穏やかでソフトだなんて短絡的だーっ!

同様に、飲み屋でいろいろ思うところのあった椎原君も頑張っています。
高瀬さんから「いつもの1.5倍くらい声が出てるね。」なんて言われるほど。

きっと、みんないい方に向かっていると思います。
初日まであと数日だけど、高瀬さんは決して妥協しません。
いまさらセリフのカットをしたり、まだ役者の気持ちがすんなり流れるのを待って演出を決めつけなかったりします。
それでいて、強気に前へ進んで行きます。
高瀬さんだって人間ですから、時には弱気な日もありました。
でも、本当に頑張っているので、信じてついて行こうと思います。
自分の勝手で演出家や共演者を、時に自分自身をも疑ってかかるのは簡単なこと。
むしろ、信じて身を委ねることの方がパワーが必要です。
でも、何があっても希望を捨てずに、信じて頑張れたら、小細工なんかしなくても、
根っこから『モンテ・クリスト伯』の登場人物になれる、そんな気がします。
だって、『モンテ・クリスト伯』のテーマは、「待て、そして希望せよ。」だから…。
おホモだち ?! 石橋君と弘秋さん。 高瀬さんに質問する美代さん。
(フランス人なので茶髪になりました!)

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