このページは個人サイト内ですが、著作権・肖像権等は兜カ学座が管理しています。
サイト内容の無断転載・二次使用はご遠慮ください。


ロゴをクリックすると公演案内のページに飛びます。

お便りはこちらへどうぞ


第三巻(12/15〜12/20)

第一巻第二巻第四巻最新巻はこちらへ


12月20日号。
もう、『モンテ』の稽古が始まって一月が経ちました。
立ち稽古開始からも12日。
なのに、まだ2回しか頭から終わりまで稽古できていないのだから、
この芝居、本当に大規模です。
だんだん、正規の稽古の他に、時間外の抜き稽古を高瀬さんに頼む人が増えてきました。
正規の稽古中も、出番のない人はどんどん外へ出て行って、
寒風吹きすさぶ中自主練しています。
それは私も同様で、全体稽古がどうなっているか掴みづらくて、
だんだんネタ探しもオモシロ写真撮りも難しくなってきました。
それほど時間がなくなってきて、みんなヒマと場所さえあれば
個人で稽古するわさわさした雰囲気です。
私、鬼頭典子、今日はテンションが低いです。ごめんなさい。
ちょっとくたびれてきたのかなあ・・・。

明日、スタッフさんに流れを確認してもらうために、強引に通し稽古をすることになりました。
なので、今日はこれから念入りに勉強します。
楽しみにしてくださっているのにごめんなさい。
でも、いい芝居にするためにも、ちょっとわがまま聞いてくださいね。

図面を描く、舞台監督の寺田 修さん。 昨日のNG大賞吉野さん(左)と大原さん。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


12月19日号。

朝起きたら、昨日の振付のおかげで筋肉痛!
でも、本日の稽古も振付から。ああ、筋肉痛の上塗り…。
新海さんの元気な声が響きます。「ファイブ、シックス、セブン、エイト!」
もう踊らないわけにはいきません。
ずーっと飛び跳ねているような踊りなので、テンポが早くて大変です。
踊り始めれば乗らざるを得なくて、テンションは上がりっぱなし。
新海さんも「踊りながらどんどん声出して!」と言うので、
「フー!」とか「ヘイ!」とか奇声を発して乱痴気騒ぎ。
みんな汗みどろです。
それにしても、さすがに新海さんの動きは切れがよくてカッコいいです。
同じ振りをやっているつもりがどうしてこんなに違うのぉー、という感じ。
まあ、村人達の踊りなので、人間臭く、楽しくいきましょう。
でも、内野さんは当然カッコよく踊りたいらしく、
ピルエット(回転)してバシッときめて見せています。
その横から恋人役の塩田さんが
「もー、回るの大好きで、回ってる時は私のことなんかなーんにも考えてないでしょ。」
とチャチャを入れています。あはは、そんな感じ…!

今日もかなりの時間踊りまくって、すっかりノーテンキになったところへ、
「はーい、じゃあ15分後に18場の頭からいきまーす。」と演出助手の北さんの声。
18場とは、昨日も稽古した、一気にクライマックスへと突っ走っていく超マジなシーンです。
私、エデも、古傷を再びナイフでえぐりだして血を流すような、ハードなシーンです。
ああ、こんなにノーテンキになってしまって、いったい15分間で
どうやって切り替えたら良いのでしょう。酷だよー…。
必死で気持ちを落ち着かせたものの、やっぱり奥底にノーテンキ君が
ひょっこり顔を出してしまいました。ああ、罪悪感。未熟な私…。エデさんごめんなさい。

18場は大人数の場面なので、それぞれの人間関係を成立させるために、
しつこいほどに丁寧につくっていきます。
みんな徐々に細胞が入れ替わって(?)、グーっと集中度が増していきます。
出番が終わって観ていた私もググッと引きこまれていきました。
と、その時、カドルッス役の吉野さん、超真面目な顔で「中庭で男が赤ん坊を埋めていた。」というセリフを
「中庭で男が赤ん坊を産んでいた。」と言ってしまいました。ドッカーン !!
みんな大爆笑です。もう、腰砕け。
あ〜あ、見せ場なのに、吉野さん…。これもノーテンキ君の仕業かなぁ。

踊るお二方 今日も自主稽古の助ちゃん

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

12月18日号。
休み明けは、元気にダンスの振付で始まりました。
そうです、『モンテ』にはダンスシーンまであるのです。
ダンテスとメルセデスの婚約披露に集う人々のダンスなので、仕上がりはおそらく
「ダンス」というよりは「大騒ぎ」という感じになりそうですが…。
まずは、最初に踊り出す二組、浅野・栗田ペアと林田・鬼頭ペアの振付からです。
簡単なリフトまであって、そりゃもう大騒ぎ。
ダンスなんぞ習ったことのない林田一高君、手と足が同時に出ています。大変大変。
でも、こういう人こそ、振りをちゃんと覚えると強いのです。
その人の味で踊るしかないからです。
役者のダンスは、そういう点がみどころです。
(現に一高君、すでに変な味わいを見せています。)
そして、みんなが加わって、一斉に振付です。
内野さん、塩田さんも踊ります。
汗っかきの内野さん、あっという間に玉のような大粒の汗を額から流しています。
塩田姐さんは、「踊れないよー」というような発言をしつつ楽勝でおどっています。
B子さんにいたっては、のっけから役のキャラクターで踊っています。
どうやらダンスが得意なようです。お見事!
元ダンサーの松井さんも踊っています。控え目にしていてもさすがにダイナミックです!
気付くと、ダンスシーンには何の関係もない人たちまで周りで一緒に踊っています。
稽古場に何日か振りでノーテンキな活気が戻った感じです。
それにしても、休み明けでよかったと思うハードさ。
難しい振付ではなくても、踊り続けてみんなゼイゼイハアハア言っています。でも、
楽しい !!
みんなが踊っているところを写真に収めたかったのですが、何分私自身が踊っている
ものでそれも叶わず…。
振付は明日も続きます。

三時間以上踊ったでしょうか。やっと芝居の稽古に突入。
またしても大人数が出るシーンがやってきました。
交通整理だけでもえらい騒ぎです。
その上、このシーン、事件が次々と起こります。
私、エデも、その事件を担うひとりです。
ものすごいクライマックスシーンの一つですが、このシーンを稽古したのは今日でやっと2回目。
しかも、今日は稽古が6時半までで、尻切れトンボで終わってしまいました。
一体、本番までにあと何回稽古できるのか。
舞台に残って考える私の傍に高瀬さんが寄ってきます。
このシーンでの相手役、清水さんも残ってくれています。
大勢のシーンですが、とりあえず二人だけで予定外の抜き稽古が始まりました。
そのうち、まだ帰らずに見ていた美代さんと城全君まで舞台に戻ってきてくれました。
森田君はプロンプター(セリフを忘れた時に教えてくれる係)を買って出てくれました。
ああ、なんと温かい稽古場でしょう。
おかげで、高瀬さんが「ラインは見えたね。その線で行けると思う。」と
言ってくれるところまでは到達できました。
皆さん本当にありがとう。
そして、私のあとには、やはり不安顔の助ちゃんが自主稽古。
高瀬さんはそんな助ちゃんにも寄って行って指導します。それも内野さんの代わりまでしながら…。
なんか全ての人がとてもいとおしくなってきました。
みんなが居れば、きっと大丈夫。

振付の新海絵理子さん(左)と
音楽の車川知寿子さん。
内野さん撮影の、意図の解からない斜め写真。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


12月16日号。

今日は稽古前に衣装合わせがありました。
稽古場いっぱいにカーペットが敷かれ、姿見が置かれ、
衣装が山のように広げられています。
着せてくださる衣装スタッフさんも大勢いらっしゃっています。
それもそのはず。大河ドラマのような大作の『モンテ・クリスト伯』には、
膨大な数の人々が登場します。役者は、一人何役も兼ねています。
だから、一人が着る衣装の点数もとても多いのです。

劇中の登場順に試着が始まりました。
ここのところ疲れきっていた一同も、衣装を着るとさすがにわいわいガヤガヤ楽しそうです。
同じ場面に登場する全員が衣装を着て一列に並びます。
うーん、圧巻です。急に非現実の世界に連れて行かれるといった感じでしょうか。
一列に並んだ人たちを、高瀬さんが丁寧にチェックしていきます。
イメージが違うと、その場でプランナーの宮本宣子さんに
「もう少しこんな感じがいいんですけど・・・。」ということが伝えられます。
すると、衣装箱の中から似て非なる服が出てきます。おー、準備周到!
さすがトラックで来ているだけのことはあります。
宮本先生の、常に誠実なお仕事ぶりはとても素敵です。

さてさて、ついに貴族の衣装が出てきました。
ドレスを着た女性陣は、嬉しさについつい顔がほころんでいます。
でも、このドレス、スカートにボリュームがあって、「車間距離が必要だね」とスタッフさん。
階段の上り下りも大変そうです。
男性陣も盛装すると素敵です。日頃見慣れてしまっているけれど、
実はみんなカッコよかったんだぁー、なんて再認識。
さあ、本日いろいろチェックが入って、最終的にはどんな衣装になっていくのでしょう。楽しみです。

大イベントが終了して、芝居の稽古はエデとモンテ・クリスト伯のシーンから。
前回、顔を見ない、傍に寄らないという制限をつけられて、いろんなことを学んだ私でしたが、
高瀬さんはその日の役者の状況を見てどんどん導き方を変えていきます。
今度は、再び顔を見ながらセリフを言わせてくれます。
すると、顔を見なかったときに声音で相手の奥深いところを探った感覚は、顔を見ても残っています。
そして、まったく傍に寄れなかった二人の関係を壊し、伯爵の方からエデに寄ってきてもらいます。
すると、距離の縮まったことがものすごくドキドキ感を増し、
触れるなんてことがあればその意味は百倍くらい大きくなる気がします。
高瀬さんは研究生の頃から私のことを良く知っているので、私の不器用さもわかっています。
拙い演技でも、気持ちが通ることの方を第一に考え、待っていてくれます。
今の私の演技は何の演劇的表現にもなっていないけれど、
高瀬さんに「気持ちの流れはそれでいいんだよ。それがわかれば表現を考えていくのは簡単。」
というようなことを言われるとホッとします。
頑張らねば。


ついに9日間連続稽古が終わり、お休みを挟みます。
みんな休養して元気な顔を見せて欲しいです。
(実は私自身が休養してしまって、これを書いているのはもう17日!お許し下さい。)

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

12月15日号。

昨日、一同かなりお疲れモードだったので、今日はまず内野さんと関さんのシーンの
抜き稽古から始まって、全体の集合は2時間遅れになりました。
ほとんどの人が、時間ギリギリまでやってきません。
やっぱりみんな疲れているようです。
今日は、稽古場がシーンとしています。
騒ぎ声と言うものが一切ない…。
休憩時間もみんな動き回らないので、写真もなかなか撮れません。

今日の稽古は、2幕あたまの貴族達のシーン。
このシーン、ものすごい数の人が登場するのです。
それも、風景を作る群衆としてではありません。
大勢の人が集って全員で一つの会話(モンテ・クリスト伯の噂話)をするのです。
ということはつまり、ほぼ全員にセリフがあります。
これは大変です。
まさにアンサンブルの芝居。みんなで一つの球をキャッチボールするようなものです。
一人よがりの芝居は許されません。
また、セリフのない時も、人の話の聞き方(りアクションなど)がポイントになってきます。
こういうシーンを創るのは、とても時間のかかる作業です。
今日は、とうとうこのシーンを含んだ一場面だけで終わってしまいました。
ああ、私は本日も出番なし・・・。

今日はみんな本当に静かで、なんとなく空気がどんよりしていて、なんだか日記のネタもありません。
みんな頑張れ!休みまであと一日だ!!

それにしても、一番疲れているのは高瀬さんのはずです。
高瀬さんは今月初めまで掛け持ち演出をしていたし、
今も、稽古後はほとんど毎日打ち合わせやら何やらで、真っ直ぐ家には帰らないようです。
私たちに休みがあっても、高瀬さんにはないのです。
演出の仕事は相当頭を使うはずだし、大丈夫なのかな…。

小道具の魚を作るスタッフの貝塚吉次君。 寒いよ、疲れたよの石川さん。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


第一巻第二巻第四巻最新巻はこちらへ