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第二巻(12/8〜14)

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12月14日号。

立ち稽古も7日目に突入。
今日はダンテスとヴィルフォール、ダンテスと獄丁、ダンテスとファリア司祭など、
二人だけのシーンの稽古が続きます。
内野さんは出ずっぱりで大変ですが、ひたすら出番を待つ人たちもそれはそれで大変です。
みんなそろそろ疲れてきました。
今日は、若手三人が体の不調を訴えました。
特に石橋君はつらそうです。熱があるのか目がうるうるしています。
若手は雑用が多い上に、芝居上のダメ出しも多いので、いろんな意味でへこんでいるのでしょうか。
もちろん先輩たち、スタッフさんたちも疲れています。
待っている間にストーブの傍で寝ている人、「今日はどうしても起きれなかった。」
と、目をしばたたかせる人、栄養ドリンクを飲む人・・・。
でも、今まで風邪気味だった内野さんは逆に元気になってきて、本当に良かったと思います。

稽古は毎日だいたい13時から20時まで行われています。
たまに、稽古前に衣装の採寸やら、かつらの採寸やらがあったりします。
稽古場に一番にやってくるのはたいてい研修生の森田君と城全君。
二人は、毎日稽古場をきれいに掃除してくれます。ありがとう。
そして、スタッフさんやお茶場三人娘が来て、他の若手もぞろぞろとやって来ます。
もちろん、早くやって来る先輩もいます。
稽古が始まる前はそれぞれお昼を食べたり、一服したり、ストレッチをしたりしています。
稽古場には、客席にあたるところに机が教室のように並べられていて、
みんなの指定席があります。
同期や、期の近いもの同士、あるいは役作りのために相手役と並んで座っています。
内野さんは恋人役の塩田さんとラブラブ(?)ペアシートです。
伯爵を慕うエデは、それを後ろからちょっぴり嫉妬しながら見ています。

毎日5時前後に長めの食事休憩があります。
女性陣の間では、現在、手作り弁当がブームです。
男性陣でも奥さんのいる人は愛妻弁当を食べていますが、他の人はたいてい何か買ってきていたり、
どう見ても自分で作ったとしか思えないバクダンのようなおにぎりを食べたりしています。
でも、中には料理上手な浅野君のような人もいて、手作りのしらす入りおにぎりと、
胡麻までふってあるきんぴらなどという、涙うるうるモノのお弁当を食べています。
独身貴族の若松さんは、女性陣のお弁当を覗きにやって来ます。
時には勝手にフタを開けてまで見ています。そして、わざと「うわ、まずそう。」と言ったり、
「50円やるから俺の分も毎日作ってきて。」などとほざいて、冷たくあしらわれています。
内野さんは、愛車を走らせてどこかへ消えてしまいます。
何を食べに行ってるのかなぁと思っていたら、ある日、帰ってくるなり「牛丼食って来たぁー!」と一言。
ということは、吉野家の前にジャガーが横付けされているのか???
想像すると結構笑えます。

今日は、芝居から離れて私たちの「生活」をレポートしてみました。

ストレッチ中のB子さん 茶きん寿司をほおばる一高君

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

12月13日号。
立ち稽古六日目にして、やっとラストシーンに到達!
でも、ラストをどう締めくくるかはまだ未定です。
まあ、全体像は見えました。全てはこれからです。

さて、そしてニ巡目の稽古開始。
トップバッターの助ちゃん、相当いろいろ考えてきたみたいです。
どれだけ台本を読んできたか、たたずまいだけでもわかります。
それなのに高瀬さんからダメ出しの嵐です。うー・・・。
若手は往々にしてそういうことが多いのです。
でもしょうがない。「いろは」を知らないんですもんね。
エロイーズ役の美代さんは私に、「チクショーって思って頑張るのがうまくなる道」なのだと言ってくれました。
「チクショー!」って思うのが快感になるくらいたくましくなーろうっと。
(あー、それにしてもチクショーすぎる毎日です。)

そして、再び群集シーンがやってきました。
前回は無法地帯という感じでしたが、整理していかなければなりません。
そこで、今日、私が学んだこと。
群集は、セリフを言っている人たちを立てる演技をしなくてはならないのだということ。
一人で妙に役作りをしても仕方ないのだということ。
つねに冷静に全体を見ながら演技しなくてはいけないのだということ。
例えば、活気に満ちた港のシーンを創る場合、まず私たちは風景になることに徹しなくちゃいけません。
明るい雰囲気、テンポ良い動き…。
今日、野菜売りの女の役をやっていた私は、
港の男役をやっている関さんに「オウ、かあちゃん元気か?」と聞かれて、
うっかり「だめなのよー」といってしまいました。これはまずいのです。
群集のアドリブなんてほとんど聞こえないとはいえ、
そんなことを言われてしまったら、関さんはそこで足を止めざるを得ません。
足が止まってしまうということは、スピード感ある風景が壊れるということです。

そして、もうひとつ「やっちまった」のは、
エドモン・ダンテスと恋人のメルセデスが結婚することを聞いて、メルセデスにちゃちゃを入れにいくシーン。
盛り上がりすぎて、次に重要なセリフをいう人の声を消してしまいました。
これは芝居の流れを無視した行為です。あちゃー。
先輩たちはやっぱりそういうところ、上手です。
B子さんなんて、きちんと立場をわきまえつつ、個性ある人物を演じています。
効果的な見せ方を知っているんですね。すごいなぁ。

主要キャストの先輩たちも、私の目から見ると、すいすい演じています。
内野さんは先輩といってもまだまだ若手だし、出ずっぱりなのに、やっぱり勘がいいんだなぁ・・・。
迷い無く、堂々として見えます。

チクショーチクショー!(言ってたらうまくなるかな。)

花売り娘 港の男たち

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

12月12日号。
今日は、稽古前に頭の採寸がありました。どうやら今回、かつらを使うようなのです。
衣装もドレスになるみたいなので、地毛ではバランスが悪いということなのでしょうか。楽しみです!
さて、立ち稽古もクライマックスシーンへと入っていきます。

今日は、公演パンフレットに載せる稽古場風景の撮影のため、カメラマンさんがいらっしゃいました。
だからというわけでもないんでしょうが、いきなりドブレー役の石橋君、上半身裸になっています。
エルミーヌ役のB子さん(金沢さん)は、やたらとアヤシイ赤のガウンを着ています。
それもそのはず、人妻のエルミーヌが夫の目を盗んで情夫に逢っている、というシーンなのです。
どんな濡れ場が始まってしまうのかと思いきや・・・始まったのはなんと「枕投げ」!
みんな大爆笑です。やってくれますねぇ。
そう、稽古場は何をやってもいいところ。こうやって可能性を探っていくんですね。
みんながチャレンジャーなので、私も勇気を分けてもらえます。

『モンテ・クリスト伯』は、前にも言ったように岩波文庫で全七冊。
沢山の人物がとても丁寧に、魅力的に描かれています。
でも、今回それを三時間程度の舞台にするので、一人一人の出番はとても少なくなっています。
にもかかわらず、脚色した高瀬さんはそれぞれの見せ場を残し、
一人一人を魅力的に見せようとしてくれています。
2幕後半は、まさにそんな人々の人間ドラマがこれでもかというほどに続いていきます。
今日初めてやったのに、出ていても見ていてもゾクゾクします。
みんな少ない出番、少ないセリフから人間を大きくふくらまそうとしていて、とても素敵です。

そう、台本に書かれていることは氷山の一角。
役の人物の実人生は計り知れないもの。
縁あって出会った役だから、精一杯愛したいと思います。
たくさんの氷山が集まって、そのそれぞれの一角がちらちらと見えていたら素敵ですよね。
そうでないと、モンテ・クリスト伯の復讐劇も薄っぺらいものになってしまう・・・。
みんなが、本当に、大切なのです。

しかし、この芝居長いです。五日かかってもまだラストシーンに到達しません。ふぅー。

衣装のスケッチを眺める
弘秋さん(左)とシロゼン君
稽古用マントを着た内野さん。
左はスタッフの今村由香さん。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

12月11日号。
今日はついにエデの出番。今まで群集でしか登場しなかった私なので、ど緊張の一日でした。
よって、頭の中が混沌としていて、今日はあんまり全体のことは覚えていないのです。
私的な日記ですがごめんなさい。

今日やったのは、モンテ・クリスト伯爵とエデの二人きりのシーン。
私自身が思い描いていた動きと、演出の高瀬さんが要求する動きとが大きく違いました。
そこで、少々パニック!でも、演出家ってすごい、と思いました。
私は、エデの気持ちを私のものさしで考えて、その気持ちに馬鹿正直に動こうとしてしまいます。
例えば、大好きな伯爵がそばにいたら、私だったら顔を見たいし、接近したいし、相手に触れたいと思います。
だから、そうやって演技すると、高瀬さんから「動かないで。」
「ほとんど顔を見ないで聴覚で芝居してみて。」というダメが出ます。
「???」と、わけがわからなくなりながらも、とりあえず言われたことをやってみます。
すると・・・、自分の中にものすごい負荷がかかって、気持ちがぐちゃぐちゃになっていきます。
コントロールできないくらい、切なくなってきます。
大好きな人に近寄れない、顔を見れない・・・。
でも、じゃあ、残された体の感覚をフルに使って相手を感じたいという気になってきます。
聞こえてくる内野さんの声の音色に敏感になります。
そして、相手が何を考えているのか、どんな表情をしているのかを想像するようになります。

カルチャーショックでした。そうだ、エデと伯爵の愛は普通とは違って、とてもストイックなんだ。
でも、だからこそ、魂が触れ合う関係なんだ、と、改めて納得…。
エデも、モンテ・クリスト伯と同様に不幸のどん底を経験しているので、
現世的なことではじたばたしないのだと高瀬さん。
そして、モンテ・クリスト伯を信頼しきっていて、
心の目で相手のことが全部わかってしまうのだというようなことも・・・。
何という女性なのでしょう。はぁ〜、私にできるんだろうか…。
なんとまぁ、課題が山積みにされていることでしょう。
頭の中を整理しなくちゃ。そして、稽古しなきゃ!どうにかしなきゃーっ!!
それよりも何よりも、ピュアな開けた心にならなくちゃ。
エデになるためには、「私」を突き破らなくちゃ。
あー、ほんとに今日は勝手な日記でごめんなさい。許して下さい。

場面についての真剣な「話し合い」 やーこと寛恵ちゃんの「じゃれ合い」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
12月10日号。
立ち稽古三日目は、昨日に引き続きファリア司祭とダンテスのシーンから。
大まかな流れを創っていくとはいえ、重みのあるシーンなのでそう簡単には先へ進めません。
何度も立ち位置や動きを変えて、二人の関係が成立する方法を探っていきます。

「関係が成立する」というのは、わかりやすく言えば、
「台本に書かれていることが最も無理なく自然に伝わる状態」とでも言いましょうか。
芝居というのは本当にちょっとしたことで大きく変わります。
相手との距離、顔や体の向き、姿勢・・・そんなことが変わるだけで、
そのシーンが嘘になったり本当になったりするのです。
例えば、愛し合っている人達の距離と、憎しみ合っている人達の距離の取り方は違いますよね。
そういったようなものが無数といっていいほどにあるのを、どれだけ丁寧に創っていけるか…。
「成立した」「本当の時間が流れた」と思える瞬間に出会えると、これはもうたまりません。
だから役者はやめられない〜♪

さて、1幕が終わって、ついに2幕へと突入!
再び群集シーンで、みんなぞろぞろと舞台へ上がっていきます。
今日も皆さん着ております、ナンチャッテ衣装を!しかも、2幕の群集は貴族たち。
ジャケットを着たり、ハイヒールを履いたり、アクセサリーをつけたりして、ゴージャス気分を出しています。
おーっと、内野さんも何時の間にかナンチャッテ衣装に着替えてステッキまで持っています。
清水さんはなぜかお腹に肉を入れています。1幕から23年経ったという設定なので、中年太りのつもりでしょうか。
それにしても、なんて人数が多いのでしょう。にぎやかです。
広い空間をダイナミックに使って、視覚的にも楽しいシーンになりそうです。
そして、そこからまた、話の核心に入っていくような小人数の芝居へ…。
塩田さん、初めからすごく気持ちが入っています。
内野さんもそれに応えています。見ているこちらももらい泣きしそう…。
さあ、明日はいよいよエデの出番。私も頑張らなくちゃ。

今日は、苺の差し入れが届きました。みんな大喜びであっという間に食べてしまいました。
この場をお借りしてお礼を申し上げます。ごちそうさまでした! 

なぜか役者に混じって腹筋をする
演出助手の北 則昭さん
インチキくさい自主稽古をする
浅野君(手前)と石橋君(奥)

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

12月9日号。
立ち稽古2日目。大まかに全体の流れを創るため、どんどん先の場面へと進んでいきます。
まずは、昨日の続きで群集シーンから。今日もみんな元気です!

ちょっとばらしてしまうと、今回の舞台、廻り舞台です。
しかも、大きな屋台(オブジェ?)がまるごと廻る感じで、高い所と低い所で同時に
芝居が出来たり、いろんな所を通り抜けられたりします。
そして、廻るのですから、当然、向きによってかなり違う装置になります。
でも、今の稽古場には廻る仕掛けもなければ段差もないので、役者たちは、
今、自分がどんな所にいて、どれだけ演技するスペースがあるか等を把握するために、
装置プランナーが作った模型をのぞいては舞台へと戻っていきます。

さて、群集シーンが終わると、しばらく小人数のシーンが続きます。
出番のない人たちは、それぞれいろんなことをしています。
食い入るように稽古を観ている人、原作や資料を読んで研究する人、自分のセリフをブツブツとつぶやいている人…。

やがて、ファリア司祭とエドモン・ダンテスの出会いのシーンの稽古が始まりました。
牢獄に長く閉じ込められている二人が出会うシーンとあらば、
どれだけ悲壮感の漂う感動的なシーンになるかと思いきや、稽古場は大爆笑の渦。
べつに、ファリア役の関さんは笑いを取るために狙った演技をしているわけではないし、
もちろん、内野さんとの演技が噛み合わないわけでもありません。
場面としてきちんと成立しているのに、ありきたりではなく、何だか面白い。これって、芝居の醍醐味だと思います。
みんながお客さんをいい意味で裏切っていけたらいいなぁ。安心できちゃうと眠くなっちゃいますもんね。

今日は、ファンの方が差し入れして下さったりんごをみんなで食べました。蜜がたっぷり入ったおいしいりんごでした!
清水さん、食べまくっていたのでカメラを向けたら途端に顔を作りました。
そうでした、清水さんは浅野君のお父さん役。親子でやることが一緒です・・・。

これが舞台装置の模型! りんごを食べる桃子さんと清水さん。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


12月8日号。

三連休明けの今日から、いよいよ立ち稽古開始 !!
稽古場に着くと、スタッフさんたちの手で、床にいろんな色のビニールテープが貼られています。
本物の舞台装置が出来るまで、どこに何があるかをわかりやすくするために、
実際の寸法どおりにテープで印をつけるのです。

役者たちも、今までより早く来て、各自ストレッチや発声などをしています。
舞台周りには、小道具もいろいろ用意されています。
立ち稽古初日、活気に満ちたいい雰囲気です。
そして、ついに稽古が始まりました。

トップバッターは内野さんと助ちゃん(助川君)。
助ちゃんは門衛の役ですが、門衛と言ってもただ立っているだけではありません。
この門衛、しゃべりまくるのです。でも、台詞はすっかり入っているようです。
そう、内野さんを筆頭に、みんな台詞を覚えて来たようで、出る人出る人誰も台本を手にしていません。

立ってみるとずいぶん今までとは違います。
今までは、机の前でちぢこまって台詞を言っていたのが、空間が広がって、体も自由になって、
みんなぱぁーっと明るくなったみたいです。

広い舞台の上を走り回ると、
自然とエネルギーも湧いてきます。
そして、小道具を持ったり、
なんちゃって衣装
(自分で用意したもの)を
着たりしているみんなを見ていると、
想像力もふくらんでいきます。
群集シーン、みんな楽しそうです。
そりゃあもう、収拾がつかないくらい。
高瀬さんが整理してくれるまで、
みんな好き勝手にやっています。
あー、楽しい!
これからどうなっていくのでしょうね。

さて、役者紹介も大団円。まず最初の写真は、
ヒロイン、メルセデス役の塩田朋子さんと、演出の高瀬久男さんです。
塩田さんは近頃文学座公演の顔になっている女優さんです。
私生活でも見習うべきところのたくさんある、すごくきちんとした素敵な方です。

高瀬さんは、私が師と仰ぐ演出家。
美女を横にデレデレの顔をしていますが、演出中は眼光鋭いのです。

そしてそして、ついに隠し持っていた写真を公開!
お待たせいたしました。
原さんの首をしめておどけるのは、
我らがモンテ・クリスト伯爵(エドモン・ダンテス)役の
内野聖陽
さん。
そして、二人を「馬鹿でしょー」と
指差すのがフェルナン役の清水明彦さんです。
内野さんに関しては、
あえて私がコメントするまでもないのですが、
スターの内野さんも、劇団に戻れば一人の元気な若手。
みんなに混じって、熱く、楽しそうに芝居をしています。
清水さんは稽古場で一番笑いを取っている人です。
次々と「何か」を持ち込んできます。
フェルナンはエドモン・ダンテスの敵役。
どんな味わい深い悪人を演じてくれるのでしょう。

あー、これで私もちょっとスッキリ。
明日からはまた自由に写真を取ろうっと!
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

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