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第3章 判定

2) アプローチ判定の基本

行動の動機に人間関係にまつわる感情がからむものは、アプローチ判定で扱います。アプローチ判定では、行為そのものの正否よりも、相手に対して、自分が保持している人間関係の感情を誇示することが重要になってきます。

これは本作が、行動の積み重ねによって物理的な状況を改善し、サバイバルや軍事的勝利を目指すゲームではなく、行動を通じてPC/NPCと交流し、人間関係を育み、変化させることにより、人的環境の改善(具体的にいえば、恋愛感情の成就や、敵対関係にあった旧友との和解、友人とのわだかまりの解消など)を目指す、あるいはその過程において赤裸々な人間ドラマを構築することを楽しむゲームだからです。

極端な条件下では、アプローチ判定に成功しても、行為そのものは成功しないこともあります。行為自体の成功を重視したいのであれば、一般行為判定を用いることをお勧めします。

アプローチ判定の最も純粋なかたちとして想定しているのは、次のようなものです。

【アプローチ判定】
 自分が相手に対して【片想い】の【人間関係】を保持している状況で、相手に自分に対して、対応する【人間関係】を取得させるため、相手の【メンタルガード】の減少を図る判定。

アプローチ判定には、想い人に対してラブコールをしたり、ライバルを挑発したりといった直接的なもの(純粋にアプローチだけを行う判定)と、溺れている想い人(同性)を助ける、といった間接的なもの(行動を通じてアプローチする判定)があります。直接的なアプローチには、色仕掛けや泣き落としなどのパターンがありますので、いろいろ研究してみてください。

アプローチ判定の判定式は次のようになります。

【達成値】=【一般能力カード】+【愛情属性】+結ぼうとする人間関係の【関係強度】

アプローチ判定は、基本的にはアプローチの対象としている相手との対抗判定となります。

アプローチを受ける側の【抵抗判定】の判定式は、次のようになります。

【抵抗値】=【一般能力カード】+【愛情属性】+矛盾する人間関係の【関係強度】

間接的なアプローチでは、別の行為判定をかねることになりますので、行為判定部分の正否についてはGMが別に目標値を設定して判断してください。

たとえば、想い人(同性)が川で溺れているのを助けに入り、自分も溺れてしまっても(第三者に2人とも助けられたとして)、助けに入った事実だけで、相手にいい印象を与えられる、というてんかいなどが再現できます。逆に、助け出すことに成功し、人工呼吸で蘇生までしたのに、「男に人工呼吸されるなんて…」とアプローチのほうが失敗することもありえます。

アプローチが成功した(達成値が抵抗値を上回った)場合、アプローチを受けた側はメンタルガードが減少します。減少幅は成功値の大きさによります。

【成功値】=【達成値】−【抵抗値】

【成功値】=1〜2:MG1点減少

【成功値】=3〜4:MG2点減少

【成功値】=5〜7:MG3点減少

【成功値】=8〜 :MG4点減少

アプローチが失敗した(達成値が抵抗値を下回った)場合も、アプローチを受けた側はMGが1点減少しますが、アプローチをかけた側はシーンが変わるまで重ねてアプローチをかけることができなくなります。

また、アプローチを受けた側が抵抗しない場合、抵抗判定をせずに受けた側のプレイヤーの任意で1〜4点のMGを減らすことができます。これを、【アプローチを受け入れる】といいます。アプローチを受け入れても、すぐに人間関係が成就するわけではありません。永堀愛美が幸長幸一のデートの誘いに乗っても、主人公から幸長に乗り換えたわけではないようなケースです。

判定でMGが0以下になった場合にはじめて、そのアプローチで求められた人間関係が成立します。これを【成就】といいます(強制的に人間関係を持たされた、アプローチ判定の受け手視点では【陥落】といいます)。新たに成立する人間関係は、関係強度1点、関係強度補数10点になります。

ただし、MGが0になった場合でも、結ぼうとしている人間関係が、すでにそのキャラクターが保持している人間関係と矛盾する場合には、矛盾する人間関係の関係強度の中で最も大きいものの数値までマイナスに押し込まないと、関係を結べません。たとえば矛盾する人間関係の関係強度が2点の場合、MGを−2まで減らすことでようやく成就します。これを、メンタルガードの【余力】といいます。

矛盾した関係としては、通常は複数人に設定しない人間関係をすでに別人に対して保持している場合(すでに恋人がいるのに恋人になるよう求められる、など)、別の人間関係を保持している相手に人間関係の修正を迫られる(友達と見ている相手から恋人になるよう求められる、など)、社会的立場や第三者を通じた間接的関係と整合性の取りづらい人間関係(親友を手酷く振った相手に恋人になるように求められる、など)といった状況が想定されます。どの関係が矛盾した関係に当たるかは、適宜、本人とGMが判断してください。

また、「すでに恋人がいるのに新たに恋人の関係が成就してしまった」場合、二股の関係を継続するか、元からの恋人との関係を清算するかが求められます。「矛盾する人間関係」としてメンタルガードの余力に用いた人間関係は、新たな人間関係が成立した場合、関係強度補数を10減少(詳しくは第5章参照)させてください。これによって関係強度が0になると、人間関係は消滅します。もちろん、消滅するのは内心の関係のみで、相手との過去の経緯すべてが消えるわけではありません。相手は自分に対してまだ「恋人」の関係を保持しているので、改めてアプローチをかけてくる場合もありえます。そこで逆転が起きることもあるでしょうし、三角関係の修羅場になるかもしれません。

なお、以下の特殊なアプローチ判定でも共通しますが、関係が成就すると、減少していたMGは上限値の半分(端数切り上げ)まで回復します。また、関係強度の総数が上昇した場合は、MGの上限値が1上がります。余力に用いた人間関係の関係強度が減少する場合、関係強度の総計は変わらないので、MGの上限も上がりません。

原作第3話のラスト。ラブラブ党軽音部に勝利したものの、杉江の不注意で手を怪我した主人公は、上遠野文絵にも促されて愛美のところへ向かおうとします。が、控え室を出ようとしたギリギリでカミィに「待って」と呼び止められ、改めてその思いのたけをぶつけられます。

最も直接的なアプローチで、カミィは【感性4】+【本気4】+【主人公に対する人間関係=愛しい人1】で判定します。♥Jを出して、達成値は11+4+1=16。  主人公は【感性3】+【本気3】+【愛美への人間関係=恋人2】で対抗します。♥9で、抵抗値は9+3+2=14です。

カミィの達成値のほうが高いので、アプローチは成功。成功値は16−14=2なので、主人公のMGが1点減ります。軽音部マッキーとの論撃でMGが減っていした主人公は、MGが0になってしまいますが、愛美への人間関係=恋人の2点が【余力】となり、カミィに陥落させられることなく、何とか踏みとどまりました。

なお、仮にここで愛美への人間関係=恋人の関係強度が1点だった場合、主人公の抵抗値は9+3+1=13。カミィのアプローチの成功値も16−13=3となり、MG減少は2点。MGは−1となる上、余力も1点しかないので主人公はカミィに対して【愛しい人1】の人間関係を獲得してしまいます。

愛美への【恋人】の関係強度補数も10点減少。仮に【恋人】の解消が避けられても、地獄の三角関係は避けられません。

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