X-Dog |
高速格闘戦型試作機 |
X-Dog |
帝国軍 |
型式番号 |
EPZ-X13 |
シリーズ |
- |
タイプ |
<犬型> |
発売 |
- |
全長 |
15.2m |
定価 |
- |
全高 |
9.0m |
オペレーション |
バッテリー |
全幅 |
6.1m |
ライト点灯 |
- |
重量 |
- |
使用電池 |
単3×1 |
最大速度 |
- |
部品点数 |
- |
乗員 |
1名 |
ゴムキャップ |
M(グレー)12個 |
搭載ビークル |
無 |
主成形色 |
- |
主要目的 |
- |
キャッチフレーズ |
- |
ギミック |
- |
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その他 |
- |
装備
装備名 |
搭載数 |
特徴 |
ヘルブレイザー |
2 |
背中に装備 |
フォトン粒子砲 |
2 |
背中に装備 |
パルスガン |
1 |
尻尾 |
高機動ブースター |
1 |
背中に装備 |
ドップラーレーダー |
2 |
耳状のレーダー |
全方位警戒レーダー |
1 |
背中のロートドーム内に装備 |
特徴
小形ではあるものの就役当時最速のライオン型ゾイドの実戦配備に、最前線の士気は保たれた。一方で帝国軍は、共和国側の高速機動部隊が、単一機種による編成ではなくハイローミックスの混成編成であることをふまえ、既に就役していたトラ型ゾイドとの混成編成を企図した。それも、PZクラスまでゾイドコアの培養をしなかった理由でもあった。しかし、帝国側トラ型ゾイドは、Mk-2化により機動力は高まっていたが、火力が増したことで、より大型ゾイドの随伴機として、または単一編成の部隊での運用が重視されていた。実際、トップスピードは、ライオン型ゾイドとの間に格差があり、ライオン型ゾイドの高速性能が生かせない高速機動部隊になりかねなかった。そこで、帝国軍は、共和国軍のオオカミ型の機体を好例と意識して、新型機の開発を検討しイヌ型のゾイドコアを選定、そのうえでPZクラスとするため、ゾイドコアの培養に時間をかけることとした。共和国軍高速機動部隊とはハイローミックスが逆転することになるが、当時の帝国軍の状況からすれば、現実的な開発順位の選択であったと言える。 帝国側イヌ型ゾイドの設計が進む一方で、戦況は帝国側に不利なまま膠着、ついには暗黒大陸への脱出、暗黒軍への吸収併合となった。帝国軍が暗黒軍に吸収された頃、帝国側イヌ型ゾイドは、設計をほぼ終えて試作機を製作できる段階まで来ていた。そのため、暗黒軍に吸収された後にも開発が続けられハードポイントに加えて新たに開発された汎用装備方法のパワーコネクターを搭載したドーベルマン型として就役している。 |
掲載バトルストーリー
- |
ギミックの物足りなさと合わせて、腑に落ちない部分が、ゾイド新世紀と銘打って登場してきた暗黒ゾイドの黒と夜光色と言う特徴が見えなくなってしまったことです。確かに第一段のヘルディガンナーとデッドボーダーは爬虫類系なので、哺乳類に同じ配色にしてもどうかという気もするのもわかるのですが・・・、今となっては受け入れてしまっていますが、最初に見たときに違和感があったことは忘れていません。そこで、ジーク・ドーベルは、ゼネバス帝国の機体として開発が始まっていた、と想定して作ってみることにしました。実際には、作業を始めた時にはどんな色にしようか、まったく考えていませんでした。作業を進めていくウチに、パワーコネクターをどう処理しようか考えて、丸モールドを回そうとの考えが固まり始めたあたりから、今回のジーク・ドーベルは、ゼネバス帝国が開発した機体で、完成することの無かった試作機と想定した機体にしようと思うようになりました。そこで、前述のようなジーク・ドーベルの開発史を創作し、それを正史と仮定した上で、もしゼネバス帝国軍がガイロス暗黒軍に吸収されなければ、こんな試作機が作られていたかもしれないと、ゼネバス帝国後期では採用されなくなった、初期の配色方法が試作機で用いられるようになっていたと想定して塗装しました。
武器類はシルバーにしました。帝国側B/Oゾイドの共通武器パーツランナーがシルバー系の色が多用されていたので、それを採用しました。同時に、試作機と想定しましたので、実は武器類は実物ではなく、武器の形をしたウエイトを仮に装備しているだけの機動試験機とも見えるような事を狙っての選択です。とりあえず、ジーク・ドーベルを初めて見た時の色面での違和感は、何とか落ちつかせる事が出来ました。
今回ジーク・ドーベルを作ることにしたきっかけは、フォトン粒子砲を動かす方法が見えてきたからです。
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やってきたとおり、フォトン粒子砲の動きは、足のクランク軸から一度ギアで回転数を落として取り出しました。ジーク・ドーベルには、前足から後足に動きを伝えるギミック部品があります。これを利用して動きを取り出すのが、一番簡単な方法であるとは思います。しかし、その方法を採用してしまいますと、左右のフォトン粒子砲が交互に動くようになってしまい、同時に足や口の開閉とも完全に連動してしまって、ジーク・ドーベルの特徴的装備の割には重厚感が無くなってしまうと考えました。ジーク・ドーベルの特徴的な装備は、重火器としてある程度ゆっくり、それでいて左右同時に動く方がソフト面での説得力が出るはずと考え、説明書を見ながらずっと良い方法が無いかを考えていました。その結果、たどり着いたのが、パワーユニットの軸の受け部分を削り取ってギアに置き換え、装甲の裏側を削ってギミック部品の通り道にすることです。 |
これまでずっとギミック改造をしてきたのでわかっていたことが二つあります。一つは、ゾイドの各パーツは一般的なプラモデルと比較して厚みがあること。いわゆるスケールモデルですと1mm以下の厚さしかない外装部品が、ゾイドでは1.5mm程の厚さがありますので、うまく作業するれば、外部に影響無く裏側に1mmの隙間を作る事が出来ます。もう一つは、ゾイドのギミックの設計には余裕が持たされていること。ゾイドは、おもちゃ基準で作られているため、落下試験も行われます。ある程度の高さから落としても、基本機能が失われない、つまりギミックが壊れないような設計がされています。そのため、ゾイドのギミックは、精度が高い一方で、0.2〜0.3mm程度のずれでは問題が発生しないことがわかっていました。具体的に今回のジーク・ドーベルで言えば、パワーユニットにある軸の支えの厚みとギアの厚みをまったく同じにしないとギミック部品の置き換えが出来ないことは大前提としながらも、少々の厚さの違いはゾイド本体と既存のギミック部品がひずみを吸収してくれるであろう、と想定することが出来たことです。説明書とランナー部品を見ているだけの段階で、これまでの経験からわかっていたことを組み合わせて、フォトン粒子砲を動かせそうな目途がついたことが、実際に手を動かし始めるきっかけとなりました。
なお、実際には計測していないのですが、おそらくパワーユニットの前足のクランク軸の受け部分の削り取った厚さより、青いギアの方が幾分厚いのではないかと思っています。更に厳密な事を言いますと、青いギアよりも赤いギアの方が幾分薄くなるように加工しています。青いギアは、前足のクランク部品に固定しています。そのため、青いギアの一部がクランク軸に隠れる部分があります。すると、赤いギアがクランク軸とぶつかる可能性がありますので、その危険を回避するため、赤いギアは青いギアより薄くなるようにしてあります。
ゾイドのギミック改造は、ただ動かせばいいのではなく、ソフト面に説得力のある動き方を考えたり、既存の動く部分との連動非連動を考えるのが、大変なところであり面白いところです。必ずしもこれまでの改造で全てそうしたことを意識した改造が出来たわけではありませんが、繰り返しやっているウチにたどり着いた、ゾイドを改造する楽しみのエッセンスです。
尻尾のパルスガンは、当初口の開閉の動きを後ろに伝えることを想定していました。しかし、その方法では部品の加工箇所と範囲が大きくなることがわかったので、現物を見て再検討し、左後ろ足から動きを取り出すこととしました。
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ジーク・ドーベルの構造をよく理解している方であれば、今回のように、パワーユニットの上蓋の肉抜き穴を利用しての動きの取り出しであれば、尻尾を動かすギミック部品はもっと簡単な構造に出来ることに気づいているのではないでしょうか? 今回作ってきたギミック部品からA部品を省いて、3mm軸をもっと延長、そのうえでギミック部品の上蓋の左後ろ足を止める軸を切り落として、そこに3mm軸が貫通するようにして、直接左後ろ足にギミック部品をゴムキャップでつないでも、同じギミックが出来るのです。こうすれば、A部品とB部品の角度も気にすることなく、ゴムキャップで任意の位置で決められるので、悩みも少なくなります。一方で、ギミック部品が抜けてしまうことがないようなストッパーをつけるなど別の加工は必要になりますし、上蓋の左足を支える部分ギミック部品が延びてくる穴の精度が大事になります。このギミック部品の通り穴に精度が出ないと、ジーク・ドーベルがしっかりと歩かなくなってしまう危険があります。 |
このことは、作業の途中で気づいたのですが、あえて予定通り、A部品を作った上でのギミック部品を作り上げました。ゾイドのギミック改造で本体に加工する時は、必ず「もし失敗した際にどうやって元に戻すか」を考え、元へ戻す方法に目途がついてから実際の加工に入っています。今回の場合で言えば、もし、尻尾を動かすことに失敗した場合、元に戻せなければなりません。その時、左後ろ足の軸を切り取る加工をしてしまいますと、歩くという機能が失われてしまいます。軸一本くらいプラ棒で簡単に戻せると思うかもしれませんが、ギミックに関わる部分は精度が必要ですから、仮に左後ろ足の軸を元に戻せたとしても、まっすぐ歩かない、又は後ろに下がってしまうなどの不具合も想定されます。そのため、ギミックに関わる既存の軸にいっさい手を加えないで、尻尾のギミックを実現する方法として、わざわざA部品を作るやり方を採用しました。A部品を使って尻尾の動きを導こうとすれば、足の軸を切り落とす必要はありません。仮に尻尾のギミック部品を作っても結局尻尾を動かせないことに気づいて、そこで尻尾を動かすことをあきらめたとしても、元に戻すのは容易なことです。精度の必要のない部分の穴を埋めて(どうせ見えないところはそのままでも良いですし)、尻尾がポージングできる程度にまで、尻尾の為の軸の太さと穴の大きさの調整加工をし直せばよいだけです。既存のギミックに手を加えていませんので、ゾイドの歩くという基本機能を失うことは回避できます。A部品とB部品の角度を探るなど面倒な作業が加わりますが、ゾイド本来のギミックを失う危険のある加工にはそう手を出すことが出来ません。どんな手順で加工するか、思うような結果が得られなかった場合にその後にどう対処するか、そんな先を考えながらの作業が必要になってくるのがギミック改造に時間がかかる理由です。
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そんなこんなで、ギミック部品を作った点数としては、過去最も多かったと思います。それと同時に、それだけ試作して失敗した部品もたくさんあるのです。 今残っているのだけでもこれだけ。ものによっては、一度失敗した後、更に加工して採用してしまったものもありますし、更に小さく切って他に転用してしまったものもあります。なので、実際に作ってみたけど使用をやめた部品はもっとたくさんあります。実際に部品を作って動かしてみてそれが使えるかどうか判断したり、部品を試作したり、前述の通り失敗した場合の対処方法を考え出してから初めて加工が出来るようになったり、こんな事もギミック改造に時間がかかってしまう要因になっています。 |
実際の動きはと言いますと。
まず、尻尾の動き。
左後ろ足が前に出ると、尻尾が最低位置になります。
左後ろ足が下がると、尻尾が最高位置になります。
尻尾の最低位置はもっと下げたかったのですが、思うように加工できませんでした。
フォトン粒子砲と、ヘルブレイザーは、既存のギミックとの関係連動はありません。
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フォトン粒子砲が、ほぼ水平位置になるとヘルブレイザーが展開最前進位置に来ます。
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フォトン粒子砲が上を向くと、ヘルブレイザーが収容最後進位置に来ます。これが動くと→ ● ● ● ● ●
実際の動きは、あまり大きなものではありませんが、ヘルブレイザーやフォトン粒子砲は、装備自体がジーク・ドーベルに対して、かなり大きなものになりますから、充分に動いている事がわかります。
あと、ロートドームも回転しています。ロートドームは、パワーコネクターにキャップのようにかぶせているだけなので、グレードアップ機能は生きています。しかし、ヘルブレイザーを動かすギミック部品と干渉してしまうため、いずれのグレードアップユニットもそのままでは取り付けられません。ヘルブレイザーのギミック部品にぶつからないような加工が出来れば取付は可能です。次の機会が有れば、ジーク・ドーベルの専用装備とも言える、パルスキャノンが加工無しで装備できるようなヘルブレイザーのギミックのやり方を考え直さなければならないと思います。
装飾的な部分もいくつか。
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仮組み時、一番気になった足は、スカスカ感無いような形にすることが出来ました。 UVレジンによる複製は、もう少し練習しないといけません。画像ではわかりづらいですが、実際にはゆがみがあります。 |
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既存部品のままとした高機動ブースターは、合わせ目が走ってしまっています。 ジーク・ドーベルの高機動ブースターは、ロケットのエンジンノズルの形状を出来るだけ忠実に再現しようとしているところが気に入っているところです。この形を残すために、一度切り離して元に戻すことも考えたのですが、切り離す場所がありませんでした。こうしたロケットエンジンノズルは、外側に冷却パイプが取り付けられています。ジーク・ドーベルの高機動ブースターは、しっかりと冷却パイプが再現され、かつ本体から冷却パイプが伸びてくるような所まで再現されていました。この本体から延びてくる冷却パイプを切ってしまうわけにも行きませんので、仕方なく、形を整え奥行きを作るだけでやめてしまいました。 模型で、特にキャラクターモデルのような、スケールモデルでない場合、ロケットエンジンノズル周囲の冷却パイプが再現されている事は希です。多くの場合、冷却パイプの替わりにL字の段が作られているだけとか、筋彫りを入れることで、遠目にそれっぽく見えるような表現がされています。ロケットエンジンノズルを、一つのパーツにする事を前提に、金型で抜いて形を表現しようとすると、パイプを凸モールドとして再現することが出来ませんので、筋彫り(凹モールド)での表現になっています。もし、ロケットエンジンノズルの外側に冷却パイプを再現しようとするなら、パーツを2分割にするか、スライド金型を用いるなど、なにかしらの一手間が必要となります。ジーク・ドーベルは、左右の装甲部品と一体になっていて、結果ロケットエンジンノズルを二つのパーツで作ることになっているため、冷却パイプを凸モールドで再現可能となっていました。キャラクター模型としては珍しい形状の再現と、トミー独特のおもちゃアレンジのデザイン、これを残すために、合わせ目が走ってしまうことを見ないようにする方を選択しました。ゾイドは、既存の技術をしっかり観察してデザインに反映させているという事がとてもよくわかります。ここでは、精巧な模型を作っているのではなく、動くおもちゃを作っているのだから、ノズルの合わせ目は見ない事にします。 |
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コックピットは、手持ちの塗料から、機内色っぽいものを選んで塗装し、あとはデカールで再現しました。シートも塗装ではなく、黒いデカールを帯状に切って貼っています。一枚ではきれいに貼れませんでしたから、何枚かに切り分けています。今回、シート周りは既存のコックピットを加工しませんでしたので、塗装だけで再現しようとすると、シートの塗装は難しいので、デカールで塗装と言う方法にしました。 上顎の上部分、鼻の内側部分も、コックピットの延長線として機内色を塗っています。この部分は、黒い成形色の形状で表現されているわけですが。加工の時点からコックピットの一部と意識していました。そのため、塗り分けラインに加工の時点で筋彫りを入れてあります。加工の段階で、塗装のイメージが出来ているのであれば、必要に応じて筋彫りを入れておいて塗り分けると、完成後に説得力が増してきます。 |
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とりあえず、初めてジーク・ドーベルを手にした時に抱いた疑問点や物足りなさで、今出来る範囲で解消することは出来たと思っています。少しでも、ジーク・ドーベルをゾイド・ジーク・ドーベルに近づける努力をしたつもりですが、やはりB/Oゾイドに膝関節がないと、ゾイド・ジーク・ドーベルと呼ぶには、はばかられるような気がします。ジーク・ドーベルは、武器を動かすだけではジーク・ドーベルのままでした。
何年か前にネット上で、「新世紀ゾイドのアニメが云々〜」見たいな書き込み見たことがあります。そのとき「オルディオスやガンギャラドが登場するアニメって作られていたの?」と思い、調べたことがあります。でも結局わかりませんでした。メカ生体からゾイドをやっていますと、「新世紀」とは、ジーク・ドーベルをはじめガイロス暗黒軍が登場した時なんですよね。それに、ゾイドは何度かオリジナルビデオが作られたりしていましたし、1980年代にも短いアニメが作られていますから、1990年頃にゾイドのアニメが作られていても不思議ではない、と思ったわけです。後に気付いたのですが、ネットに書き込まれていた「新世紀ゾイド」とは1999年に再始動したゾイドの事だったのです。「新世紀ゾイド」と聞くと、どうしてもメカ生体のガイロス暗黒軍登場以降の派手な色やメッキパーツを使用したゾイドや幻獣ゾイドをイメージしてしまいます。メカ生体の事それれも本体ばかり考えていると、1999年以降のゾイドのメディア展開の事が抜け落ちています。