★金大フィルとベートーヴェン
2000年9月9日更新



メイン その他 コンサート
51   ピアノ協奏曲4番 2回定期
52   エグモント序曲 3回定期
52 運命   4回定期
53   ヴァイオリン協奏曲 5回定期
54 田園 ピアノ協奏曲5番 7回定演
55 第8   9回定期
55 運命   10回定期
56   エグモント序曲 11回定期
56   コリオラン序曲 12回定期
57 第1   13回定期
57   エグモント序曲 14回定期
58   ピアノ協奏曲3番 16回定期
59 第2   18回定期
60 運命   20回定期
61 第8   21回定期
62   エグモント序曲 23回定期
64 第1   25回定期
65 第8   26回定期
66 田園   27回定期
67 運命   28回定期
68   エグモント序曲 29回定期
69 エロイカ   30回定期
70 第7   31回定期
72   コリオラン序曲 33回定期
74 エロイカ   35回定期
76   エグモント序曲 37回定期
78 田園 ヴァイオリン協奏曲 3回サマコン
79 運命   4回サマコン
79   エグモント序曲 40回定期
80   フィデリオ序曲 41回定期
82 エロイカ   7回サマコン
84   コリオラン序曲 9回サマコン
84   エグモント序曲 45回定期
85 運命   10回サマコン
86   レオノーレ3番 47回定期
87 エロイカ   12回サマコン
88   エグモント序曲 49回定期
89 運命   14回サマコン
92   フィデリオ序曲 53回定期
93 エロイカ   18回サマコン
94   コリオラン序曲 19回サマコン
95 運命   20回サマコン
97 第9 フィデリオ序曲 58回定期
99 運命 コリオラン序曲 24回サマコン
  金大フィルと50年間のべートーヴェンの関わりを振り帰って見ると、その密接さが一望してわかる。1951年から1070年頃までは、ほぼ毎年何らかの形でベートーヴェンを取り上げているのが、左の表からも。25年史でのエッセイなどからも、この最初の20年間は、シューベルトなどとともに金大フィルの定番レパートリーであったようだ。その理由は簡単で、主にオケ編成の制約から来るものであるが、日本におけるベートーヴェンの普遍的な人気の高さも大きいものだったろう。日本の音楽界はどういうわけか、ドイツ音楽至高主義で、クラシック愛好家の第一の人気作曲家は、とにかくも、ベートーヴェンであった。作曲家の「3大B」と言えば、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスと言われていたものである。


 この最初の20年間で、「第9」と第4を除いて、全交響曲制覇をしている。第9の登場は、実に1997年まで待つことになる。これは合唱との共同作業というマネージメント上の難しさもあろうが、やはり、年末の定例行事との折り合いや、曲自身の偉大さから来る一種ためらいがあったのだろうか・・。第4が採り上げられていないのは、ちょっと不思議な気もするが、メインにも、前半に置くにも今ひとつすわりが悪い、どちらかと言うと地味な曲の性質があったのだろう。


 シンフォニーはさすがに、「運命」が繰り返し演奏されている。第2回(1951年)の定期から実に9回も演奏されており、京大との合同演奏(1985年)も含めれば、10回、演奏旅行、音楽教室なども含めれば、冒頭のジャジャジャジャーンは100回を越えるのではないだろうか。古今東西の交響曲の王座としての地位はゆるぎないものである。
 「エロイカ」の登場は第30回定演が最初であった。山下成太郎氏のタクトであった。「エロイカ」は、曲の規模の大きさや、ホルンの技術上の難しさから、登場が遅れてのだと思われる。これ以降は、ほぼ「運命」と入れ替わりで登場してる、金大フィルの定番である。
 1,2,8番は最初の20年間を過ぎてからはほとんど取り上げられていない。近年の巨大化した金大フィルのプログラミングには取り込みにくいのであろう。帯(メイン)に短したすき(サブメイン)に長しである。


 一つの疑問は、第7がただの1度しか演奏されたないことである。50年の歴史の中で、1970年、大阪万博の年に山下氏の下で演奏しただけである。これは不思議である。別の第七(だいなな)で満腹と言うわけでもないだろうに・・・。

 80年代以降は、ベートーヴェンの登場回数は減ってくる。オケ編成の巨大化とともに、ロマン派以降の大作に挑戦していることとリンクしている。シンフォニーはサマコンでとりあげて、基礎勉強をして、定演は大曲へ挑戦というパターンが続いているのである。それはそれで、一つの見識であろう。



  シンフォニー以外では、序曲の定番として、「エグモント」と「コリオラン」がトップを競っている。エグモントが9回で王座を占めており、これは、全作曲家を含めても最多演奏曲目である。この傾向は、これからも変わらないのだろう。こうしてみると金大フィルのレパートリーは意外にも狭いのである。

 最近、団員数の減少に悩んでいる金大フィルにとっては、再度、無理をせずに、この巨人の音楽に、取り組むのも良いのではないだろうか。
(中西記)









金大フィル・ベートーヴェン選
エロイカ
運命
第九