少女革命ウテナ 決闘の歌 注釈:劇場版

制作者:KrK (Knuth for Kludge)

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KrK's Cracked Text > 雑多

※すべて「一解釈」です。


アストラガルス地球双六

アストラガルス

Astragalus。
動物のかかとの骨で作られたサイコロ。
古代ギリシャやローマで使われていた。
サイコロは天一地六ともいい、一が天、六が地、二から五が東西南北を表す。

地球双六 船、足、車 聖なる休息サイコロ流転

流転

仏教で、迷いの生死を続け六道の間を生まれ変わること。輪廻。
限りなく移り変わること。

地球双六 海、陸、山河 聖なるふりだしサイコロ輪廻

輪廻

「ふりだしに戻る」はつまり輪廻転生。

ダニエル書、黙示 永劫書、回帰

ダニエル書

バビロン王が自分の見た夢をダニエルに解釈させたユダヤ書。
神への信仰を行えば、災禍が起っても再び王国は栄えると言明。

永劫書

The Book of Eternity

永劫回帰

ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』より。
今まで生きた生をそっくりそのまま無限に繰り返すこと。
仏教の輪廻転生では、修行の為にこの世に生まれ、修行の為に何度も生を経験する。

「我は我のために生かず、生かず 世界のために我れは生く、生く」

世界のために

双六の駒は双六盤があって始めて駒として成立する。
すなわち世界あっての私。

地球双六 迫害飢饉 淫蕩、虐殺サイコロ晦冥

淫蕩

酒色に心を奪われて生活が乱れている様。

晦冥

空が真っ暗になる様。

神々たちの本性 エクピロシスの炎 「我は焼きつくされてもなお、なお 世界のために我れは生く、生く」

エクピロシス

ekpirosis。
キリスト教における、千年王国に繋がる世界炎上。
混沌→楽園→洪水→現世→世界炎上→千年王国→恒星

地球命数 古文書予言 万象エレメント 自然の啓示

命数

命の長さ、自然の成り行き。

自然の啓示

この世は神の創造の結果なので、自然を読み解くことが啓示を知ることにつながる。

一切のものはただ一つ それは 「我が、我れの、我がなる、我れたる、我れなり」

ただ一つ

私は私しか認識できない。

海の名わたし 陸の名わたし 天の名わたし 我れの名わたし

わたし

海も陸も天も、それすなわち私である。

わたしソフィア

ソフィア

sophia。
知識 [ギリシア語]
初めて子を生んだ万物の母。

私的解釈

人間が居て世界があるのではなく、世界があるので人間がある。


歴史望楼「文字砂漠」

望楼

物見やぐら。

白薔薇 赤薔薇 象徴 特徴 処女 殉教徒の書物 すなわち文字

薔薇

人を魅了する華やかさと人を拒む刺を併せ持つ二面性から様々な暗喩に使われる。
錬金術に使う場合は、赤薔薇か白薔薇のどちらかではなく
両方一緒に使う方が高度な術が使える。

象徴 特徴

文字により明確化されるもの。

複雑巧緻な象徴 特徴 単純 純潔 十字架 すなわち文字 あゝ永久百科 架空の書物「フィシオグロス」

フィシオグロス

Physiogolous。
2世紀前半、アレクサンドリアで完成したとされる自然科学書。
怪物に道徳的寓意を与えることで、キリスト教に取り込んだ。

我、非現実 跳梁跋扈 巣造り燃えて 死してなお復活 文字

跳梁跋扈

好ましくない者がわがもの顔にのさばりはびこること。

異端児 異郷 奇跡の創造 無意味 非意味 きわめて神秘 文字

奇跡の創造

奇跡も人間に理解できないだけで、結局はこの世の法則に則している。
存在である文字を組み合わせることにより無意味な言葉も神秘な言葉も生まれる。

あゝ不可思議物語 ソリヌス プリニウス「博物誌」

不可思議物語

プリニウス『博物誌』を抜粋した『奇異事物集成』(世界の奇話)。
6世紀頃に増補され『博物誌』として再刊行された。

ソリヌス

Caius Julius Solinus

プリニウス

Gaius Plinius Secundus。
ローマ帝国の役人。

博物誌

古代世界の百科事典、博物学が中心。

伝説 奇譚 神話 説話 幻想 空想 俗学 すなわち文字

伝説~

文字により伝わるもの。

淫夢女精 男性夢魔 XX形式 XY変異 文字

淫夢女精

睡眠中の男を襲い悪魔の子を産む精。

夢魔

眠っている女性を犯す悪魔。

XX形式

女性の遺伝子形式。

XY変異

男性の遺伝子形式。
男性遺伝子は、女性遺伝子のエラー状態であるとされる。

あゝフォヴェル物語 ヴァンサン「歴史の鏡」

フォヴェル物語

Roman de Fauvel。
国王、聖職者、裕福な庶民などを登場させ、当時の道徳を風刺した楽曲。

ヴァンサン

Vincent de Beauvais

歴史の鏡

旧約から新約を経て天国へと至る。
人々の巡礼を描いた図画集『大いなる鏡』。

あゝホメロス「オデュッセイア」 マンディヴィル反自然の物語

ホメロス

Homeros。
ギリシア最古最大の叙事詩人。

オデュッセイア

ギリシア最古の大英雄叙事詩、欧文学の源泉と仰がれる。
トロイア戦争終結後の英雄オデュッセウスが、帰途で嵐に襲われて漂流、10年にわたる冒険が始まる。

マンディヴィル

John Mandeville。
イギリスの社会学者。

物語

東方旅行記。前半は聖地への旅行案内書。
後半は聖地を越えてさらにインドや中国等々の「奇怪な旅行案内」。
「異形の人々」「異様な風習」が登場。

私的解釈

「言葉」とは物事を性格付け、世界を性格付ける神秘なるものである。


プチ万象の生命孤独史

レトルトの底に小さな存在

レトルト

蒸留用・乾留用実験器具。
錬金術の時代より、閉鎖空間の内密性には不思議な力が宿るとされた。
蒸留の反復による濃密物質の生成を子宮の模倣に見立てた。

クシュポデュメー、ドラゴンの子供

クシュポデュメー

スコットランド王チャールズⅣ世が飼っていたとされる竜。
双頭で4本の腕を持つ。ライン河の生まれらしい。

隔世遺伝の自然魔法

隔世遺伝

遺伝子のなすいたずら。
人間の遺伝は2つの遺伝子から決定される。
この遺伝子2つともに、ある特性αが存在する場合にのみ発現する性質Aを考える。
性質Aが発現している男性の遺伝子にはαが2つ存在する。
一方、女性の遺伝子がαを持ってない場合、その子には片方の遺伝子にしかαが存在せず、性質Aは発現しない。
その子が同じくαを一つだけ持つ人間と子供を作った場合、遺伝子に2つのαを持つ可能性があり、この場合性質Aが発現する。
つまり祖父には発現し、父親には発現していない性質Aが、子供に発現する。
遺伝子の存在を知らなければ、魔法かのような現象。

「わたしはここにいる、微々がゆえにわたしはここにいる」

わたしはここにいる

人間を分解すると、生命の宿らない微粒子となる。
しかしその微粒子が集合して生命を成している。

有史以前の運命附録

運命附録

微粒子は生命が誕生する前から存在した。

ミスティフィカシオンの子供

ミスティフィカシオン

mystification。
神秘化、人を煙に巻くこと。
素朴(ナイーヴ)な人間などを煙にまいて楽しむこと。
慈悲心や愛情を装いながら、他人から精神的に搾取すること。

生涯誕生くりかえす

誕生くりかえす

一つの個体が死に、その個体を成していた微粒子は、また別の個体となる。

趣好と 奇癖と 変種と 狂奔と

奇癖

普通と変わった、妙なくせ。

変種

同種ではあるが、ほかのものと違っているもの。

狂奔

狂ったように走りまわること。
ある目的のために熱心に奔走すること。

無知識 無道徳 無感情 無教養

無知識~

遺伝子は知恵も善悪も持たない。

洞窟・ルドルフ・ラビリントス 純粋思考の領域で 洞窟・ルドルフ・ラビリントス 詩的創造の領域で 洞窟・ルドルフ・ラビリントス 不的実験の領域で 洞窟・ルドルフ・ラビリントス 心理沈黙の領域で

ルドルフ

Rudolph II。
16世紀プラハ、ヨーロッパ美術の保護者(パトロン)にして蒐集家。
錬金術にも興味を持ち、周囲に錬金術師を集めた。
彼にとっての蒐集の意味とは、世界の、そして自然の掌握であった。

ラビリントス

Rabyrinthos。
迷宮。ギリシア神話にてミノタウロスを閉じこめるために作られた。

フラジオレットの音色にまたがり、溶けて空気になりながら

フラジオレット

flageolet。
ハーモニー。意図する音程に軽く別の音を重ねる手法。
微細な存在が重なって人間に成る様を例えている。

ソリチュード イエス 孤独 こどく こどく こどく......

ソリチュード

solitude
孤独。

私的解釈

人間の本質は内部の微細な存在である。


世界露壇の揺篭で -イン・ザ・ハンズ・オブ・ザ・ワールド-

露壇

テラス。

天命いまだ姿見せず イン・ザ・ハンズ・オブ・ザ・ワールド

天命

変えられない運命、天寿。

あなたとわたしはすでに不在[いない]のすべて なのに息づく時の流れに

なのに息づく

わたしが居ようが居まいが世界は存在する。

なぜ宿命の誕生、放蕩 なぜ運命の死線人生

放蕩

酒色にふけって品行がおさまらない様子。

死線

それを越えると殺される線。(広義)生死の境い目。

なぜ宿命の忘るる自然 なぜ運命の時間砂漠

時間砂漠

時間とは何も生まない砂漠のようなもの。

運動、流動すなわち無動 なのに息づく時の流れに

すなわち無動

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

ただその時を ただその瞬間を ただ待つだけの ただ待ちながら ただ待っている

その時

最後の審判。
避けることはできず、ただ来るのを待つだけ。

私的解釈

人間の感覚には限界があり、世界の真理が分からぬまま生きていかなければならない。


水滴すなわち万有始源

ドン・キ・ディジー・ダンダン ドン・キ・ディジー・ダンダン ドン・キ・ディジー・ダンダン ドン・キ・ディジー・ダンダン

ドン・キ

donkey。
のろまな。

ディジー

dizzy。
幻惑的な。愚かな。

見えない時間の迷路 在らざるも様々の未来

時間の迷路

未来は予見できず、多くの可能性を持つ。

時間を意味する言葉に 謎の謎解く「薔薇の園」

時間が存在して初めて知識というモノが生まれる。

薔薇の園

ロザリオ。聖母マリアと関係の深い場所。

無知または忘却せよと空寂響の意味が囁く 無意味な不死に逃れるな、真実飲んで知恵に酔え

空寂

人の気配がなく物寂しい様。
執着・欲望などの煩悩を消し去った悟りの境地。

無意味な不死

終わりがあるからこそ、知恵に興味がわく。

時間はいつも止まってる 超然得れば万物の 鍵なる言葉を知るという 網の目時間は止まっている

時間はいつも止まってる

時間は「現在」しか存在せず、止まってるといえる。

超然

世俗的な物事にこだわらないさま。

冷たい砂漠の雨滴れにも、恍惚感に身をさらせ

恍惚

心を奪われ我を忘れる様子。

鍾乳洞に響き渡る おびただしいその音響が 世界の万物生命始源 謎、秘密、迷宮起源

音響

鍾乳洞は一滴一滴が積み重なって、大きな結晶を作る。
人間も細部が積み重なって構成される。

生涯聖なる無秩序は 伝統、遺産をほのめかす

無秩序

混沌、すなわち一者に近い状態。

ドン・キ・ディジー・ダンダン 水滴すなわち万有始源 ドン・キ・ディジー・ダンダン 水滴すなわち万有始源 ドン・キ・ディジー・ダンダン 水滴すなわち万有始源 ドン・キ・ディジー・ダンダン 水滴すなわち万有始源

水滴

自然哲学の開祖タレスはすべての素(アルケー)は水であるとした。

私的解釈

生きるとは知恵を持つこと。知恵を持つとは迷うこと。


海月[かいげつ]藍に死す

海月

くらげ。
地球上の生物の中でもっともエネルギー効率の高い推進器官を備えた動物。

遠近 死出の旅路

死出の旅路

生きるとは死に近づくこと。

わたし風息になる わたし息風になる わたし光蒸気になる

風息

風の向きや速さが乱れるさま。

息風

人は感情によって吐く息つまり風が違う、という仏教の教え。
「我等が息風とは吐く処の言語なり」

酔生夢死とはいえ迫りくる死の影に

酔生夢死

何も価値のある事をせず、ただ生きていたというだけの一生を終える様。

ノスタルジックな自然瞑想 形而上学的感覚

ノスタルジック

懐旧の念を起こさせるさま。この場合は前世。

形而上学

真実・普遍的原理を思考によって認識しようとする学問。
実験による証明を重んじる立場からの批判的用語として用いられることも多い。

森羅万象 万有観照

観照

一切の感情を殺して冷静に、人生や自然や美などの抽象的な物事について、それはどういうものかと根本的に思索すること。

深夜海月パノラマ・カーニヴァル

パノラマ

半円形の壁に歴史的物語を何枚もの絵に描いたもの。

カーニヴァル

謝肉祭。道化が許される祝祭。

波月、夜月、夢月、時月 風月、息月、酔月、冥月 満月、半月、赤月、青月 失月、影月、無月、不月 あゝ三日月 月蝕

月は様々な形に姿を変えることから、復活、不死の象徴とされた。

月蝕

=月食。

つねに遠のいてゆく

つねに遠のいてゆく

月は常に地球に落ちているが、同時に遠のいていくために接触しない。

狂想なほどに純粋な禁断の月扉 その正面に立ち「今、開扉かん!」

狂想

非現実的で、とりとめのない考え。
月(Lunar)は狂気(Lunatic)につながる。

「月する 月にする 月は海の上に昇った 波するもののうしろから上方にそれは月した」

Jorge Luis Borges (ホルへ・ボルヘス) の小説「円環の廃墟」より。
火事で廃墟となった円形の神殿で眠り、一人の人間を夢見ようとする主人公。
やがて心臓から少しずつ一人の人間を完成させた。
しかし、主人公はその人間が火の上を歩いても火傷しないことから、自分が幻であることに気づくのではないかと怖れる。
そして自らもまた夢見られた幻であることを知る。

メメントモリ・メントモリ・ントモリ・トモリ・モリ・リ

メメントモリ

Memento Mori。
「死を想え」。
生が生としてある意味の再認識。
黒死病大流行時、キリスト教徒としての「死に方」の手引きを書いた小冊子のタイトル。
Ars Moriendi (アルス・モリエンディ、往生術/死亡術) が、印刷術の発明と相俟ってベストセラーに。
その中の言葉がイタリアでの知識人達の座右の銘に。

夜光虫月 わたし死を想え

夜光虫

発光をする原生生物。

しない存在 始ない存在 私ない存在 思ない存在 至ない存在 死ない存在

Existance without action
Existance without beginning
Existance without self
Existance without thought
Existance without climax
Existance without death

私的解釈

人間が生き、死んでいく様を、月の満ち欠けに重ねた歌。


絶対媚惑「タ・エロティカ」

媚惑

人の心をひきつけ、まよわせること。

エロティカ

erotica。
性愛。

アエリア ラエリア クリスピス オルギア・錬金

アエリア, ラエリア, クリスピス

Aelia, Laelia, Crispis。
錬金術師の名前。

オルギア

Orgia。
秘密の礼拝。

月 太陽 光 影 デュアリスム存在 リビドー プラズマ

デュアリスム

Dualism。
二重性、善悪二元論、身心二元論。
二重性は絶対なる一者の象徴。

リビドー

Libido。
一者への合一の手段。
トランス状態に陥った無感覚が完全存在との合一の手段であり、全ての苦しみから解き放たれる瞬間である。

プラズマ

Plasma。
プラズマプロセシング
電子、イオン、ラジカル、光子の集団で、多様な活性エネルギーを内包している現代の錬金術。

幾何学 生殖 アルペド 神秘 リビドー エニグマ

アルペド

albedo。
白化。錬金術における物質変化の三要素の一つ。
アルベドalbedo→黒化(ニグレドnigredo)→赤化(ルベドrubedo)→賢者の石

エニグマ

enigma。
闇そのもの。魔法を学ぶ上で必ず出会うことになる生物。

創世相姦 万物媾合 すべてがひとつの絶対欲望 ソルティオ

相姦

禁じられている男女の肉体関係。

創世相姦

旧約聖書においてのアダムとエバ。

媾合

性交。

絶対欲望

人間は絶対的存在から男女にわかれた存在であり、性交はまたひとつに戻りたいと願う心から行われる。

ソルティオ

solutio。
溶解する、解決する。

エロス 媚を競うタナトス原理 リビドー ナトゥラ

タナトス

Thanatos。
ギリシア神。死の意。

タナトス原理

破壊への衝動。

ナトゥラ

natura。
自然。

聖なる本能 天地開闢以前 リビドー アートマン

開闢

万物の生成の初期、混沌未分のものから天と地とが分かれ出て来たこと。

アートマン

atman。
自我の意。「我」。
インド哲学の重要な概念の一つ。人間存在の根本原理。
the universal spirit、これが別れて男女となる。
非人格的な世界の根本原理の名称であるブラフマン(梵)と対になる人格的原理。
brahman:「神から与えられたもの」、宇宙の根本原理、万物の本体。

媚ゆえ焦がれる アプロディテー

アプロディテー

Aprodite。
愛と美の女神。
ガイアの娘ディオーネとゼウスとの子。

私的解釈

人間のハレの状態は、本能状態であるがうえ、絶対者に近い。


デフォルメ・デジャヴュ

デフォルメ

deformer。
主観を通して対象を捉えなおし表現すること。

デジャヴュ

deja vu。
既視感。
実際は一度も体験したことがないのに、既に体験したことのように感じること。

混沌 双ゝ 象徴の種 原初 源流 光塵の種 空なる物質

原初

この世の最初は混沌とし、男女も交わった絶対なる一者の状態である。

光塵

和光同塵。
自分の才能や学徳を隠し、俗世間に交じって目立たないように生活すること。
仏教では仏・菩薩が知徳の光を隠して仮の姿となって、衆生を救うこと。

空なる物質

一者は唯一存在なので空である。

麗華 幻想 透明の種 法則なしの 細胞の種

法則なし

世は変化し続ける。

偶然 融合 膨張の種 変形自在、生命

偶然 融合

人間は偶然細胞が集まって出来た存在である。

膨張の種

絶対なる一者から分離した状態。

変形自在、生命

人間は姿を変えて存在し続ける。

「どこでもわたし在り、そこにもわたしいる、なんにでもわたし成り」 「はじめにわたし在り、いまでもわたしいる、あなたにもわたし成り」

在り

神に作られし「わたし」は不偏の存在である。

沈殿 飛翔 創造の種 衝動 破徳 増殖の種 非力な仮説

非力

人間は偶然できた存在、不安定な存在である。

卵割 複性 混合の種 極微 滴虫 現象の種

卵割

受精卵の発生初期に起こる一連の細胞分裂。

滴虫

有性生殖によって生じる幼生。←→蠕虫型幼生。

分離 接合 独立の種 知らぬ記憶、歴史

接合

細胞の融合や核の交換等、有性生殖の方法。

「ミュルミュルミュルわたし在り キャナキャナキャナわたしいる ユゥノユゥノユゥノわたし成り テュヨテュヨテュヨわたし在り ユョヤユョヤユョヤわたしいる ミェナミェナミェナわたし成り」 あゝ、タブーなし

タブー

神聖なものとして禁制されること。禁忌。

荒唐 妄誕 すなわち無稽の 息づくだけの姿なし なし なし なし なし なし なし なし なし

荒唐

勝手気ままな思いつき。

妄誕

話などがでたらめな様子。

無稽

現実には全く有り得ないこと。

姿なし

人間は「人間である」と認識されているから
存在していると思われているに過ぎない。

ユルカナ ユノトス ヨヤメナ メヤヨス トノユナ カルメカルメ ユルカナ ユノトス ヨヤメナ メヤヨス トノユナ カルメカルメ ユルカナ ユノトス ヨヤメナ メヤヨス トノユナ カルメカルメ ユルカナ ユノトス ヨヤメナ メヤヨス トノユナ カルメカルメ カルメ カルメ カルメ カルメ

法則なし。

私的解釈

生命存在は不偏であり、姿を変えて存在し続ける。


追想レミニセンス変身譜メタモルフォーシス 《荒野より》

追想

Reminiscence。
過ぎ去った日のことを思い出してしのぶこと。

変身譜

Metamorphosis。
ギリシア・ローマの神話・伝説の全書。
Ovidius(オヴィディウス)。

荒野より

三島由紀夫『荒野より』。
作家の家に押し入った若者が「本当の事」を愁願する。
作家はこれに答えようと対峙するが、何の為の行為か当事者にもわからない。
作家の心は広大で、それは街の地図に喩えられる。
その街の外側には地図にも載せられていない「ノーマンズランド」があり、そこは岩だらけの荒地で、動物も植物もない。
作家はそこから来たのか。

風が呼ぶその名を知れと わたしの名の蔭に在る正しき名を知れと

正しき名

「わたし」が真に知感できるものは「わたし」のみである。
よって、「わたし」を知るためには、「わたし」を見つめるしかない。

道はある果てなくも短くも だが、どこにも道標はない

人が生きればそれすなわち道である。
しかし、それが「正しい」のかは分からない。

ただ前進のみが知るためだ

前進のみ

過去を振り返っても既に知感したもの、すなわち「既に知っているもの」しか分からない。

私的解釈

自分が何者なのかを知るには、ただ進むしかない。


シュラ-肉体星座αψζ星雲-

修羅

阿修羅の略。
インド系神話での悪魔一般。
狭義では仏教への反逆者で、後に仏教に帰依した一族。
阿修羅王は美少年で描かれることも多いが、両性具有とされることもある。

肉体星座

人体に同じ。

αψζ

星の名前につきもの。

シュラ 今、燃えん手の足の鼓動に

修羅を燃やす

恨みや憎悪を激しく感じる、の意。

シュラ 今、熱焼[あつ]く終焉[おわり]知らぬままに

終焉知らぬ

神の造りしこの世は永遠である。

現身[うつしみ]脱ぎ 荒闇[こうやみ]に吹き 虚空のかぎり

現身

現在の姿、実体。

虚空

現身の反対。

シュラ 今、沈黙 地動 天・人道凝視[みつ]めつつ

天道

星が動く道筋。

人道

人間が存在した形跡。

シュラ 今、ありし宇宙[てん]の果てありしなら

今ありし

時制が現在なので「し」は強調、今まさに存在している。

シュラ 蛍のように蒼白く透けて 臨終[いまわ]のきわに立つ

蛍の光は熱くない。
同様に修羅も燃えずに光を放っている。

青白い

蛍の光を白色矮星になぞらえる。
白色矮星には最大質量が存在し、それをチャンドラセカールの限界という。
星は星間ガス→恒星→白色矮星と進化する。

透ける

存在と非存在の中間の姿。

シュラ 今、生かん嵐・熱風[シロッコ] 捲くなか

シロッコ

サハラ砂漠に発し、アフリカ北岸から地中海周辺に吹く熱風。

シュラ 幻星[まぼろし]あてて、幾世紀をつつみ

あてて

目当てにして、目指して、あるいは期待して。

シュラ 今、チャンドラセカールの限界 シュラ 今、チャンドラセカールの限界 シュラ 今、チャンドラセカールの限界

チャンドラセカール

インドのランプ=月を持つ門番。

チャンドラセカールの限界

白色矮星の最大質量。

私的解釈

宇宙構造を人間に例えた歌。


われら自ら棄てた堕天使なり

人の子と思うゆえこそ 人の子の名を名のり

名を名のる

己を認識し、世界にも認識させる行為。

謎撒く知恵にわれはわれを忘れてきた

謎撒く知恵

知恵を持つことはすなわち迷うこと。
迷うことはすなわち生きる目的を持つこと。

天界の一族に聖なる翼切り渡し 天より墜ちし黎明の子

黎明の子

堕天使ルシフェル。神を裏切り魔王サタンとなる。
ルシフェルは「暁の子」の意、暁は夜明けの事。
明けの明星、宵の明星、すなわち金星に例えられる。

セラピム ケルビム トロネ 主権 力 能力

天使の階級で1級~3級。

セラピム

Seraphim。
熾天使。最も神に近い階級の天子、ヘビの化身。

ケルビム

Cherubim。
智天使。記録係、エデンの園に至る道を神と共に封鎖。

トロネ

Thrones。
座天使。多くの目を持つもの、神の玉座を運ぶ。

スコラの時代の暗闇に

スコラ

キリスト神学を「科学的に」論理づけようとする試み。

暗闇

スコラ学はキリスト教の教えを絶対とし、疑うことをしなかった。
そのため科学的には思考が止まっており、この時代は「科学史の暗黒時代」と呼ばれるようになる。

響き渡った天使的博士ドクトル・アンゲリクス

ドクトル・アンゲリクス

Doctor Angelics。
仮面で顔を覆った偽装天使。
過去に自分の犯した罪を激しく悔いているが、それが何かは語ろうとしない。

《トマス・アクィナスの書》も今や不在

トマス・アクィナス

Thomas Aquinas。
スコラ哲学者。
神の被創造物たる自然の認識を通して神の認識に至るとし、アリストテレス哲学を持ち込んで教義を体系化、スコラ哲学を大成した。
天使についての詳細な記述をし、天使博士とも呼ばれた。

『神学大全』
「哲学は神学の下女」
世界はイエスを頂点として段階的秩序をなす、と信仰(神学)と理性(哲学)をはっきり区別した上で調和を図った。
天使を形相を持たない純粋な存在だとした。

唸り叫んだ熾天使博士ドクトル・セラピクス

ドクトル・セラピクス

Doctor Seraphics。
熾天使博士。

《ボナヴェントゥラの天使の論》も寓々々……

ボナヴェントゥラ

Bonaventura。
神学者。
外部世界を知覚する肉の眼、知識を得る理知の眼、超越的リアリティの知識へと上昇するところの黙想の眼の3つの眼を想定。
アリストテレス哲学(≒唯名論)は学問論のみで知恵論がない。
プラトン哲学(≒概念実在論)は知恵論のみで学問論が無い。
アウグスティヌス主義はその双方を備えている、とした。

聖書 イザヤ エゼキエル モーゼ ソロモン 旧約時代

イザヤ

Isaiah。
ユダヤ人が捕囚になることを預言した書。

エゼキエル

Ezekiel。
地球最終戦争の項。

モーゼ

Moses。
出エジプト記。

ソロモン

Solomon。
列王記の中のソロモン王を巡る数々のエピソード。

「われはわたしアッシリア サルゴン王宮 カナケリブ王宮の彫像 しかるに標識トーテムポール 神秘不思議聖誓体 しかるにわれはわたしだてんし」

アッシリア

Assyria。
古代オリエント最初の世界帝国を築き上げた帝国。

サルゴン

Sargon II。
アッシリア帝国王。
反乱の火の手が上がっていた頃に王位につく。

カナケリブ

Sennacherib。
サルゴン2世の子。
中東一帯を支配していたアッシリアを撃破、ユダの一族も支配下に。
だがアッシリアがエルサレム陥落の為に大規模な兵の派遣を行う。
悲嘆にくれる王に予言者イザヤが祈りが天に通じた事を報告、一人の天使が現れ十八万五千人の兵士を殺してアッシリア軍を壊滅。
(旧約聖書)

トーテムポール

それぞれの家系が所有する物語の登場者を彫刻したもの。
宗教的意味合いはなく、単なる標識である。

四つの翼 四つの飛翔 マンドルラ守護なる君 四つの頭は 中心マタイ(人間) 右のヨハネ(鷲) 左のマルコ(獅子) 下のルカ(牡牛) さらに、われは四つの車輪もつ

マンドルラ

Mandorla。
アーモンドの一種。光輪を表す。

四つ

エゼキエル書の予言一章。
Matthias (Matthew) キリストが人間となったこと。
Iohannes (John) キリストが全てを支配する王であること。
Marco(Mark) キリストが献げ物をする祭司であること。
Luca (Luke) キリストが全てを見通す方であること。

バビロンに囚われの身となっているエゼキエルが災厄が悪しき者にも従順な者にも同様にふりかかることを何故かといぶかしがっていると、天が開いて4つの顔と4つの翼を持つ4つの生き物の姿を見る。
それらは一緒になって輪をつくり、向きを変えずどちらの方向へも進んだ。

ヨハネの黙示録第四章:
天の玉座の中央とその周りに四つの生き物がいた。
第一の生き物はライオンのようであり、
第二の生き物は若い雄牛のようで、
第三の生き物は人間のような顔を持ち、
第四の生き物は空を飛ぶ鷲のようであった。

あゝゝ 生まれ空ゆえ望郷なし

望郷なし

空=天は人間に認識できない。

天使的な思想の裡にある 静かなる瞑想なり

=「裏」。
内側。

私的解釈

人間の起源を天使に求めた歌。


甦れ!無窮の歴史「中世」よ

無窮

朽ち果てることがなく、無限で永遠に続くこと。

存在創造 不思議な快楽 歯車装置

存在創造

中世科学=錬金術の最大の目的は「無から有を作り出すこと」。

聖なるデカダン 未完の歴史 硝壜装置

デカダン

頽廃派。質実剛健の気風が失われて、柔弱・不健全になること。

硝壜装置

ガラス瓶、化学・錬金術の実験器具。

生命造出 錬金道士 気体装置

道士

道を極めた者。

憑かれた人物 電気[エレキ]魔術師 稲妻装置

電気/稲妻

人間の生命の素は電気であると考えられていた。
そして現代科学でも、思考は電位によるものであるとされる。

秘めたる悪魔の鼓動に時をうち 百弦琴の魔曲句をなぜに奏でるか

百弦琴

インド古典楽器サントゥールSantur、聞く人を幽玄の世界へと誘う。

私のすべて「中世」にして スコラ抽象 私のすべて「中世」にして 麻痺する思想 私のすべて「中世」にして 不吉予言書 私のすべて「中世」にして 精神魔法陣

麻痺する思想

あらゆる事象の原因を神に求め、真理をただ一つとみなした為、思考はそこで停止してしまった。

不吉予言書

黙示録。

金属胎児 聖性[せい]なる実験

金属胎児

スコラ哲学の一つの目標である、錬金術による金の生成。

聖性なる実験

もう一つの目標であるホムンクルス(人造人間)。

未来のイヴ 心息[き]の蒸溜器 腐肉体[ふはい]生動 胚貯蔵壜

未来のイヴ

Villiers de L'isle『未来のイヴ』
電気によって生命を甦らせた女性の話。

心息の蒸溜器/胚貯蔵壜

人工臓器。

私のすべて「中世」にして 狂気と愚昧 私のすべて「中世」にして 占星医学 私のすべて「中世」にして 囈言[うわごと]死術 私のすべて「中世」にして 光学解毒剤

愚昧

おろかで正しくないさま。

占星医学

神の意志の現れである星の動きを知ることによって人体を治す学。

囈言

病の床で無意識に発する言葉。
人の意思でないのなら神の意志かもしれない。

死術

手術は裏を返せば死についての術。

光学解毒剤

光による化学反応を利用した解毒剤。この場合の光は神の力。

驚愕実験 苦痛実験 残酷実験 悶絶実験 硝煙実験 眼球実験 刻搾実験 惨絶実験

硝煙

火薬が発火する時に出る煙。

刻搾

≒解剖

惨絶

きわめて悲惨なさま。

中世には様々な実験が行われた。

癇癪歴史 白眼歴史 癲癇歴史 痙攣歴史 瘋癲歴史 欝血歴史 歪肉歴史 臓餐歴史

癇癪

怒りたくなる気持を抑えている状態。

白眼

冷たい目つき。

癲癇

発作的に痙攣を起こす病気。

痙攣

筋肉が病的に収縮すること。

瘋癲

精神状態が不安定な症状。

歪肉

肉体がゆがんでいる様。

欝血

血液が滞っている状態。

臓餐

内臓や臓物を食すること。

中世には人体実験が行われた。

私的解釈

中世のスコラ哲学は、すべてを飲み込み
体系化されていた、完全なる思想であった。


最終更新:2024/02/24

主要参考文献

©J.A.シーザー:当ページでは引用の範囲内で歌詞を使用しています。

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