サマータイム導入に伴う睡眠不足のメカニズム
まるいち 夏時間導入日の前夜、手持ちの時計内蔵機器を1時間(2時間設定の場合は2時間)、全ての機器を進めることからサマ-タイムの準備が始まるのである。アナログ時計の針は比較的簡単に進めることが出来るが、デジタル時計内蔵機器は、説明書を見ながら行うことになる。目覚まし時計一つでも進めるのを忘れると、翌朝、混乱を招くことにもなる。

まるに 時計合わせが全て終わると、テレビ番組など普段と同じ時刻(時計の針は進めているので・時計上では遅い時刻)の就寝となる。

まるさん 導入日の朝は、いつもと同じ時刻の目覚まし時計で起きるのだが、時計の針を進めているため、実質の睡眠時間は少なくなっている。深夜の時間帯に夏時間に切り替わり、前日の24時0分=夏時間の午前1時0分(2時間設定の場合は午前2時0分)となるためである。実質1時間(2時間設定の場合は2時間)早起きしたことになるので、眠いながらの通勤・通学となるのである。

まるよん 職場や学校へ着くと、先ず最初に、全ての時計内蔵機器を1時間(2時間設定の場合は2時間)、進める作業を行うこととなる。普段行ったことの無いデジタル時計内蔵機器は、説明書の保管場所が分からず、変更出来ない事態となることもある。

まるご 導入日の夜間、普段と同じ時刻に眠くなるかと思いきや、サマータイムにより時計を進めているため、時刻上1時間(2時間設定の場合は2時間)遅く睡魔はやって来る。早く寝ればいい様なものだが、遅く寝ることは簡単だが、早く寝ることは人間の体内時計のためなかなか出来ないのである。何故かというと、人間の体内時計は本来約25時間の所を24時間にリセットして生活している。時計の針を悪戯に進めても、体は普段のリズムを保とうとするので、この様な睡眠パターンが生まれるのである。
  海外旅行などで長時間移動を行えば、移動に伴う疲労により体内時計も変化を来たすが、日本から西方面(ヨーロッパ)等へ行く時の時差ボケよりも、東方面(アメリカ)等へ行く時のほうが時差ボケが辛いのは、人間が本来約25時間の体内時計を有しているためである。



まるろく 導入日2日目の朝は、前日及び前々日の睡眠不足が影響し、さらに眠気を抱えたまま、目覚まし時計で起きることとなる。そして夜間になると、またまた体内時計の影響で普段と同じ時刻に眠れず、遅い時刻の就寝となり、睡眠不足の連鎖に嵌まるのである。睡眠不足の連鎖は、通常1週間~10日間生じる。個人差があり、日昼に強い太陽光を体に受けたか否かでも個々に異なる。

まるなな 「春眠暁を覚えず」春の夜は短いうえに、大変寝心地がよいので、夜明けになってもなかなか目が覚めない。・・・広辞苑より引用   とのことわざがあるが、冬仕様に人間の体がなっているため、春になると眠気を本来感じるものである。古代より春に採れる苦味のある植物(わらび、竹の子、たらの芽、等)を取り入れ、夏用の体に徐々に変化させているのである。

まるはち 乳牛搾乳など、動物の体内時計を変化させることは非常に困難を伴い、一日数分づつの変化が限界となる。一挙にストレスを与えると搾乳量も大幅に減少してしまうので、何日も掛けて徐々に搾乳時間を変化させることとなる。

まるきゅう 私の親族は山口県に住んでいるが、夏場は夜でも暑くて冷房が離せないという。サマータイムが導入され、朝の涼しい時間に比例して夜が早く涼しくなる訳ではないので、考えれば当たり前のことである。暑さに伴う寝苦しさは長時間の冷房使用となり、毎年体調を壊す要因ともなる。

まるじゅう 本来、春の眠気があるところにサマータイム導入を行うと、睡眠不足とも重なり非常に眠い日々を過ごす結果となる。戦後日本で行われたサマータイム(夏時間)導入は、初年度(昭和23・1948)年5月1日(実質5月2日・日曜日)から実施され、翌(昭和24・1949)年は4月第1週土曜日(実質4月3日・日曜日)から実施された。多くの国民が眠気を訴え、反対の嵐となったのである。私の母を含め、昭和一桁生まれ以前の人々への取材や、サマータイム当時の新聞(復刻版やマイクロフィルム)などを図書館で取材すれば、とても導入提言には程遠いことが理解できる。              以上

 2003年12月10日 写真家 縄田頼信
参照
昭和23年4月28日
官報(号外)第6384号
                法  律
 夏時刻法をここに公布する。
 昭和二十三年四月二十八日
法律第二十九号
   夏時刻法
第一條 毎年、四月の第一土曜日の午後十二時から九月の第二土曜日の翌日の午前
 零時までの間は、すべて中央標準時より一時間進めた時刻(夏時刻)を用いるも
 のとする。但し、特に中央標準時によることを定めた場合は、この限りではない。
第二條 四月の第一土曜日の翌日(日曜日)は二十三時間をもって一日とし、九月
 の第二土曜日は二十五時間をもって一日とする。
  夏時刻の期間中のその他の日はすべて二十四時間をもって一日とする。
第三條 この法律の施行に関し、時間の計算に関する他の法律の規定の適用につい
 て必要な事項は、政令で、これを定める。
   附 則
 この法律は、公布の日から、これを施行する。この法律の適用については、昭和
 二十三年においてはこの法律の第一條及び第二條において「四月の第一土曜日」と
 あるのは、「五月の第一土曜日(五月一日)」とする。

             
 
       
           
 

 
         
           

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