** 田んぼ≠ニ生産者≠フ いま  **

コマチ
私の店では、心を通じ合うことのできた米づくり生産者が心血を注いで 作っているお米を直接に仕入れ、その人の名を冠して販売している。
秋田県雄勝郡で減農薬・有機栽培の農業に取り組んでいる佐藤肇・美保子さん夫妻が作った『佐藤さんのあきたこまち』(写真)もその中の一つ。
その佐藤さんから月々届く『お米便り』から田んぼのいまを垣間見てみよう。
なお、この佐藤さんが生産した「あきたこまち」を食べてみたいという方、あるいは このお米に興味がある方は、ご遠慮なく私宛てにメールして下さい。

この『お米便り』は、佐藤さんの栽培したお米を販売や購入している人に届けられる写真つきメールです。 農作業のことだけでなく、有機・減農薬栽培を信念としている佐藤さんの雑感も非常に興味深いものがあります。


◆◆ 田んぼの定地点観察 ◆◆


2004年6月11日

6月30日
 
真ん中のアゼから左が一般的な田んぼで、右の田んぼが私のです。 5日ほど田植えが遅いのですが、それを差し引いても成長の差は歴然。有機肥料100%ですので地温が上がり微生物に分解してもらわなければ稲は吸収できません。
今年はこの田んぼで15日間隔で成長記録を撮りますので一般の稲と有機栽培の稲の生育の違いをご覧下さい。


7月15日

【2004年6月の米便りから】
 6月1日に田植えを終えました。   4月中旬の種まきに始まり、苗を育てながらの耕起代掻き、田植えと稲作りで最も忙しい時期を乗り越えました。
  「這えば立て、立てば歩めの親心」のように、田植えが済むと苗の生長が気になり、早く田んぼがにぎやかになるように思うのが農家の正直な気持ちで、つい肥料を多く与えたくなります。しかし、過度な生育は軟弱になりますので、イモチ病や紋枯れ病といった病気やウンカやニカメイチュウ等の害虫に対して抵抗性が低くなりますし、刈り取り前に自分の体を支えきれずに倒伏する事もあります。
 稲には稲の生理に合った正常な成長スピードがあり、過ぎたるは及ばざるが如しと同じ意味で篤農家は「青田ほめるは馬鹿ほめる」と、にぎやかな田んぼを戒めたものです。
 この言葉は、私の祖父も言っていましたから随分古くから伝承されているのでしょうが、実は、現代の一般的稲作りにはもう死語のようです。というのは、現在の一般的農業では病気や害虫は必ず発生するという前提で、発生する前から予防として殺虫剤と殺菌剤を散布してしまいます。倒れそうな時は成長を抑えるホルモン剤まで使用します。

 人も偏食しないで腹八分目の食事と適時な運動を続ければ生活習慣病になりにくい筈ですが、食生活の乱れや運動不足で薬を手放せ無くなる人も多い世の中です。要するに、稲も人もどちらが良いかは聞くまでもない事なのですが、薬に頼る方が楽なので、?分かっているけどやめられない? ようになってしまっているのではないでしょうか。

【2004年7月の米便りから】
  田んぼの仕事は相変わらず草との戦いです。草の多い田んぼは4回目の除草に入っていますが、稲も伸びていますので機械での除草は先週まで、あとは手での草取りになります。
 田んぼの草取りの合間に行っている畦畔の草刈が年々きつくなり、今年は腰が痛く、時々尻の下からひざまで電気が走るような痛みを感じるので病院で診てもらったら座骨神経痛とのこと。手術すれば痛みは取れるが、これ以上悪くなる事はないので我慢できるのだったら痛みと付き合っている方がよい、との意見でした。付け加えて、ストレスのような心理面からの複雑な原因でも無く、命に係わる訳でもない。40も後半になると痛い所の一つや二つくらい誰でもありますよ。痛みをセンサーと思って若い頃のように無理をしないで大事にして下さい。 さらにレントゲン写真を見て、きれいな腰ですね。と言われた時には鳥肌が立った。 同性に、しかも骨をみて腰をほめられてもなぁ…。 医者じゃなかったら変態ですね。
 と言うわけで我慢できるまで腰の痛みと付き合う事にしたのでマリリンと名前を付けた。痛みが走ると、「マリリン、お前だけを愛しているから嫉妬しないでくれ」と草刈りしながらブツブツつぶやくのである。

 農薬を全く使用しないと田んぼの生き物の種類も数も増えると言われているので、どのくらい増えるものか期待しているのだけれど、確かにイネミズゾウムシやドロオイ虫などの害虫は増えている。「害虫だけかよ」と除草しながら観察していると去年までは見なかったヒルが目に付く。ということは吸血される生き物もいる筈なので探しているがまだ見ていない。
 ああ、一年で爆発的に増えるものではないと気付き、自分のせっかちさを冷笑するが、失ったものを回復するには時間がかかるのもだ。
 



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