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野口晴哉先生語録

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野口晴哉 『整体法の基礎』(全生社 1977年)
第一章 技術以前の問題 (八) 気

〈気〉
(39頁)整体指導の技術の基は、この気をどう使うかということだけで、心とか体とかそういうものにはこだわらない。気の停滞、気の動かし方、気の誘い、気の使い方といったように、体に現れる以前のもの、物以前のものを、物以前の力で処理していく、それが技術の基になります。

 だから、“胃袋を治すにはどうしたらいいか”と聞かれても、私は胃袋など観ていない。気のつかえを観ているのです。気のつかえを通るようにする、鬱散するようにする、足りないところには巡るようにする。私の観ているのは気だけなのです。レントゲン写真を撮ったら、こんな風に曲がっていたとか、こんな風に影が出ていたとか言っても、それは物の世界の問題なのです。気の感応で気が通れば、どんなに曲がっていても真直ぐになるのです。頭の中の細胞がああなっている、こうなっているといっても、そんなことは問題ではないのです。

 手を当ててよくなるものはよくなるが、よくならない感じのすることがあります。それは気の停滞、つかえなのです。つかえて気が動かなくなってしまうと、冷たく感じるのです。

  


   

野口晴哉 『整体法の基礎』(全生社 1977年)

 気は、体力と非常に関係があります。だから私は疲れると、体力を整えるために背骨に息を吸い込みます。人の背骨にもそうして息を通すと、その人は呼吸が深くできるようになり、丈夫になっていきます。それは私だけかというと、私のように気の感じというものを中心にしてものを感じ取っていくようになると、みんな分かるのです。気を気で感じる。物にならない、事にならない、それ以前の気の動きを感じられる。あるかないかわからなくとも、気というものをエネルギーと仮定すると、人間の動きがよく分かります。