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『かしゃぐら通信』訪問者カウンター  スリランカ探検隊 No91 2005‐7‐15
 スリランカ探検隊バックナンバー  


津波援助は既成の枠内で
P−TOMSとワサビPartU

 米国がスリランカへの共同援助の枠組みから外れる声明を米国大使館から出した5日後、コロンボの日本大使館もP−TOMSへの融資供与を差し控えるとの声明を出した(ランカ・アカデミック2005‐07‐13)
 先週7日にジェフリー・ランスティード米大使は共同機構JMが調印されようがされまいがスリランカ津波復興支援資金援助は行うとプレス・リリースし、この方針に他の国々も賛同するよう強調している。
 日本政府だが、P−TOMSの協約を破棄・保留する理由をこう述べている。それは日本政府はすでに、スリランカ北部、東部、南部にこれまでも十分に援助を行っており、P−TOMSに対し新たに援助融資する必要はないと判断した結果である、という内容。だが、日本政府は同時に、このスリランカ政府‐LTTE共同機構JMへの復興援助要請がスリランカ政府から出されるのであれば、融資を再開することにやぶさかではないという含みを持たせている。
 米国はすでに゜国内の理由"からP−TOMSへの融資を行わないとの声明を出したが、日本もこれに倣った感がある。

 LTTEのテロ行為が北部東部でこのところ激しくなったような報道がタミル・ニュースを含めたスリランカのマスコミに大量に流されるようになっている。一方でタミル・ニュースの伝えるところでは、各国・各機関からのスリランカ北部への援助支援が活発に行われているから、津波復興会議をカンディで行い足並みを揃えたかに見えた援助各国の姿勢は早くも米国を中心にして崩れた。
 ただし、日本がP−TOMSを見捨てたのはスリランカ復興支援に乗り出しているEUとの援助国主席争いが関係しているとの見方もある。援助額が最も多いにもかかわらず援助国代表という地位を得られない日本がP−TOMSを蹴ったという見方だそれだ。また、融資の受け皿となる金融機関をEUが世界銀行としているのに対し、日本はアジア開発銀行を主張しているという双方の意見態度の違いに原因があるという見方もある。

 日本はここでまた、対スリランカの辛口外交姿勢を示したようだ。ワサビ発言パートUと言ったところだが、これが日本の主体的な判断であることを望む。東京会議のときのような援助立ち消えは見苦しいからだ。
 ワサビか、ホースラディッシュか。それともミリスか、コーッチ・ミリスか。はたまた、伝統のミラグ・タンニールか。辛味、辛口は民族文化で異なリ、その効用も異なる。
 スリランカ復興が、どのようなかたちであれ、たゆまず進んでゆくことを何より望むのだが。