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和平復興関連 No.81

茶色の文字はシンハラ・フォントです。シンハラ・フォントをインストゥールしてお読みください。


2005‐5‐20
和平復興、津波復興支援額は目標を超えたが…
スリランカ復興支援国会議終わる


 16、17日の両日、カンディで開かれたスリランカ復興支援会議は50を越える国と機関から200名を越える参加者を集めて成功裏に会議を終えた。スリランカ復興を支援する国と支援額がはっきりと表明され、津波復興支援と和平交渉の進展は次のステップを踏むこととなった。

 チャンドリカ大統領の開会のスピーチは投資先に困った富裕国の資金の逃げ込み先と目されかねない対外援助が、投資を受ける国にとっては政治・経済・民族の行方に多大な影響を与えるものであることを如実に表している。
 会議初日の月曜日にチャンドリカ大統領は「命を危険にさらしてもLTTEとの共同機構を立ち上げる」と表明した。チャンドリカ大統領は暗殺の脅威が身に迫っていることを言外に示したのだが、その脅迫はJVPによるものではないかという見方がある。援助をLTTEに配分する共同機構を立ち上げるという大統領の方針にJVPは強く反対しているからだ。「騒々しいマイノリティ」とチャンドリカ大統領は見えない暗殺者を呼んだ。これがスピーチを際立ったものにするための演出か、切迫した事実か、知ることはできない。

 アムヌガマ外相は2日間にわたって開かれた会議を振りかえり、「経済発展に外国援助を望むのであれば、和平を推し進めなければならないとドナー各国から宣言された」とメディアに言明した。また、援助総額が30億ドルにのぼり、3年から5年にかけて支払われ、内訳として3億ドルの債務免除、2億5千万ドルの外国為替準備金が含まれるとした。世界銀行のプラーフル・パテル副頭取は「条件を押し付けるつもりはないが、援助は公平に、且つ透明性を持って分配されなければならない」とコメントした。

 2003年6月に約束された和平を前提とした45億ドルの援助は同年3月からの和平交渉の手詰まりから、日本政府の必死の和平介入にもかかわらず、その大部分が実行されていない。そうした負の実績からドナー各国・各機関が提示した援助額の配分がスリランカ政府によって執行できるかは定かでない。

 BBCはドナー会議で22億ドルの援助が約束されたとし、財務副大臣ランジット・シーマプラーヤはすでに援助額の90パーセントを政府は受けているとジャーナリストに語ったとしている。AP伝も世銀、国連、EU、US、インド、英国、オーストラリアなど各国.各機関の津波援助総額が22億ドルにのぼり、19億5千万はすでに政府が受領していることをサラット・アムヌガマ外相が公表したと報じている。スリランカは20億ドルが災害復興に必要と見こんでいたのだから、赤坂プリンス・ホテルでの東京会議の時と同様、援助国は被援助国の要望を満額回答するどころか、それを越える額を提示したことになる。
 ヒンドゥスタン.コムは、ドナー各国が20億ドルの援助を約束したものの、復興事業が実行される時点まで援助は実施されないと報じている。また、世銀副頭取は援助資金の内50パーセントは民間からの調達によるとしている。
 
 ランカ・ビジネス・オンラインは日本がドナー各国に倣って2005年の3億5千万ドルにおよぶ貸付の返済を凍結、帳消しにすると会議2日目に発表したことを報じた。このモラトリアムはインドが真っ先に申し出たものだが、インド、英国、カナダをのぞいては2005年限りのもの。スリランカ財務省はパリ・クラブなど非公式な団体に対しても1年間のモラトリアムを要請する意向を示している。
 スリランカにとってこうした援助は期待以上だったが、同じくランカ・ビジネス・オンラインは世界銀行がスリランカ政府に対し、ドナー各国からの支援・援助で経済政策を進めれば国内は止めど無いインフレーションを引き起こし、国際収支には計り知れない危機をもたらすとかねてから警告していたことを報じてもいる。事実、2004年4月に連合与党JVPの経済政策が理由で自由経済改革に反対し、世界銀行の貧困減少政策を放棄した結果、それまでインフレーションを最少にとどめていたスリランカは、2年間で物価を1、3パーセントから6.6パーセントに跳ね上げてしまった。民族紛争の課題以前に、膨張する経済がスリランカをさらに破綻国家へ導く可能性が指摘されている。

 援助国・機関から援助額を実際に引き出すには政府がLTTEと援助額分配のための交渉をしなければならない。政府はこの件ですでにLTTEと交渉を持ったという噂が流れているが、与党連立を組むJHUのウダワッタ・ナンダ議員が共同機構に反対して、カンディのジョージ・E・デ・シルバ公園近くで会議初日に抗議のデモを行ったとシンハラ・ニュースが伝えている。
 JVPはこの会議に反対しなかったが、共同機構設置には反対している。スリランカ国会225議席の39議席を持つJVPが政府から離脱するような事態が起これば連立与党内閣は崩壊する。

 タミル・ニュースもカンディでの支援会議を報じているが、AP、AFP、ロイターなどからの引用が大部分でチャンドリカ大統領の冒頭演説全文も掲載していない。また、JVPへの挑発とも伺える文体の記事が多く、以前のターラカ時代に見えたクールな記事文体とは様子を異にしている。 18日の「クマーラトゥンガはJVPを手玉に取ったか?」は枕詞の長い文体で極左のJVPを揶揄する論調に終始した。ドナー会議に参加した政府与党のJVPを扇動し煽る記事でしかなかった。

 第4インターがチャンドリカ政権とJVPを批判している。論調はドナー各国からの援助を引き出すためにチャンドリカ政権はLTTEと手を結ぼうとしている、ショービニズムのシンハラ極右政党JVPはLTTEへの援助分配を妨害しているというものだ。しかし、ここにも気になる記述がある。政府の受け取った援助金が人々に配分されていない、と言うくだりである。

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主要な世界の重要国を含む国と機関が援助として18億ドルを“約束“したが、しかし、そこから委ねられたのは7500万ドルに過ぎなく、その金さえ配分されていない。


 この記事に表れる数字が正確であるかどうかは別として、“配分されていない“というくすぶった思いは普通の人々の胸の内にもある。政府は援助国から受け取った資金を私たちに配分していないという「恨み
イーリシヤーワ」がスリランカの人々の心を蝕んでいる。「約束」を意味するポロンドゥが括弧付きで記されているのも、彼等の期待ポロンドゥが不安に揺れていることを示しているようだ。そしてこのシンハラ記事が意図した単語の使用かどうかは分からないが、ポロンドゥワは元来タミル語である。


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