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和平復興関連 No78
2005-04-22
ミレニアム・チャレンジ・アカウント・カントリー
米国国務省次官補クリスチーナ・ロッカはノルウエーの特使エリック・ソルヘイムとこの水曜日、会談を交わした模様だが、その詳細は報告されていない。津波災害の後にバティッカロアでタミルグループ間の闘争があり、そうした動きへの対策が検討されたようだ。また、津波災害援助金の使途に関する協議が来月、国連主導で開かれるが、復興資金を受け入れるスリランカが現在のように分裂状態にあってはスリランカの全島的な復興に見込みが立たないため、政府とLTTEの双方が歩み寄るための施策が話し合われたと思われる。
ロッカは2日間、ソルヘイムは5日間のスリランカ訪問だが、民族主義的なシンハラ政府と分離独立を目指すタミルLTTEの対立とタミル内部の主導権争いがねじれ現象を起こしている状況のスリランカは、果たして津波復興資金を受け入れることができるかどうか、困難が際立っているように見える。停戦後の2003年6月に開かれた東京会議で決定した内戦の復興資金さえも今だに利用されない状況にあり、日本主導によるスリランカ復興は頓挫した感がある。
タミルネットは21日、ロッカ次官補がコロンボで行った講演の内容全文を米国務省のホームページから引用し、報じている。
その内容だが、これまでのアメリカの対スリランカ外交とは赴きが異なるようだ。
LTTEを国外のテロリスト組織だとみなしているアメリカの政策に変更はなく、政敵の殺害、子供の徴用を含めて、名実ともにLTTEがテロルを放棄しない限りテロリスト集団としてリストアップを続けることも従来の方針に変更はない。だが、アメリカはスリランカ政府とLTTEの和解を望んでいること、復興資金の使途に関して政府とLTTEが共同機構を設けて共に参画し協議すべきであることを双方に要請したのだ。
同時に、和平交渉を進めるスリランカ政府への協力を惜しまないこと、ノルウエーの和平への努力を支持するともアピールしている。ロッカ次官補は、和平の達成はスリランカの人々自身がその鍵を握っているという原則を示しながらも、アメリカは頓挫している和平の席に戻るようタミル代表とスリランカ政府に求めるとしている。
アメリカのスリランカへの急接近はやや唐突な感がある。
木曜日にアメリカ海軍軍艦コラージアスがスリランカ海軍に寄贈されサムドラと命名されたり、アメリカ政府と同国企業が合わせて20億ドル以上の災害援助を表明したり、また、すでにそのうち1億ドル以上がすでに執行されているという。アメリカのスリランカへの急接近は何を背景としているのだろうか。
ロッカ次官補は講演の中で三つの原則を述べている。
@アメリカはスリランカに恒久平和をもたらすことによってスリランカに繁栄をもたらしテロの恐怖を減少させる。Aアメリカはスリランカの経済成長とスリランカへの投資促進が平和を支えると考える。Bアメリカはスリランカの民主主義を強固にし、スリランカ人の人権を守る。
アメリカはその原則の下にスリランカをバックアップするというのだ。スリランカはミレニアム・チャレンジ・アカウント・カントリーの好機を逸さず、貧困を撲滅し成長を増進するため経済改革を進めよう。ロッカ次官補はそう語った。
ロッカ次官補は講演の最後でスリランカがミレニアム・チャレンジ・アカウント・カントリーの条件を備えていると褒め称えている。スリランカは良好な政権を有しており、人権を擁護しており、経済成長を達し、自由経済を推し進め、投資環境に恵まれている国だと最大限の評価をしたのである。だから、アメリカはスリランカをミレニアム・チャレンジ・アカウント・カントリーとして認めたと言うのである。論理は一貫している。だが話の組み立て方は逆のような気がする。アメリカにはスリランカをミレニアム・チャレンジ・アカウント・カントリーとして認定し、アメリカ式民主主義の援助を輸出しなければならない理由があるからだ。
アメリカはアメリカがミレニアム・チャレンジ・アカウント・カントリーとして認めた国に対して、今後、より厚いサポートを提供するという。
次期国連事務総長はスリランカから
カディルガマール外務大臣は次期国連事務総長にスリランカの国連関係者が選任されるだろうと言及した。ジャカルタのアンタラ・ニュースが21日、この記事を伝えている。
次期事務総長はアジアから選出され、その候補はスリランカ人になるという。これに関連して22日、BBCシンハラ語放送サンデーシャはマヒンダ・ラージャパクシャ首相から受けた情報であるとしてジャヤンタ・ダナパーラの名が候補に上がっていると報じた。
チャンドリカ大統領は昨年9月21日、第59回国連総会で日本の安保理常任理事国入りを支持する演説を行っている。かつて1951年の日本再独立のとき、故ジャヤワルデネ大統領は日本支持の演説を行ない感激の拍手と絶大な信頼を得た。 スリランカは国連の場で2度、日本に対する支持演説を行った。戦後世界において日本が新たな船出をする時、スリランカに負うところは大きいものがある。
預金取扱高、昨年を上回る
スリランカ放送のウェブサイトは15日、シンハラ・タミル新年の銀行取り扱い額が昨年を上回る好調を示したと各銀行が発表したことを報じている。ピューピルズ・バンクは各支店に計8万5千人の預金客が来店し1万5千ルピーの貯蓄債権を求めて金を預け入れたと発表し、セイロン銀行と国民貯蓄銀行は多数の新規預金者が新たに口座を開設したと発表した。
1万5千ルピーという金額が何を意味するか、スリランカを注視している人ならばすぐにその意味がわかるだろう。
『かしゃぐら通信』