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『かしゃぐら通信』訪問者カウンター  スリランカ探検隊 No74 2005‐3‐28 スリランカ探検隊バックナンバー  

●レンガ色の文字はシンハラ文字です。シンハラ・フォントをインストゥールしてお読みください。


テディイ・ベアはもう要らない
4月27日から援助物資に課税か


 英国を訪問しオックスフォード・ユニオンから名誉表彰を受けたカジルガマル外相は17日、BBCのインタビューに対して「テディ・ベアは要らない」と答えた。
 BBCのインタビューは30分以上にわたって行われ、カジルガマル外相の小気味の良い率直な意見が早口に展開された。BBCはこのインタビューをSinhala.comでそのまま報道している。
 また、BBCのウェブ版の記事にはそのことを切り出したときの彼の口篭もりがそのまま書き写されている。
 いや、何と言うか、そのォ、申し訳ないのだが、このごろ送られてくるテディ・ベアなどの子供たちへのおもちゃは、実はあまり役には立っていない。政府は26日を目安に援助物資への課税を検討している。そうしなければならないほどに援助物資の収拾がつかない…
 インタビューの前半では援助として必要がないのはテディ・ベアばかりではないと述べている。米もいらないという。スリランカは米の収穫期を迎えてもおり、有り余るほどの米があるからだ。
 では、何が、いま、スリランカに必要か。
 必要なものはこのコーナーで前回紹介したチャンドリカ大統領のコメントと同様の内容だ。西側の諸国は援助金の寄付を約束したのにまだ1銭も送ってこない。力をこめて、何度も繰り返してカジルガマル外相はそう告白している。各国が約束した援助金の送られてくるのをスリランカ政府はいらだつようにして待っている。復興は第2段階に入っている。テディ・ベア-ではなく、家をなくした人々への住宅供給と修復援助のプランが施行される時に至った。それには資金が必要で、スリランカ政府には資金をまかなう余裕がない。

 外相はタミル側との折衝に関して、テロを起こすグループとの直接の折衝が大切であると、インタビューの後半で述べている。プラバカランではなく、テロを主導する個々のグループとの交渉を持ちたいという外相の姿勢はシンハラの市民からも受け入れられる要素がある。スリランカでは、その長い歴史の中でシンハラ人とタミル人は共に隣人として共存してきたからだ。1983年に始まる今回の紛争は、多いに政治的で、また、その点で暴力的なのだ。だが、シンハラ人とタミル人の構造は多層に多様に織り成す共存の歴史が、現として存在する。そこに視点を向ける人々にとっては共存が幻想ではなく、事実として目前にある。
 彼がタミル人として現政府の対外政策の筆頭にあることは注目に値する。ただし、この点ではBBCのインタビュアーとは論点がかみ合わなかったようだ。

 BBCというメディアは電波放送という一方通行の旧媒体を利用しながらもグローバルな話題を公平に提供している。電波の届かない地域へはネットを介して情報を分け与えている。
 メディアとネットの双方を使い情報を即座に公平に提供するという姿勢はBBCの世界戦略の一環だ。ネットの場合は双方向の情報交換が情報を得たそのとき、即座にできる。スリランカの情報を得て、また、スリランカの情報を発することができるのは、いま、ネット以外の方法がない。個人の情報も国が関与する公共の情報もネットがつないでいる。
 最近はこの情報の世界戦略に中国が顔を出すようになった。私企業ではヤフーは通信社の情報を買って、やはり情報の世界戦略に乗り出している。
 日本のメディアはこうした傾向に対して、まだ、沈黙しているかのようだ。
 これはあくまでもスリランカから日本を見つめたときの事だが、日本のメディアは情報の世界戦略という名の黒船がすぐそこに来てこの島を狙っていることに気づいていないようだ。日本の中にいても世界と繋がったネット・メディアによって世界中のテレビ・メディアが1個人でも手中にできる。電波のテレビ・メディアと電話線のネット・メディアは相反するのである、などといってひじを張り合い空騒ぎをしている日本のコミュニケーションの現状は、やはりそこは鎖国の島国、笑止千万、とみなされている。


 チャイナビューは18日、日本の調査団がチャンドリカ大統領と会い、津波早期警報システムの設置に関して意見を交わし、装置の設置に関して警報システムのノウハウを蓄積している日本の存在をアピールしたことを報じている。
 ヤフーは21日、アジア・ニュースの中で、津波災害を振りきってスリランカが愛知万博へのパビリオン設置に全力を尽くしていると報じている。パビリオンにはスリランカの自然、仏教文化などを紹介するコーナーなどが作られているが、津波の現状に関する展示も行われる。