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和平復興関連 No59


2004-11-05
楽天か? スリランカ和平交渉

 1週間の日程で和平交渉再開の準備を進めた明石康日本政府特別代表の談話をAFPは11月2日、《楽天的》と報じている。
 「政府、LTTEとも交渉を進めたくないわけではない。双方とも先に交渉の席に着く第一歩を踏み出さずにいる。政府側に歩み寄りの姿勢が見られる」という明石氏の談話を報じている。また、ノルウエー主導による和平交渉、日本による復興支援融資が行き詰まった真の理由がLTTEの各組織の足並みの乱れにあることにも触れている。
 
 ロイターのサイモン・ガードナー記者が同日に報じる今回の明石氏による交渉再開調整の見通しには楽観論が薄い。
 「ナンバー・ワンの融資国としての日本から送られた平和の使者明石康氏は、その8度目の訪問を終えて報道記者に語ったコメントの中でスリランカ政府の和平交渉への柔軟性を評価したが、それがLTTEを硬化させた」としている。スリランカ北部のキリノッチに拠点を置くLTTEの政治指導者タミルセルワンと会見した明石氏は交渉再開への機運が見出せたと記者会見で語ったが、明石氏が会見後、コロンボへ向かったが、タミルセルワン氏は鼻であしらうように「彼はスリランカ政府から何ら和平構築への現実的なメッセージを持ってこなかった」と言ったと報じている。
 米国はLTTEをアルカイダ同様のテロ組織としてリストアップしている。来月にはリチャード・アーミティジ国務副長官がスリランカを訪問する。時を同じくしてノルウエーの和平特使エリック・ソルヘイム氏もスリランカを訪問する。

 こうした通信社報道に対してスリランカ国内の見方は、たとえばインサイドニュース(peaceinsrilanka.org)がディリー・ミラーのウェブ新聞を紹介する形で11月2日報じたところに寄れば、明石氏はスリランカ北部東部の復興に関し、今以上の和平交渉の進展がなくとも人道支援として復興資金の融資をするとLTTEに約束したことを報じている。スリランカ国内においては日本の役割が和平構築にあるのではなく、復興資金提供の旧来型のドナー国として重視されているようだ。

 同日のチャイナ・ビューは「日本特使、スリランカの和平交渉に楽天」という見出しで、日本政府とノルウエー政府はスリランカ和平に実り多い成果をもたらすという明石特使のコメントを紹介するだけの短い記事を掲載した。


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