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和平復興関連 No107


2005‐12‐16
再び日本が誘う和平への道

 12月13日、バティッカロアのスリランカ陸軍基地めがけて81ミリ迫撃砲の弾が打ちこまれた。幸い負傷者はなかった。LTTEによる攻撃であるとされている。
 先週日曜日、スリランカを訪問した日本政府代表明石和平使節は和平交渉の調停役になることを申し入れ、頓挫している和平交渉の開催を日本で行う意思を示した。これに対してスリランカ政府は国外での和平会議開催を望んでいると解答したという。LTTEは海外での調停はすでにノルウエーに委ねており、日本を舞台とした和平会議開催という日本の新たな誘いには返事をしていないと消息筋は語っている。
 明石特使は今回ジャフナへは足を運ばず、バッティカロアでモスリムなどの代表と会合を持った。メディアを通して和平交渉の日本での再開という明石特使の提案を知ったというLTTEマスコミ担当者は、提案はノルウエーを通して行って欲しいというコメントを出している。http://www.dailymirror.lk/2005/12/14/front/3.asp
 
 この件に関してタミル・ウィークは11日、休戦協定の履行に関する会議を日本で開くという提案は和平進展に希望を抱かせるものだがという書き出しで論評を掲載した。その中で、近いうちにスリランカ政府とLTTEの戦闘が再開される危険が生じると警戒している。休戦協定の条項遵守に触れカルナ・グループとスリランカ政府が連携を取っていると非難するなど、その言葉は慎重であり説得に長けている。しかし、結果は「戦闘再開」 しか道はないのだという切羽詰った状況を提示するのみだった。紛争解決のために、行き詰まった和平を動かすために銃を持つ。サラワナムットゥ氏の署名記事だが、明石特使はカルナ・グループが潜むバティッカロアでこの記事に目を通しただろうか。和平を求める人々は和平の分け前ではなく和平そのものを望んでいる。
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 休戦協定遵守に関する会議を3年前の東京会議のように日本で開くという日本政府の再度の取り組みにスリランカ政府とノルウエーはコメントを出していない。しかし、AFPは15日、ノルウエー外相ジョーナス・ガイア・ストールとスリランカ外相マンガラ・サマーラウィーラが香港で会合を持ち仲介役としてのノルウエーが休戦を決めたオスロー協定を履行するよう努力を重ねるという点で意見の一致を見たことを報じている。オスロー協定への道を切り開いたノルウエーのエリック・ソルヘイムも近く、スリランカ和平交渉に再びノルウエー政府特使としてスリランカにやってくる。

 日本がスリランカ和平に果たすべき道はどこにあるのか。
 和平にかかわるノルウエーの人材はシンハラ人に揶揄される一面を持つ。タミルLTTEの代理人、ノルウエー国益の権化と見られているからだ。スリランカの資源、それは漁業と鉱物資源獲得にかかわるのだが、ノルウエーにスリランカの資源を盗まれるという危惧を抱くシンハラ人は多い。それでもスリランカ政府とLTTEはノルウエーを和平維持の頼みの綱とした。
 日本は新ODA大綱の下に国益を対外援助の根幹に置いて明文化した。ODAの資金貸付が貸付国の国益を目的として行われることはすでにスリランカの新聞で公に言われている。
 和平進展に日本が果たすべき役割を果たさなければ、日本は和平後に金で復興を買うという旧来の評価が再び流布するだろう。これは新ODA大綱の国益重視に背く。


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