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トップページ> > 『夜のピクニック』
夜のピクニック
恩田陸
とにかくノスタルジックで、リリカルで、いつまでも読み続けていたい小説だ。懐かしくて、切なくて、楽しくて、もう最初から最後までわくわくしてしまった。生きていることがうれしくて、誰かに感謝したくなるような幸福感がひしひしとわきあがってくる。『バトル・ロワイヤル』は若者の間で読まれているが、本書は世代を超えて読み続けられるだろう。子供からは心の汚れた親へ、親からは純真さを失いそうな我が子へ贈られるに違いない。新作にしてすでに名作。必読!

--- 帯に書かれた、池上冬樹さんによる大絶賛書評より
舞台は高校。
その高校では、毎年恒例の行事として
朝8時から翌朝の8時まで一日中かけて
80kmの道のりを歩く「歩行祭」という行事がある。
その一日のあいだに起こる出来事や
主人公たちの心情の変化を綴った青春小説。

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この本、「王様のブランチ」で筑摩書房の松田さんが
大絶賛していたのをたまたま聞いて、興味を持ちました。

松田さん、まったく同感です。
これは傑作ですな!

本の中身は「歩行祭」の一日を追っただけに過ぎませんが、
その中身の濃さといったら、もう絶妙です。
濃すぎず、薄すぎず。
余分な言葉がなく、かといって言葉が足りないこともない。
作者がカンペキに登場人物になりきっている姿が
目に浮かんできます。

想像してみてください。
題材が「高校生が丸一日歩く」です。
パッと見、すげぇつまんなさそうな感じ。
実際、一日中歩いてたら
他愛もないおしゃべりをしたり、考え事をしたり
周りの風景をなんとなくながめたりするしかなく、
っていうか、最後のほうはもう
体力の限界で思考回路停止状態になりそうですよね。
(実際、話の中でもそんな感じでしたけど
 そこにもドラマがあるんです)
それをこんなに臨場感たっぷりに、
間延びもさせず、一気に読ませてくれるなんて
この作者おそるべし!ですよ、マジで。

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オレは今、31歳ですが
今から高校生の頃の自分を振り返ってみると
いかに視野が狭かったか、物事を知らなかったかが
浮き彫りになってきて、我ながら恥ずかしいです。
今でも知らないことや至らないことがたくさんある
というのに、です。

それと同時に、この本を読んで
高校生という時期の純粋さ、
ひとつのことを納得いくまで思い込める時期であること、
他人の心を思いやるすべを習得する最後の時期であること、
何かをやり遂げたという達成感を持つことの大きな意味、
友情、家族、学ぶこと、心の痛み、喜び、悩み、葛藤、
自分自身を知ること。
人生の中で大事な要素となることが
この本ではたくさん語られているんだなぁと思いました。

ほんと、戻れるものならもう一度
キラキラ輝く高校生活を送ってみたいわぁ。
posted on 2005.01.11
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