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No.135 赤石岳・聖岳(3/4)
山行の3日目で、今回の山行の目玉です。百間洞山の家から、兎岳、聖岳を越えて聖平小屋まで、約9時間30分の山行でした。聖岳の山頂が雲の中だったのが、少々残念でした。

日時 2010年(平成22年)8月17日(火)〜8月21日(土)     赤石岳・聖岳(1/4)
天候 8月20日(金) 晴のち曇     赤石岳・聖岳(2/4)
同行 なし     赤石岳・聖岳(4/4)

8月20日 所要時間
百間洞山の家(5.05) ←1時間15分→ (6.20)稜線(6.20) ←25分→ (6.45)中盛丸山(6.45) ←1時間5分→ (7.50)子兎岳(7.50) ←1時間5分→ (8.55)兎岳(9.00) ←10分→ (9.10)兎岳避難小屋(9.30) ←2時間30分→ (12.00)聖岳(12.20) ←1時間→ (13.20)小聖岳(13.20) ←55分→ (14.15)便ヶ島分岐(14.15) ←25分→ (14.40)聖平小屋

8月20日 山行概要

赤石岳・聖岳(2/4)より
中盛丸山から眺めた赤石岳
中盛丸山〜大沢岳間の稜線から見たから逆光の赤石岳
朝3時過ぎに目が覚めました。既に出発の準備をしているパーティーがいます。昨日夕方から降り出していた雨は上がっており、頭の上の窓から外を見ると星が見えます。4時に寝床から起きだしましたが、私と同じ区画で寝ていた4人の登山者のうち2人はすでに出発したようで荷物がありません。
朝食は4時半です。昨晩同様相変わらず食欲はありません。それでも茶碗一杯分のご飯を味噌汁で無理やり飲み込みましたが、これが精一杯でした。朝食を終え、昨日頼んでおいた弁当と魔法瓶に詰めてもらったお茶を受け取り、小屋を出た時は5時を少し回っていました。殆どの人達は既に小屋を出発しており、聖岳へ向かう登山者は、私が小屋を出る時、あと1パーティーが残っているだけでした。
小屋の脇を沢沿いに進むとすぐ登りが始まります。もっとキツイ登りを予想していたのですが、思ったほどではありません。上り始めるとすぐ小屋の水場を過ぎ、そのあと潅木の中の同じような道がずっと続きます。やがて小さな尾根を乗り越え、見晴らしが利くようになり、初めて当面の目標の大沢岳〜中盛丸山間の稜線が見えるようになります。ここから登りは緩くなりますが、ここから稜線まで30分近くかかりました。稜線に出るとこれから越えなければならない中盛丸山が目の前にでんと控えており、先行するパーティーが良く見えます。今日は先が長いので休憩を取らずに中盛丸山を上り始めました。標高差100m弱の登りですから、難なくと言う感じで頂上に着きました。頂上からは逆光の赤石岳が目の前に聳えています。残念ながらこれから向かう兎岳と聖岳は雲の中で見えません。ここも休憩に中途半端な時間に着いたので写真を写しただけで、先へ進みました。中盛丸山からは急な下りがしばらく続きます。中盛丸山を下りきって、小兎岳を登り始めたところで前方の雲が切れ、兎岳が見えました。名前とは裏腹の登りの手ごわそうな山です。小兎岳の登りも中盛丸山の登り同様、難なく登りきりました。頂上に着いた時聖岳と兎岳にかかっていた雲が切れて、大きな聖岳とこれに対峙する少し小ぶりな兎岳が目の前に姿を現していました。聖岳と兎岳の鞍部から聖岳の頂上までのでこぼこした長い稜線が目を惹きました。聖岳の登りは大変そうです。
ルートマップ聖岳にも兎岳にも雲が纏わり付いているので先を急ぎました。小聖岳を下り、兎岳の登りにかかったところで雲の中に入りました。周りは白一色で何も見えません。道を外さないように地面だけを見つめて歩きました。最初きつかった九十九折の登りが緩くなってきたと思ったら、頂上に着きました。午前9時には着きたいと思っていたのですが、ほぼ予定通りの時間に着きました。時間は予定通りでしたが、頂上は雲の中で周りは真っ白です。当初はここで昼食を取る積りだったのですが、雲の中では面白くないので、少し先で昼食を取ることにして頂上を後にしました。視界が無いので頂上の下り口を慎重に確認しました。
頂上を少し下ったところで今日最初の登山者と行き交いました。2人組で一人はナップザック、一人は空身で、どんどん上へ登って行きます。彼らとすれ違って少し下ったところで、兎岳避難小屋と表示した導標があり、休むのに格好の広場あったので、ここで昼食にしました。相変わらず食欲はなく、小屋で作ってくれた小さなおにぎり1個をお茶で無理やり飲み込みました。私が昼食を食べていると、下から登ってきた登山者が私に引きづられるように、この広場で休みを取りました。形どおりの挨拶をした後、お互いにこれから先の情報を交換しました。荷物を整理し、きりのよいところで腰を上げました。左右に高山植物の花が目に付くようになり、落葉樹林の中を歩くようになります。風がなくなり蒸し暑くなりました。やがて道は登りに転じ、目の前に赤い土砂(ラジオラリヤ板岩)の中の急坂が始まりした。ここで何人かの登山者とすれ違いましたが、異口同音にこの山は登りも下りも大変と言うようなことを挨拶代わりに言って下っていきました。赤い土砂の中の急坂は長くは続きませんが、潅木の中の登りは延々と続きます。標高2800m付近が森林限界で、ここから開けた斜面の中を登ります。晴れていれば素晴らしい展望が楽しめると思われますが、この日は生憎雲が周りに湧いており、周りの景色は見えません。何回かもう頂上かと思われるピークを越え、丁度12時に聖岳の頂上に立ちました。
兎岳同様、ここも私が頂上に着いた時は周りに雲が湧いていて視界はありません。しばらく雲が切れないかと待ってみたのですが、そんな気配は感じられません。見晴らしは得られないし、少々くたびれてもいたので、奥聖岳に行くのは止めて、下ることに決めました。ここも下山路を間違えないようにひつこく確認して下山を始めました。頂上からしばらくの間、広大なガレ場の斜面の中の道を下り、これが終わるとやせ尾根の稜線上を歩くようになります。やせ尾根をひとしきり歩いたところで、前方が開けた見晴らしの良い場所に着きました。小聖岳と表示した標識が立っていいます。小聖岳を過ぎると樹林の中を歩くようになり、やがて便ヶ島の分岐である薊畑を過ぎ、更に歩くと真っ直ぐな木道が現れました。この木道を進み、終わったところが聖平小屋でした。到着は午後2時40分で、ギリギリ午後3時前に小屋に着くことができました。明日は下山ですからザックを整理する必要は殆どありません。受付を済ませた後、冷えたソフトドリンクを注文し、これを飲みながらしばらく小屋の前のベンチでぼんやり時を過ごしました。
小屋に入って自分の寝場所にザックを置いていると声を掛けられました。顔を見ると昨晩百間洞山の家で私の隣に寝ていた人です。挨拶代わりに何時頃ここについたのか聞いてみたら、昼過ぎだとのことです。この登山者は私より前に百間洞山の家を出たのですが、それにしても昼過ぎとは私よりはるかに健脚です。ところが私の隣になった中年女性2人組の話を聞いて、更にその健脚ぶりに驚きました。彼女らはナント今日午前5時に光小屋を出てきたとのことです。今の私には及びもつかない話です。
明日は下るだけなので、夕食時に缶ビールを頼みました。食欲不振は相変わらずで、缶ビールの酒の肴に夕食のおかずを半分ほど口に入れると後は手が出なくなりました。ビールの酔いがあり、寝つきは良いのではないかと食後すぐ寝袋にもぐりこみましたが、なかなか寝つけません。そのうち、女性客と反対側に寝ている男性の登山者が、私の恐れていたいびきをかき始めました。持参した睡眠導入剤を飲みましたが、なかなか眠れません。今晩は眠れないのでないかと思っているうちに意識がなくなりました。
以下赤石岳・聖岳(4/4)

百間洞山の家前の導標 導標
百間洞山の家の脇に導標が立っている
ここは百間洞山の家 聖平小屋7.7km 470分、赤石避難小屋3.5km 180分と表示されている
稜線への登山道 稜線までの登り
大沢岳〜中盛丸山間の稜線まで、潅木の中の道が続く
さほど登りはきつくない
南アルプス北部の山々 稜線に着く前に、小さな尾根を乗り越える
この写真は、この小さな尾根から見た赤石岳(写真右端のピーク)
ここから下の写真の稜線まで30分近くかかった
稜線 稜線
ここから視界が開け、晴れていれば素晴らしい眺望の尾根歩きが楽しめるが、この日は周りに雲が湧いていて、遠くの景色は殆ど眺めることができなかった
中盛丸山 中盛丸山
殆ど名前は知られていないが、整った山容のピークである
八ヶ岳や奥秩父にあれば、結構人気のある山になっていることは間違いない
中盛丸山頂上 中盛丸山の頂上
中盛丸山は標高2807mで、高さは兎岳(標高2818m)と比べても遜色は無い
赤石岳が目の前にでんと聳えている
中盛丸山から赤石岳 中盛丸山頂上から見た赤石岳
この日赤石岳を見たのはこれが最後
この後は雲の中で見えなくなった
小兎岳への登り 中盛丸山の下り
頂上からしばらく、岩がごろごろした急な下りが続く
このときは、これから向かう、兎岳、聖岳の方はまだ雲の中だった
中盛丸山 小兎岳の登りから見た中盛丸山
昨日百間洞山の家で聖平から来た登山者と隣り合わせたが この登山者は、このピークを見てまだこんな登りがあるのか、と気持ちが萎えてしまったといっていた
こちらから登ると標高差が150m以上あり、めげる気持ちが良く分かる
兎岳 兎岳
小兎岳へ向かう登りで、兎岳にかかっていた雲が消えて、兎岳が良く見えた
ここからはまだだいぶ先に見えた
小兎岳頂上と兎岳 小兎岳
聖岳と兎岳の好展望地
正面に兎岳、その左に登りの稜線が長く続いている聖岳が見える
聖岳 小兎岳頂上から見た聖岳
兎岳から続く、長い稜線が目を惹いた
下の写真の兎岳と共に、この日聖岳が見えたのは、この時だけ
兎岳 兎岳
小兎岳の頂上を過ぎてで少し下ると、兎岳の登りが始まる
この辺りは、晴れていれば素晴らしい眺望が得られると思えるが、この日は既に周りに雲が湧いていて、この後すぐ、兎岳も聖岳も見えなくなった
兎岳頂上 兎岳頂上
私が着いた時、残念、周りは白いガスで何も見えなかった
兎岳避難小屋の導標 兎岳避難小屋の導標
手前側に小さな広場があり、更にその奥に避難小屋が建っている
兎岳避難小屋 兎岳避難小屋
上の導標のある広場から少し離れたところにある
小屋は荒れているとガイドブックにあるが、外観も薄気味悪さを感じさせるもので、行ってみる気にならなかった
聖岳の登り 聖岳の登り
兎岳を下ってきて、聖岳の登りが始まるとすぐ赤い土砂(ラジオラリヤ板岩)の中の急登が始まる
ここで、パックツアーと思われる、大人数の団体とすれ違った
聖岳頂上付近 聖岳
ここまで登ってきた時、写真左のピークが頂上と思ったが、頂上は更にその先にあった
聖岳頂上 聖岳頂上
私が着いた時、頂上には数組のパーティーが休んでいた
頂上の周りは雲で白一色
本文にも記載したが、こんな天候なので奥聖岳まで往復する気は全く起きなかった
聖岳頂上からの下山口 導標聖平下山口
頂上から少し下って来て右側へ進む
真っ直ぐ進むと奥聖岳へ向かう
聖岳の下り 山頂直下の下り
広大なガレ場の斜面の中をしばらく下る
道はしっかりしているので、霧に巻かれても見誤ることはまず無い
聖岳の下り(やせ尾根) やせ尾根
ガレ場の斜面を下ってくると、ここに着く
ここからやせ尾根の上の下りが続く
小兎岳 小聖岳
開けた明るい場所で、小聖岳と表示した標識が立っている
晴れていればバックに聖岳、前方に上河内岳が眺められると思われるが、この日バックは雲の中で聖岳は見えなかった
上河内岳 上河内岳
小聖岳の目の前には緑色の大きな上河内岳が聳えている
聖平小屋へ続く導標 小聖岳から見える聖平の木道
真っ直ぐな線が1本延びており、これが何だか小聖岳から見たときは分からなかった
フキの群生地 フキの群生地
フキが群生しおり、仙塩尾根のフキ平と感じが似ている
この少し先には、トリカブトの大群落があり、一面紫色に染まっていた
薊畑 薊畑
便ヶ島への分岐
この日は数組のパーティーが休んだり、雑談をしていた
聖平小屋への道 絵に描いたような風景
薊畑を過ぎると上河内岳をバックに林の中に消えて行く登山道がアクセントになった絵に描いたような風景が目の前に広がっていた
残念ながらこの写真は全くこれを感じさせない平凡な風景に写っている
聖平小屋分岐 T字路
上河内岳方向と聖岳方向に直交して聖平小屋方向の道がある
導標には聖平小屋まで100m、10分の表示がある
聖平小屋への木道 聖平の木道
小聖岳からこの木道が見えたが、ここに着くまで、何だか分からなかった
木道の終点に聖平小屋がある
聖平小屋 聖平小屋
この日の小屋の宿泊者は50名ほどで、私の受付け番号は34番
テントは10張程が設置されていた
テント泊客を含めた全員を対象にしてスイカ割大会があり、大きなスイカを2つ割って全員に配られたが甘く旨いスイカだった
小屋のチーフに途中で写してきた高山植物の花の名前を聞いたら、迷うことなく答えてくれて、いずれも正解だった
小屋のスタッフは総じて感じが良かった

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