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No.63 仙丈・北岳(4/4)
今回の山行の最終日です。北岳へ登ったあとは殆どが下りで、時間は十分と思っていたのですが、気が緩みすぎて予定のバスの時間にはギリギリでした。まさかと思いましたが、ひょんなことからタカネマンテマに出会うことができました。

日時 2005年(平成17年)8月3日(水)〜6日(土)
天候 8月6日(土) 晴  8月3日の山行概要:仙丈・北岳(1/4)
同行 なし  8月4日の山行概要:仙丈・北岳(2/4)
 8月5日の山行概要:仙丈・北岳(3/4)

8月6日 所要時間
北岳山荘(5.30) ←1時間30分→ (7.00)北岳(7.20) ←30分→ (7.50)両俣分岐(8.00) ←15分→ (8.15)肩の小屋(8.15) ←55分→ (9.10)二俣分岐(9.15) ←1時間5分→ (10.20)二俣(10.25) ←1時間20分→ (11.45)吊橋(11.45) ←10分→ (11.55)広河原バス停

8月6日 山行概要
仙丈・北岳(3/4)より

北岳頂上から見た小太郎尾根ピーク
北岳山頂小太郎尾根側ピーク
北岳山荘は泊り客が多く、朝夕の食事時間が何回かに分けられていました。私は2番目のグループで、5時10分から朝食を取ることができました。遅いグループの食事時間は多分6時を過ぎていたでしょう。

食事が終わると直ぐザックを持ち出し、逃げるようにして北岳山荘の外に出ました。外に出て、心底ホッとしました。風が少し強く、周りには薄い霧がたちこめていて視界は余りありません。今日は広河原12時発のバスに乗るつもりですので、時間は十分あります。これに加え、北岳の頂上まで登れば後は下りだけですので、気分的にもゆとりがあり、写真を写しながら、のんびり歩くことにしていました。北岳山荘から北岳山頂までは、山側コースと谷側コースがありますが、空いていそうな山側コースを取りました。

高山植物の写真を何枚か写し、最初の八本歯のコルへの分岐あたりで、時折霧が晴れるようになり、仙丈ケ岳や北岳の山頂が望めるようになりました。2つ目の八本歯のコルへの分岐で、山側の道と谷側の道は一つになり、登山道は混み始めます。急な登りが多くなり、下ってくる登山者とのすれ違いなどで時間も取られるようになりました。

ルートマップ北岳の頂上は、前日の間ノ岳同様、すでに登山者で混み合っていました。ガスはかかっていませんが、直ぐ足元まで雲が沸いてきており、視界が良いとはいえません。富士山が雲の上に頭を出しています。バットレスの近くまでヘリコプタが飛んできましたが、後で事故があったことを知りました。時折富士山が見えるのに満足して、20分ほどで下山を始めました。

下山路は小太郎尾根〜右俣〜大樺沢のコースを取りました。広河原までの最短コースではありませんが、景色と高山植物と混雑度の3つの観点から、このコースがベストと考えました。土曜日のためか、両俣への分岐を通過して肩ノ小屋を過ぎた辺りから登ってくる登山者とすれ違うことが多くなります。小太郎尾根の草すべりへの下降点で一服し、その少し先で道標に従って右俣コースへ入ると、登ってくる登山者が列をなすようになり、すれ違いに時間を取られるようになりました。花などの写真撮影にも時間をとられ、二俣に着いたときは10時を過ぎてしまっていました。当初は、この辺りで湯を沸かして昼食と考えていたのですが、そんな時間はありません。一息入れただけで広河原に向かいました。二俣から、広河原のつり橋まで、休みを取らずに歩き続け、なんとか12時までに、広河原のバス停に着くことができました。

バス停についてみると、乗合タクシーの席がまだ空いていたので、バスはやめてこちらにしました。切符を買うためザックを下ろしてみると、背中が汗でびしょ濡れです。乗合タクシーがサービスで出してくれた、冷たいお絞りで顔の汗をぬぐったときの気持ちよさ、それと冷えたお茶の旨かったこと、忘れられません。芦安で自分の車に乗り換え、立ち寄り湯の白根天笑閣に寄って4日間の汗と垢を流し、甲府の手前で昼飯代わりのラーメンを食べ、自宅に戻りました。、

3泊4日の山行で、1日当たりの歩く距離や登下降の高さをみると、数値的には丹沢へ日帰りで行く場合より楽なコース設定です。丹沢より高度が高く、背負う荷物も重くなりましたが、実際に歩いてみると、1週間前に登った富士山の効果もあったためか、行く前に予想していたよりは、ずいぶん楽に歩けました。

今回は30数年前、弟と二人で南アの稜線を北上して熊ノ平まで行きながら果たせなかった、仙塩尾根を歩くのが目的の一つで、これを果たすことができました。仙塩尾根は2日間歩きましたが、途中で追い越した7〜8人の大学生(?)のパーティーを除くと、初日は4人(いずれも単独行者)、2日目は3パーティ(4人)しか人と会うことは無く、今でも訪れる人が少ないコースのようです。樹林帯に入ると倒木が目立ちますが、急坂は少なく、道はしっかり踏まれており、荒れた感じは受けません。ただし、途中に距離や時間を示す道標は1本も立っていません。位置を示す標識?が伊那荒倉岳、横川岳、野呂川越にあるだけです。自分の位置を確認するには、それなりの技術や器材が必要です。山深いところで、いったん仙塩尾根へ入るとエスケープルートは、野呂川越から両俣小屋へ下るルートしかなく、水場もありません。自分の体力とこのコースに必要な体力を天秤にかけ、行けるのはこの1〜2年のうちしかないと思っていましたので、大きな満足感を得ることができました。

タカネマンテマ
タカネマンテマ
これと対照的なのが、北岳〜間ノ岳でした。ある程度の人は予想していましたが、これをはるかに超えていました。老若男女、また服装や装備も千差万別です。時折見かける幕営山行と思われる大きな荷物を除くと、このあたりは富士山で見た光景と良く似ています。ハイマツ帯の中に入り込んで昼寝をしたり、食事をしているパーティー、登山路の真ん中に陣取っておしゃべりに夢中の中年女性群、登り優先などどこ吹く風と下って来るパーティー等、マナーについて、いかがと思われることも目に付きました。北岳は、どのコースを登っても変化に富み、素晴らしい眺望が得られ、高山植物も豊富で魅力的ですが、このような混みようでは、シーズン中の登山には二の足を踏みます。

私にとって決定的だったのは北岳山荘です。宿泊の予約が必要とあったので、予約をしていったのですが、これは一顧だにされず、宿泊の受付に1時間ほど順番待ちをさせられました。シーズン中とは言え平日ですし、大きな山小屋でもあるので、スペースには十分余裕があるであろうと考えていたのも誤算で、布団1枚に2人とは驚きました。ぎゅう詰め小屋で一夜を過ごすことの大変さを、インターネットのホームページで読んだことがありますが、私自身が経験するとは夢にも思っていませんでした。北岳山荘にはシーズン中、二度と泊まりたくありません。今の季節に再度訪れる場合は、テント持参かなと思っています。

北岳は私が20代の頃、最も足繁く通った山の一つです。金曜日の夜行列車で新宿を発ち、土曜日の朝甲府駅からバスで広河原に入り、土曜日の夜北岳小屋に泊まり、日曜日に帰宅していました。当時の北岳小屋は、夏のシーズン中の土曜日でも、10人も登山客が泊まれば、「今日はずいぶん泊り客が多いな」と思ったことを覚えています。現在の変わりようには、とても馴染めませんが、これも時の流れでしかたの無いことなのでしょう。

「山の花」に写真を収録した花:
タカネツメクサタカネシオガマイワベンケイ(雄株)ミネウスユキソウミヤマシオガマチョウノスケソウシラネヒゴダイタカネマンテマミヤマミミナグサチシマギキョウホソバトリカブトハクサンフウロシナノキンバイタカネナデシコセンジュガンピクガイソウシモツケソウ


八本歯のコル分岐 八本歯のコルへの分岐
北岳山荘から北岳に向かって山側の登山道を登ってくると八本歯のコルへの分岐が2箇所ある
この写真は2番目の分岐で、北岳の山頂へ向かう登山道はここで1本になる
北岳頂上 北岳頂上
北岳の標高について、3193m論争を起こした、頂上の大岩
その後北岳の標高は何mと特定されたのだろうか
北岳の頂上を示す標識はこの大岩を挟んで2箇所に立っているがこの大岩の上が、北岳の最高点
富士山 北岳頂上からの富士山
この日平野部は一面の雲に覆われていた
その雲の上に頭を出している富士山が時折、北岳山頂から眺められた
この時、周辺の山で雲の上に頭を出していたのは富士山だけ
救難ヘリコプタ 捜索ヘリコプタ
北岳の頂上にいるとき、飛んでいた
飛んでいるヘリコプタを上から見るのは初めての経験
帰宅後バットレスで事故があったのを知った
両俣分岐 両俣分岐
晴れていれば、素晴らしい眺望が得られるところだが、この日は生憎周りは雲で眺望は得られなかった
肩ノ小屋 北岳肩の小屋
両俣分岐の直ぐ下にある
小太郎尾根 小太郎尾根と小太郎山
この日は時折小太郎山が雲の中から姿を現したが、その向うの甲斐駒はとうとう一度も見えなかった
小太郎尾根 小太郎尾根(草すべりへの下降点近くから北岳方向を見る)
晴れていれば見晴らしの良い尾根である
広河原からここまで登ってくると北岳の頂上まで、残り僅か
二俣分岐 二俣への分岐
小太郎尾根から草すべり側へ少し下ったところにある
ここから二俣へ通じている右俣コースでもトリカブトをはじめ沢山の花が見られた

両俣 二俣
この日はここで沢山の登山者が休憩を取っていた
ここら、八本場のコル、小太郎尾根、いずれへも急坂が続く
つり橋 つり橋
ここが北岳の入り口

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