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No.63 仙丈・北岳(3/4)
山に入って3日目です。両俣小屋から三峰岳、間ノ岳を越えて北岳山荘まで、この日は標高約2000mから標高約3200mまで、1200mほど登らなければなりません。今回の山行では、最も厳しい1日です。

日時 2005年(平成17年)8月3日(水)〜6日(土)
天候 8月5日(金) 晴のち曇  8月3日の山行概要:仙丈・北岳(1/4)
同行 なし  8月4日の山行概要:仙丈・北岳(2/4)
 8月6日の山行概要:仙丈・北岳(4/4)

8月5日 所要時間
両俣小屋(4.50) ←1時間10分→ (6.00)野呂川越(6.05) ←2時間20分→ (8.25)2699mのピーク(8.35) ←35分→ (9.10)2765mのピーク(9.15) ←1時間→ (10.15)三峰岳(10.55) ←55分→ (11.50)間ノ岳(12.00) ←1時間20分→ (13.20)中白根山(13.20) ←30分→ (13.50)北岳山荘(泊)

8月5日 山行概要

仙丈・北岳(2/4)より
間ノ岳付近から見た北岳
間ノ岳付近から見た北岳
朝4時に起床して昼食用の湯を沸かして魔法瓶に詰め、4時半から朝食を食べ、4時50分に両俣小屋を出発しました。昨日の雨はあがっていましたが、薄い朝もやが立ち込めています。今日は間ノ岳まで、標高差約1200mを登らなければなりません。間ノ岳までは、歩くことに専念し、写真は極力控えようと決めて歩き始めました。

小屋を出るとすぐ、薄暗い木立の中に入ります。正直なところ、一人で歩くのはあまり気持ちよくありません。小屋番の勧めもあり、カウベルを鳴らしながら登り始めました。野呂川越えまで、この日第1の急坂がはじまりました。10分も歩くと、体が汗ばみ始めてきました。オーバーペースにならぬようにすると共に、休憩も規則的に取るよう心がけました。

野呂川越には思ったより早く着きました。ここで一息入れ、仙塩尾根を登り始めました。野呂川越から5分ほど歩いたところで、北岳の方から朝日が樹林の中に差し込むようになり、あたりがぱっと明るくなりました。緩やかな登りで微風があり、鳥のさえずりを聞きながら歩きます。山歩きの醍醐味を感じました。また、20代の頃、よく体感した、歩きながら休みを取るという感覚が、久しぶりによみがえるような感じがしました。

歩くことに専念して、写真は取らないと決めてはいましたが、これという花や風景が目に付くと、結局立ち止まって写真を写してしまいます。2367mのピークを越えると少し登りがきつくなりますが、これも2488mのピークまでで、その後また樹林帯の中の緩やかな登りが続きます。途中、甲斐駒や仙丈岳が見えるところがありますが、ずいぶん遠くに望めます。やがて稜線を少し外れて左に稜線を見て山腹を歩くようになり、これが終わると2699mのピークに着きました。ここに来ると三峰岳の登りと三峰岳から間ノ岳へ続く稜線がよく見えますが、まだずいぶん上の方に見えます。ここで、少し長めの休憩を取っていると、三峰岳の方から息を切らして歩いて来る2人組のパーティーとすれ違いました。

このピークから少し下るときつい登りが始まり、それまでのシラビソからダケカンバなどが目立つようになり、鎖場を越えるとぱっと視界が開け、2765mのピークに着きました。ここで森林限界を越えたことになります。前方にはこれから向かう三峰岳がまだだいぶ高いところにありますが目の前です。後ろを振り返ると昨日登った仙丈ケ岳がはるかかなたに見えます。多少の疲労感はありますが、足にきている感じはありません。ハイマツ帯の中の爽快感のある中の登りを黙々と登りました。少し歩くと右手下方に熊ノ平小屋が見えるようになり、更に歩いて三峰岳の小さな岩峰を右手に見て巻くように登ると、三峰岳の頂上直下の間ノ岳へ続く稜線に出ました。三峰岳の頂上はすぐ上です。三峰岳の頂上へ登って塩見岳間ノ岳の眺望を楽しんだ後、ここで昼食を取り、間ノ岳へ向かいました。


ルートマップ三峰岳から間ノ岳までは、高度3000m上で標高差が200m近くあり、難渋すると思っていましたが、予想よりはずっと楽に歩けました。間ノ岳の頂上は、それまでの静かな山とは様変わりで、50名ほどの人が記念写真を写したり、休みを取っており、更に入れ替わり立ち代りで、人の行き来があります。私もここで一息入れました。三峰岳では素晴らしい眺望に恵まれましたが、生憎この間ノ岳では周りに雲が沸いていて見晴らしはほとんど得られません。間ノ岳の頂上での休憩は、ほどほどにして歩き始めました。ここから、今日の目的地の北岳山荘までは、さしたる登りはありません。時間もたっぷりありましたので、花や景色の写真を写しながら、のんびり歩きました。

北岳山荘に着いてびっくりです。小屋の受付の前に人山ができており、受付用紙に名前などを書いて提出してから、自分の名前を呼ばれるまでに、30分以上かかりました。予約をしていたのですが、予約のよの字も聞かれませんでした。やっと名前を呼ばれ、自分の居場所が決まりましたが、今日は混んでいるので布団1枚に2人寝ることになると宣告されました。また、ザックと靴は廊下に置いてくれとのことです。指定された場所に行ってみると、まだ時間が早いためか、ぎゅう詰め状態ではありません。ザックを置くスペースがあったので、とりあえず明日の飲み水を手当てしてザックに収め、ヘッドランプを取り出し、あとはしばらく自分の寝場所でじっとしていました。時間があれば、高山植物の花の写真を写そうと思っていましたが、そんな気には全くなりません。小屋の中でビデオが放映されていたので、これを見て時間をつぶし、夕食を食べた後、7時過ぎに用意してきた鎮静薬を飲んで眠りにつきました。山に入って3日経ち、風呂に入れないので手足も顔も汗でベタベタしており、その不快感とぎゅう詰めの圧迫感で、鎮静薬を飲んでも眠りに落ちるまでしばらく時間がかかりました。

インターネットに掲載されている北岳山荘の案内では予約が必要と有ったので、予約の電話を入れておいたのですが、予約の有無は無関係でした。シーズンとはいえ、平日だから混むとはいってもさほどのことは無かろうとの読みは外れました。土曜日や海の記念日の連休時のこの山小屋の混み具合は、想像を絶します。以下仙丈・北岳(4/4)


「山の花」に写真を収録した花:ミヤマキンバイシコタンソウミヤママンネングサイワベンケイ(雌株)

仙塩尾根の登山道 仙塩尾根の登り
野呂川越からしばらくの間は登りが緩やかで、歩く楽しさを満喫できる
甲斐駒 樹間から見えた甲斐駒と早川尾根
三峰岳 2699mのピークからの眺め
森林限界間近で、このピークからはこれから向かう三峰岳と三峰岳から間ノ岳へ続く稜線が良く見える
森林限界付近のダケカンバ 森林限界付近
2699mのピークを下って、登りが始まると樹相が一変し、ダケカンバが目立つようになる
森林限界付近から見た仙丈ケ岳 仙丈ケ岳と仙塩尾根
森林限界付近で後ろを振り返ると、昨日歩いた仙丈ケ岳と仙塩尾根が良く見える
三峰岳 2765mのピークからの眺め
このピークまで来ると森林限界を超え、俄然素晴らしい眺望を満喫できるようになる
三峰岳も間近になる
熊ノ平小屋 熊ノ平小屋
三峰岳の頂上近くなると、熊ノ平小屋が良く見えるようになる
間近ではあるが、ずいぶん下のほうでもある
三峰岳頂上 三峰岳頂上
こぶのような小さな岩峰で、素晴らしい見晴らしが得られる
3000mに1m足りない不遇の山であるが、かえってこれが幸いして、今でも静かさを保っているようである
私が頂上に着いたときは、先客が3人居た
この日静かだったのはここまでで、ここから先は人また人
三峰岳頂上から塩見岳方向 三峰岳から見た塩見岳
塩見岳ははるか向うに見える
三峰岳頂上から間ノ岳方向 三峰岳から見た間ノ岳
間ノ岳はまだだいぶ高いところにある
山行前、ここはかなりつらい登りになると思っていたが、案外楽に歩くことができ、杞憂に終わった
間ノ岳頂上 間ノ岳頂上
だだっ広い山頂の中の岩が少し盛り上がっている所に頂上を示す標識が立っている
一見、人が居ないようだが、周りには大勢の人が休んでおり、人気のないこの写真を写すまでだいぶ待たされた
間ノ岳〜北岳間の登山道 間ノ岳〜北岳間の登山道
間ノ岳〜北岳間は岩稜上の登山道が続く
起伏はあまり無く、晴れていれば眺望は抜群の快適な登山道である
中白根山付近から見た三峰岳 中白根山付近から見た三峰岳と間ノ岳
小さなこぶのような三峰岳が特徴的
三峰岳は2999mだが、間ノ岳と比べるとその高度差は歴然である
北岳山荘と北岳 中白根山付近から見た北岳と北岳山荘
ここまで来ると北岳山荘は指呼の間
小屋の周りのテントや人がよく見える
この時はまだ北岳山荘が超満員だとは思わなかった

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