アームズマガジンの連載企画“究極米兵計画”用に製作した、
映画『ブラックホーク・ダウン』バージョンのレンジャーです。
(究極米兵計画については説明すると長くなるので省略(^^;)
『BHD』をテーマにしたフィギュアは、昨年の“D-BOYS”に続いて2作目になるわけですが、
前回は手っ取り早く最小限の作業で映画のイメージを再現すること、を目的にしていたので、
装備等が必ずしも劇中の衣装通りになっていませんでした。
今回は映画本編のDVDを繰り返しコマ送りで再生して細部を確認、
極力正確に主人公マット・エヴァーズマン軍曹の装備を再現するよう心がけました。

最近の各社のフィギュア用装備、特に装備を単体の商品として販売しているメーカーの製品は、
実物の情報をどれだけ1/6のサイズに盛り込めるか、が焦点になっている感があります。
究極米兵も実物の素材感や構造を出来る限り忠実に再現すること、を主眼としてきたわけですが
(ご存じない方は、そう言う趣旨の連載記事、程度にご理解下さいm(_ _)m)
今回は少々視点を変え、装備をすべて装着した状態でのバランスを
最優先して各装備を製作する、と言う方法を採ってみました。

つまり1/6フィギュア用ユニフォームで常に問題になる布の厚み、かさばりを
ディテールを省略することで回避しよう、と言う試みです。

例えば、トラウザースの裾部分には裾を絞るための紐が通してありますが、
1/6ではこの紐と裾の布地をブーツの中に押し込んでしまうと、
足首が膨らんでシルエットを損なってしまうため、あえて紐は省略。
同様に、トラウザースの中にたくし込まれるジャケットの裾も、
ポケットを省略してかさばりを押さえてあります。
ボディーアーマーの前合わせ部分も、同じ理由でベルクロを省略してあります。

また、1/6原寸で製作してしまうと、イメージ的に大きくなりすぎる装備、
例えば、ストロボライトポーチやファーストエイド/コンパスポーチなどの
“小さい”物として認識されている装備や
リアル1/6では目立ち過ぎてしまうラペリンググローブやブットパック等は
一回り、場合によっては2回り小さく製作することで、全体のバランスを整えてあります。

当然のことながら、これらの装備を単独で見た場合、
スケールモデル的には不正確な物となってしまうわけですが、
あくまでも、完成状態でのシルエットを整えるためのアレンジ、ディフォルメであって
製作の手数を減らすための省略とは根本的に意味が異なる、と言うことはご理解いただけると思います。

フィギュアは究極米兵計画正式採用素体のボークスNEO-GUY。
ドラゴンのMATTのヘッドを、頸をカットして移植(ヘッドの加工は“NEO-GUY徹底検証”参照)、
手首もドラゴンのベンダブルの物に交換、手と指のテーピングはマスキングテープの細切りです。

こうした力の抜けたポーズは、関節の微妙な調整が可能なNEO-GUYの独壇場。
他社製フィギュアでは、なかなかこうはいきません。
ただし、微妙なポーズが取れるのも善し悪しで…
装備の重量感を出すため、ブットパックとマガジンポーチにオモリを入れたのですが
重量バランスが微妙になりすぎて、フィギュアが立ちづらくなってしまい、
撮影の時非常に苦労してしました(^^;

ヘッドは一度製品の塗装をすべて落とし、模型用塗料で再塗装した後、パステルで汚しを行ってあります。
本当は額の汗なども表現してやりたかったんですが…技術が追いつかず断念してしまいました。
襟元にちらりと、ドッグタグのチェーンが見えてるんですが…判ります?

無線機はドラゴン製。カールコードをリード線に交換したのみ。
マイクは、肩に取り付けたストロボライトポーチの蓋に通した紐に掛けてあります。
ストロボポーチは、市販フィギュア製品の布製の物はサイズが大きすぎ、
紐を通す必要があるため樹脂製というわけにも行かないので自作。
ガムテープでサスペンダーに取り付けてあります。

ボディーアーマーは松井さん製作。劇中の衣装に合わせるか、当時実際に使われていたはずの
初期型レンジャーボディーアーマーにするか迷ったのですが、
ミリタリー誌の作例、と言うこともあって、史実に準じることにしました。
使用しているウッドランドのナイロン布は
トイソルジャーのアラン氏からご提供いただいた物です。

腰回りの装備品。LC2ベルト、Yサスペンダー、ブットパックは松井さん製作。
キャンティーンカバーとマガジンポーチはみやもとさんの原型を、
とかさんにお願いしてコピーしていただいた物です。

サスペンダーはパラコードを介してベルトに接続されています、が
どうやらサスペンダー先端の金具を外して直接パラコードを通すのが正解、のようです。
ベルトのエクステンションは、アクセサリーとして面白いので、
劇中マクナイトやピラが使用していたものを参考に製作。
(どうやらエヴァーズマンは使用していない模様)
ラペリンググローブ(革を貼り合わせただけのダミー)とファーストエイド/コンパスポーチは
装備全体のバランスを考慮して実際より一回り小さめにしてあります。
右側マガジンポーチのグレネードポケットに入れたフラッシュバング(閃光手榴弾)は
BBIのSWATに付属していたスタングレネードに、自作のラベルを巻いたもの。

このグレネード、深夜ヘリに攻撃目標を指示するため、ストロボライトを持って飛び出す直前のシーンと
翌朝、スタジアムにたどり着いたシーンで確認できるのですが、出撃の時には持っていなかったような…
同じ物をデルタのフートが肩に装着していたので、おそらくデルタの誰かから貰ったのでしょう(^^;

グレネードポケットの下端がほつれているのは…
グレネードを無理に押し込んだら破れてしまっただけで、他意はありません
まあ、こんなのもリアルでよいかなぁ〜と(^^;

M16A2はドラゴン製。本体はパステルで汚しを掛けたのみ。
実物ガムテープでストックとマガジンにテーピングを行い、
スリングを携帯ストラップ用のナイロンコードと
アラン氏から頂いた4mm幅のナイロンテープに交換してあります。
スリングはかなり長めにしましたが…もうちょい、短くても良かったかな?

右肩のパッチはドラゴン製。星条旗が反転しているのも劇中同様。
星条旗パッチは右側用と左側用で図案が反転しており、
両肩とも星が体の前側にくるように着用することになっているんですが…
実際には両肩に同じ物を取り付けていたり、と必ずしも規定通りにはなっていないみたいです(^^;

平野さん製作のヘルメット本体に、松井さん製作のチョコチップカバー…汚しちゃうのが勿体ない(^^;
ゴーグルはBBI製。ストラップのバックルを松井さん製作のエッチングに交換してあります。
ヘルメットバンドとゴーグルのストラップは4コールゴム紐、
実物は両方とも平織りのベルトなので、素材感が全然違うんですが…良い素材が無いんですよね。
カバーの擬装用スリットを利用した、ヘルメットバンドとゴーグルの脱落防止措置にもご注目下さい。

ヘルメット前後の“EVERS”の文字は、劇中よりやや控えめのサイズにアレンジ。
MATTのヘッドはやや大きめなので、ライナーを外さないとヘルメットが被れませんでした。

ブーツは究極ではなく、Myer'Sデザート市販バージョン。
究極でデザートブーツを製作していなかったのと、汚しを行うことを前提としたためのチョイスです。

フィギュア完成後に「単体じゃちょっと寂しいかな?」と思い、急遽製作したベース。
一応、エヴァーズマン率いるチョーク4が立てこもった
スーパー61墜落現場付近の理髪店(?)の室内をイメージしていますが、
ディオラマとかビネットと言うよりは、単なる展示台、程度のつもりで作ったので、
シーンに忠実にはなっていません。
床と壁は硬質発泡スチロールにモデリングペーストを塗って製作、
瓦礫は速乾性セメントを硬化後に砕いた物、
紙くずは雑誌を縮小コピーして、手でちぎったり丸めたりした物です。
塗装はすべてラッカー系の模型用塗料を使用。
着手から完成まで半日(4時間くらい)のお手軽ベースですが、
この程度の物でも雰囲気作りの役には立ってくれたようです。

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