今回のテーマは“着せ替えでイラク戦の米歩兵を作る”です。

最近の12インチミリタリーフィギュアは、ユニフォームや装備品を単独の製品として
製作販売する“サードパーティー”に刺激される形で、急速にハイディテール化していますが、
大手メーカー、特にドラゴン社の現用米軍系の製品は
(実際にはドラゴンに限らず、程度の差こそあれ、どのメーカーにも言えることなのですが)
新規に制作された高品質パーツと従来からのパーツが混在して使用されているため
旧来のパーツに足を引っ張られて、せっかくの最新パーツが本来の実力を発揮できていないように感じられます。

そこで今回は、これらの製品の旧来パーツを他社製品のパーツやサードパーティーのパーツと交換、
あるいは追加することで、最新パーツのポテンシャルを検証してみよう、と言うのが狙いです。
そのため、各パーツには殆ど手を加えず、簡単なアレンジと汚しのみで仕上げることにしました。

……というようなコンセプトの作例にもかかわらず、完成したフィギュアは
普段自分が“カスタム”と称して発表しているものと大して変わりののない仕上がりで…
なにやら“いつもの作例”が実は大したことはやっていない、と言うのを暴露しているようで
(実際そうなんですが(^^;)少々気まずかったりするのですが、
その気になれば誰にでもこの程度のものは制作できる、という実例としてご覧いただければ、と思います。

U.S. ARMY 3rd INFANTRY Div.
ドラゴンのIRAQI FREEDOMシリーズ“Desert NBC/Josh”に、
BBI社の装備パーツを組み合わせた米陸軍第3歩兵師団の兵士です。
よく言えばプレーンでクセのない(悪く言えば面白味に欠ける(^^;)ドラゴンの製品に、
ディテール感の有るBBIのパーツを追加することで、
存在感のあるフィギュアになったのではないか、と思います。
BBIのボックス製品はアイテム選択が非常にマニアックなのですが、
パーツを一つ一つ見て行くと、以外と一般歩兵にも使用可能なものが多いのに気が付きます。
この辺りは、実物の知識が多少は必要になる部分ですが、
特殊部隊と違って米陸軍や海兵隊の公式サイトからでも
十分な情報を収集できますので、資料に事欠くことは無いと思います。

フィギュアはBBIの“GUNSLINGER”を使用。
ドラゴンのNBCスーツはゆったした作りになっているので、
ボリュームのあるG3ボディーでも問題なく着用できます。
(と、いうか、自社ボディーよりもフィッティングが良好なような気も…)
ヘルメットはBBIのシェルにドラゴンのカバーを取り付けて使用。
BBIのヘルメットには空挺用(?)のチンストラップが付いているのでドラゴンの一般用ストラップに交換。
インシグニアはインクジェットプリンターで自作。ゴーグルもBBI製です。

インターセプター・ボディーアーマーはドラゴン製を使用。
シルエット的に?なドラゴンのインターも、重ね着してしまえばそれほど気にならなくなります。
マガジンポーチはアームズマガジンの解説記事を参考にしてRACK用を取り付けました。
ポーチ前面下端のショットシェル用ループに挿したイルミネーション・スティックは
袋入りの方がBBI、中身のみがドラゴンのパーツ。
これは建物内を捜索するとき等に、チェック済みを示す目印代わりに使われたりするもの、らしいです。
M40/42ガスマスクケースはBBI製。実物同様に再現されたストラップが高ポイントです。
ドラゴンのフィギュアのガスマスクケースは、M40ガスマスク本体が付属しているにもかかわらず
なぜか全てM17用となっていますが、早急な改善を望みたいものです。

M16A3本体はやはり模型メーカーのドラゴン製が群を抜いてシャープ、なのですが、
AN/PEQ-4レーザー照準装置は後発のBBI製の方がディテール、形状ともにリアル。
よって今回は両方を組み合わせて使用。取り付け穴のサイズが合わないので
PEQ-4側の取り付け用突起を削り取り、RISに直接接着してあります。
テーピングは造花用の紙テープの細切りを使用しました。
デザートブーツはBBI製。元々ウェザリングがかけてありますが、
今回はさらに、パステルでサンドイエローの汚しを追加してました。

U.S. MARINE 24th MEU(SOC)
バグダット進行の後期に見られたTシャツ+インターセプターの海兵隊です。
ほぼ同じスタイルのボックスセットがドラゴンから発売されますが、こちらは同じドラゴンの
“TASK FORCE TARAWA/Leon”に同社の“フォワードエリア・デプロイメントセット”や
サードパーティー製パーツを組み合わせて構成しています。

今回のイラク戦、特に海兵隊で特徴的だったのが新旧装備の混用、だと思います。
ここでは最新のタンカラーのインターセプターボディーアーマーの上に
もはや旧式と言って良いALICE装備を装着し、
ウッドランドのNBCパンツにデザートMARPATのヘルメットカバー
といういう組み合わせにしましたが、
勿論ALICE装備の代わりにMOLLE FLCを使用したり、
ウッドランドではなく3Cデザートのパンツを使用するなど、
お好みにあわせてコーディネイトするのも楽しいと思います。

ヘルメットはこちらもBBIのシェルにドラゴンのカバー。
ドラゴンのデザートMARPATはやや青みがかっているように感じたので、
汚しをかねてベージュのパステルを擦り込み、色味調節を行ってあります。
フィギュアは半袖Tシャツ姿とするため、腕がシームレスになったドラゴンの“Russell”に交換。
(ヘルメットやガスマスクケースに“JOSH”と書いてあるのは、
当初はそちらを使う予定だったため、だったりします)
フェイスペイントがのっぺりした印象だったので、パステルでシャドーを入れ、
つや消しクリアーをスプレーして光沢を押さえてやりました。
ボディーアーマーはトイソルジャー製に交換。
“Leon”にもコヨーテタンのインターが付属していますが
Tシャツ1枚の上に着せるとダブダブになってしまいます。

M16A2はドラゴン製。スリングをナイロンリボンと携帯ストラップ用コードで自作、
マガジンとストックにテーピングを行った他、ストックにチョークで数字を書き込んでみました。
手首のサポーター(?)は単に間接部を隠すためのものだったりします。
サスペンダー、キャンティーン、マガジンポーチは“フォワード〜セット”のもの。
形状、ディテールとも従来のものより格段にリアルになっていますが、
出来ればもう一息、頑張って貰いたかったパーツでもあります。
LC-2Aベルトはドラゴンのベルト本体にa.c.eのバックルを取り付けたもの。
ブットパックはa.c.eの製品。エイドポーチはBBIの樹脂製のものを使用。
ドラゴンにも同様の樹脂製エイドポーチが有ありますが、なんというか、非常にスクエアな形状になっていて、
今回のように様々なパーツでゴチャゴチャとしたイメージを演出したい場合は
シワや歪みをやや大げさに表現したBBI製の方が適しているように感じます。

こちらのガスマスクケースはトイソルジャーのパーツ。
本体後半(画像右側)の形状が丸すぎるのが難点ですが、サイズとディテールは良好です
素材のナイロンの光沢が気になったので、全体につや消しクリアーをスプレーし、
パステルで派手に汚しをかけてみました。
ブーツはこちらもBBI製。さりげなく踵に海兵隊のマークが入っていたりして侮れません(笑)
汚しは、装備、ユニフォームとも全てパステルを使用。
第3歩兵師団よりもきつめの汚しを行い、よりカスタム感を強調した仕上げとしました。

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