鳳凰三山縦走 2012年10月13日 - 15日 テント泊縦走

10月13日 曇り

甲府駅に着いたのは11時ちょい過ぎ。12時ちょうどの広河原行きバスに乗る。バス停には一番乗りだった。待ち時間の間に、レトルト鶏モツ煮やハイソフトなど買い物をした。バスの乗客は20人だった。
ところで、車掌の案内を聞くと、下山時の広河原→甲府のバスで芦安駐車場の温泉施設に寄るために下車した場合に、途中下車扱いとするサービスをやっているとのことで、甲府駅までの通し運賃でいいという話だった。しかも温泉の割引券も付くとか。へえ。ただし、芦安→甲府間は座れる保証はないとの注意付きだった。うーん、それを聞くとちょっとビミョーだ。
13:10に夜叉神峠登山口に着いたとき、バスを降りたのは我々ふたりだけだった。

13:38 夜叉神峠登山口バス停出発(高度計:1395m)

道
フラットな道を行く(13:42)
夜叉神峠小屋は水場が遠いので、登山口で水筒を満タンにしていくつもりだったが、長い黒ゴムホースにたまった水はすっかり温まっており、いくら流しても冷たくならない。質もどうだか疑わしい。しかたないので、今日の登り1時間分として750ml1本だけを満たして、登り始めた。

14:32 夜叉神峠小屋着(1800m)

テント場
夜叉神峠テント場(16:30)
峠までの道がフラットで歩きやすいことはよく覚えている。途中で、峠まであと40分の標識があり、次に30分(中間点の五本杉だ)、15分ときて、登り切った分岐点の標識は小屋まで3分となっていた。小屋には合計タイム54分で到着した。14時を過ぎていたがテント場には一番乗りだった。
目の前に白峰三山が広がる。眺めはよかったが、空は高曇りで光線はいまひとつだった。
この日の最高高度は1800m、最低高度は1395m、積算上昇は405m、積算下降は0mだった。このあとで水汲みに行くが、そのときプロトレックをつけていなかったので加算されていない。

夜叉神の静かな夜

白峰
夕暮れの白峰三山(17:24)
あたりは鳥がたくさんいた。ヒガラやエナガのような小鳥から、アカゲラやカケスまで見た。
テントを張ったあと、水を汲みにでかけた。往復35分くらいかかった。晩秋だが水量もほどほどあり、500ml汲むのに1分くらいだった。水場へは「小屋まで3分」の分岐から西口登山口(駐車場のない方の登山口だ)へ下っていく。エアリアの山と高原地図で、道がΛ型になっている場所が水場のあるところだ。斜めのトラバース道は下に行くにつれて狭くなり、谷側に滑りそうなところもあった。西口登山道から入山して水を汲んで峠を目指すのが効率がいいのだろうが、水場から下は、一見するとちょっと荒れているように見えなくもなかった。
夕食は、ちょっと寒かったが眺めのいいベンチで食べた。ベンチからは白峰の空にかかる雲のいろんな表情が見られた。きりたんぽと鶏肉団子の鍋に、最後は「鍋用おこげ」なる出来合いのおこげと卵を投入して〆た。食事中に気温は8℃台にまで落ち、テントが2張増えた。翌日用の水を準備しなければならないが、暗くなって水場への道が怖いのと億劫なのとで、1Lだけ小屋で分けてもらった。小屋は宿泊者がいるんだかいないんだか分からないくらいひっそりとしていた。
19時ごろには眠りについたが、21時に目が覚め、外に出てみると雲がとれて星が出ていた。ちょうど月がないうえ小屋は完璧に消灯していたので、星空撮影にはもってこいの環境だった。少しするとキャノンのでかいカメラを持った人がテントから出てきてやはり星を撮り始めた。30分もするとまた雲が出てきてしまったので、残念だが撤収した。

10月14日 曇り時々晴れ

白峰
朝の白峰(06:02)
5時半出発を目指して3時に起床。星空は復活していた。テント内の気温は8℃近くもあった。結露はまあまあ。岳食の山菜そばの朝食をすませ、ベンチで荷造りをしていると、プロトレックの温度計は5℃まで下がった。出発しようとするキャノンのカメラの人に聞くと、夜中の1時頃には素晴らしい星空が広がっていたとのことだった。

6:08 夜叉神峠出発(1785m)

富士山
富士山が見えた(06:43)
道
ひたすら斜上する道(06:48)
快晴かと思いきや、出発するころには薄い雲が広がった。それでも昨夕同様、眺めはよい。のっけからの急坂を乗り切ったあと、樹間から富士山が見えた。その後はひたすら斜上が続き、歩き始めてちょうど1時間のところにベンチがあったので休憩した。
さらに20分ほど歩いた7:33に杖立峠の標識を通過。エアリアマップはここを杖立峠とは認めておらず、2008年版では「杖立峠の道標がここにある」とだけ書いてある。
で、その標識には苺平まで2時間30分と書いてあるのだが、これが大嘘なのはよく覚えている。

8:08 山火事跡(2285m)

白峰
白峰の青空(08:19)
紅葉
山火事跡は紅葉がきれいだった(08:32)
緩やかに下って登り(この間がエアリアのチェックポイントである杖立峠のはずだがどこだか分からない)、少し開けたところを過ぎて10分も歩くと山火事跡に着く。ちょうど雲が取れてきて、白峰三山の眺めが素晴らしく、紅葉が美しかった。ザックを下ろして眺めを楽しみながら休憩をとった。
ここにも立派な道標がある。先ほどの杖立峠の標識からは40分弱で着いており、すると苺平まではあと2時間くらいとなる計算のはずだが、ここ山火事跡の標識は、苺平へは40分となっている。

9:00 苺平着(2490m)

紅葉
ナナカマドの葉っぱがたくさん落ちている道(09:04)
道
深い森の道(09:12)
で、実際に、山火事跡からは40分ほどで苺平に着いてしまうのだ。つまり、我々の足は標識が想定している速さなのだ。というわけで、杖立峠の標識が大嘘なのである。で、標識だけがおかしいのかというと、エアリアマップも夜叉神→苺平が4時間になっている。これも実際より相当長い(我々は3度歩いていずれも約3時間だった)。
苺平からはしばらく平坦な道を行く。ここらあたりの森は深くて美しい。ナナカマドが紅葉しているが、北アルプスとか大雪山とか東北とかと違って、樹高がとても高くて近くで見えない。落ちている葉っぱで楽しむだけだ。

9:33 南御室小屋着(2410m)

奥秩父
奥秩父が見えるとすぐに南御室小屋に着く(09:30)
あちらこちらの木の枝に、南御室小屋や薬師岳小屋の宿泊に関する注意事項(「夕食希望の方は○時までに予約してください」とか)と連絡先が書いてある札がかかっていた。ということは札のある辺りではケイタイが通じるということだ。唐突に下りに転じると、下りきったところが広場状になっていて、サルの絵の意味不明な標語の看板があり、樹の切れ目から奥秩父が見えた後、間もなく南御室小屋に着いた。
小屋前の広場では数人が休んでいたが、その広さからすると寂しいくらいだった。我々もザックを下ろし、トイレを済ませ、水を補充した。行く手の上の方は紅葉がきれいだった。

10:02 南御室小屋発(2410m)

道
紅葉は高いところばっかり(10:29)
小屋からすぐは急登で、雨や踏みつけでえぐれた道の脇に新たに道がついていた。が、それは10分あまりで終わり、その後は少し緩やかになって、だんだんと巨岩が増えてくる。紅葉は相変わらず高いところで、近くで味わえない。
最後にもう一度急坂を登りきれば砂払岳は近い。すれ違う人が「もうすぐ稜線の絶景が待ってますよ」と声をかけてくる。

10:59 砂払岳着(2675m)

白峰
白峰三山の絶景(11:01)
富士山
富士山の絶景(11:02)
予告のとおり、素晴らしい景色が我々を待ち構えていた。秋の空は高く、澄んでいた。観音岳の眺めが素晴らしい。甲斐駒も先っちょだけちょこんと見える。紅葉の中心は山腹に移っているようだった。

11:34 薬師岳登頂(2740m)

薬師岳
薬師岳が見えてきた(11:21)
八ヶ岳
薬師岳山頂から白砂の登山道と八ヶ岳(11:38)
砂払岳からは巨岩の間のアップダウンとなる。薬師岳小屋はそのまま通過。小屋からまもなく薬師岳山頂に着く。
山頂は広々としており、砂払岳同様の素晴らしい展望だ。岩に座ってのんびりと景色を楽しんだ。

12:01 薬師岳発(2745m)

観音岳
ウラシマツツジの紅葉と観音岳(12:09)
富士山
富士山と薬師岳(12:30)
薬師岳から観音岳への道は、標高2700mの広い白砂の道だ。正面に観音岳、右には裾野の広がる八ヶ岳、左は相変わらずの白峰三山、後ろを振り返ると富士山まで見える。この縦走路中でも屈指の素晴らしさで、晴天の下のこの道を歩けるだけでも来た甲斐があるというものだ。
ゆるゆると下っていくと、紅葉したウラシマツツジが貼り付いた岩がきれいだった。

12:36 観音岳登頂(2805m)

富士山
富士山と薬師岳(12:53)
ゆるゆると登り、観音岳登頂。山頂は前回はとても混雑していた記憶があるが、今回は人は少なかった。日曜の昼には、ほとんどの人はもう下山の最中なのだろう。
ここで初めて地蔵岳が見える。また、甲斐駒が全貌を現し、その奥には北アルプスもくっきりと見えた。富士山も八ツも白峰三山も申し分ない。しかし少し残念だったのは、ちょっと雲が厚くなってきたことだった。
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