鳳凰三山縦走 2005年9月17日-18日 テント縦走

9月17日 晴れときどき曇り

始発列車で甲府へ向かう。前日まで本州を支配していた大陸系の高気圧の涼しい空気が残っていて、朝は長袖のTシャツ1枚では寒いくらいだった。
甲府着は7時ちょっと過ぎ。夜叉神・広河原方面のバスは昼になるまでないので、タクシーを使う。同乗割り勘相手を探そうと思ったが、トイレに行ったりしてもたついている間に誰もいなくなってしまった。しかたなく二人だけでタクシーに乗った。芦安を過ぎて林道に入ってから猿の軍団を見た。今までこの道に猿なんていただろうか。運転手によるとここ数年で現れるようになったという。50頭近い群が道路を横切って、立ち往生したこともあったという。
夜叉神には8:30に着いた。約8,500円。この頃には日差しも照り付け、暑くなってきた。今回は長ズボンの他に短パンも持ってきたので、トイレで短パンに履き替えた。出発の準備をしている間にもタクシーが何台かやってきて、登山客を降ろしていった。今日は山は混みそうだ。

8:48 夜叉神峠バス停出発(高度計:1380m, 温度計:26.8℃)

登山道入り口脇の水場で水筒をマンタンにして出発。広い登山道をジグザグを切りながら登っていく。この道は段差らしい段差もなく、足をフラットにおけるのでとても歩きやすい。中間地点の五本松まできっかり30分。いいペースだが、異様に汗が出る。ほぼ同じペースで抜きつ抜かれつで歩いていた2人組がいたのだが、やはり同じように汗だくになっていた。

9:48 夜叉神峠(1775m, 25.3℃)

白峰三山
夜叉神峠から白峰三山を望む
高谷山方面の道を左に分けるとすぐに峠に着く。バス停からきっかり1時間だった。
雲が増えていたが、北岳のてっぺんに雲がかかっているだけで、白峰三山はなんとか見えていた。眺めを楽しみながらクッキーなどを食べてしばし休憩。
夜叉神峠からは少し下ったあと、急登が出現。ところどころに大きな段差もあり、峠までの道と一転して歩きにくくなった。だいたい30分くらいで急登は終了。登りきったところは尾根の突端で広くなっており、大パーティが休憩していた。

11:29 杖立峠通過(2115m, 22.2℃)

登山道
まっすぐ斜上する登山道
尾根の西側の林の中の斜面を斜上しながらじわじわと登っていく。まっすぐ登っていくので、遥か先を歩いている人が見える。これまた30分くらい登ると小さなベンチがあった。ベンチは他の人が休憩していたので少し下の倒木に座って休んだ。
ベンチからは10数分で峠に到着。休憩するにはいいところだが、休んだばかりなので通過した。峠には、鳳凰山でよく見かける鉄パイプのやぐらがあった。やぐらの近くに標識があり、苺平まで2時間半とか書いてあるがこれは大ウソだ。

12:08 山火事跡着(2270m, 2270℃)

山火事跡
山火事跡は展望がなかった
じわりと下り、じわりじわりと登っていく。ずっと樹林の中で眺望はないが、小さく開けたところが出現。ここが山火事跡かと思わせるが、違う。なおも引き続き樹林の中をじわりじわりと登っていくと今度は大きく開けたところに鉄やぐらがあって、ここがホントの山火事跡だ。
白峰三山が眺められるところだが、山はいつの間にか雲に覆われていて見えなかった。ひときわ赤く色づいている木があり、草原にはトリカブトが咲いていた。秋というにはまだ早い感じだ。

12:27 山火事跡発(2300m, 32.5℃)

ここの標識では苺平へは40分となっている。杖立峠からここまで40分くらいしか歩いていないので、あと2時間くらいになっているのが妥当なところだろう。そのことに気付いた60歳くらいの単独の男性が「これ違ってますよね、ね!」と興奮気味の口調で我々に同意を求めてきた。

13:06 苺平(2455m, 22.5℃)

登山道
南アルプスちっくな深い森を南御室へ向かう
またまたなかなかの急登を登って苺平へ。苺平は林間の分岐点でさほど広くはないが、多くの登山者が休憩していた。このあと南御室小屋へは下りなので、ここが今日の最高地点だ。
休憩中の人たちを観察すると、意外にも幕営装備の人が多い。ほとんど叫んでいるようなバカでかい声で話している学生の大パーティもいた。これはヤバい。先にテント場に行って静かそうな場所を確保することにする。というわけで、ほとんど休憩もとらずにすぐに出立。
苺平からの下りはいかにも南アルプスな深い森で、ぜひもう一度歩きたいと思っていた道。その思いが強すぎたのか、今回はさほどいいところだとは思わなかった。

13:39 南御室小屋着(2370m, 20.4℃)

思いのほか下って、ようやく下りきって道が平らになるとすぐに小屋に到着。
まだ14時前だったが、早くも10張ほどテントが張ってあった。しかしその中に学生の大テントが。早くも大騒ぎをしていて、先が思いやられた。とりあえず彼らから離れたところに陣取ったが、すげーうるさい。他にも関西弁の中高年パーティがいてこれまたいかにも「大阪のオバチャン」的な大声のトークで騒々しいことこのうえない。隣のテントの人は昼寝ができないとぼやいていた。
そうこうしているうちに苺平で遭遇した学生たちもやってきた。学生パーティがふたつか、とうんざりしていたら、なんとふたつは同じグループだった。大きく膨れ上がったパーティは動物園のサル山のようにやかましかった。タモリが真似する「ジャングルのサル」のような奇声を発する男がいて、まさしくサル山そのものだった。

テント場でまったりと過ごす

テント場
南御室小屋のテント場
テント場はよく整地されていて快適だった。水場は小屋のすぐ脇と近く、量も豊富でもう言うことなし。テントの中で少しうとうとしていたが、ジャングルのサルのキーキーという奇声で目が覚めた。外に出てみると、曇っていた空はいつの間にか晴れ渡っていた。林の向こうに雲が流れるさまは、大好きなマグリットの絵を思わせた。
夕食はレトルトのチーズハンバーグと野菜炒め。ハンバーグは解凍しきれていなかったが、お湯の中にドボンなので問題なし。ワインは奮発して、'02年のパヴィヨンの赤にした。これは激ウマだった。調理しながらちびちびやっていたら、だんだんと香りが開いていくのが楽しめた。
最終的にはテントは30張くらいになった。それでもキャパシティにはまだ余裕があった。サル共は酔いつぶれたのか我々よりも早く寝てしまったようだった。おかげで我々もよく眠れた。
夜中に一度目が覚めトイレに行くと、外はまぶしいほどの月明かりでヘッドライトが要らないくらいだった(この日は中秋の前日だった)。空には雲ひとつなく、翌日は晴れそうだと安堵した。そのまま地面に座り込み、30分以上も飽きずに月を眺めていた。暖かい夜で、Tシャツ+ウールシャツという格好だったが寒さは感じなかった。

9月18日 晴れのち曇り

3時起床。テント内の気温は13.7℃で、まるで夏山のような暖かさだった。朝食は前夜の残りご飯にマグヌードルを投入してラーメンライスにした。
明け方は月が山に隠れたせいで暗かった。真夜中の方が明るかった。

4:58 出発(2350m, 16.6℃)

ヘッドライトを点けて出発。さすがに夜明け前は寒いのでTシャツの上にウールシャツを着たが、日が出れば暑くなるだろうと予想して、下半身は短パン+スポーツタイツという格好にした。
小屋の裏からすぐに急登が始まる。急登が終わってからは夜明け前の空を右手に見ながらのなだらかな道になる。相棒は朝一番でまだ体が目覚めきっていないらしく、ペースが上がらない。かつりんの目標は砂払岳に早く着き、モルゲンロートの白峰三山を見ること。モチベーションも最高潮で、喘ぐ相棒を置き去りにしてハイペースで突き進む。
しかし樹林の中で夜が明けてしまった。木々の間から朝日が昇るのが見えた。完璧なオレンジ色で、これほどまでに美しい朝日は初めて見たように思った。だが日の出じたいには興味はない。赤く染まる白峰の山々が見たいのだ。

5:43 砂払岳の肩(2600m, 16.9℃)

富士山
夜明けの富士山
白峰三山
夜明けの白峰三山
ガマ岩を過ぎてから再び急登になり、これを登りきると見晴らしのよい砂払岳の肩に飛び出す。西南から東にかけての展望が開け、仙丈から荒川までの南アルプスの山々と富士山が目に飛び込んできた。甲斐駒もほんの先っちょだけ見える。夜は明けきっていて、日の出直後の世にも美しいあの数分間はすでに終わっていたが、満足感は最高だった。
高い岩の上に登り景色を眺めながら相棒を待っていると、風が出てきて急速に汗が冷え、寒くなってきた。

6:04 砂払岳発(2590m, 14.6℃)

薬師岳
巨岩の間を縫う、右・薬師、左・観音、左奥・甲斐駒
相棒は5分程度遅れて到着した。軽食をとったりしてから一緒に出発した。
花崗岩のザレた道を登る。森林限界を越えたので眺めは素晴らしい。
巨岩の間を縫うようにして薬師岳小屋へ下る。小屋前はちょうど出発する人たちでごった返していた。山頂はすぐなので、小屋では休まずに通過した。

6:32 薬師岳着

白峰三山
薬師岳山頂から白峰三山を望む
ザレた道を登り大快晴の山頂に到着。山頂一帯は広くて休憩適地。ザックを降ろして朝の風景を楽しんだ(ぐるぐる写真)。興奮してプロトレックの到着記録をとるのを忘れてしまった。
山頂標識のある広場の青木鉱泉側(東)には大きな岩が積み重なっていて、一段と高い。そこまで行ってから見渡すと八ヶ岳や富士山も見えた。

6:55 薬師岳発

登山道
観音岳を望む白砂青松の道を行く
北岳
左に北岳を眺めながら歩く
のんびり軽食をとったりしてから出発。山頂から観音岳方面に進む道は広い花崗岩の砂利道。周囲にはハイマツがあって、まさに白砂青松の趣だ。右手に八ヶ岳、左手には白峰三山で眺めも最高級だ。興奮してプロトレックの出発記録をとるのを忘れてしまった。

7:23 観音岳着(2865m, 25.6℃)

観音岳
観音岳に向かって登り返す
地蔵岳
観音岳山頂から甲斐駒と地蔵岳
白ザレの道を緩く下り、登り返して観音岳登頂。素晴らしい展望だ。
ここで初めて地蔵のオベリスクが見え、甲斐駒も再び視界に入る。振り返ると薬師岳の尖塔の向こうには逆光の中に富士山。白峰三山・荒川岳はもちろん、八ツの奥には噴煙を上げる浅間まで見えた。
ちょうど登頂ラッシュで、岩が積み重なった狭い山頂は大混雑。記念写真も順番待ちだった。

7:48 観音岳発(2850m, 23.6℃)

混んでいるし、日差しが強くなって、夏山のように暑いので下ることにした。ここでシャツを脱いでTシャツ1枚になった。
見晴らしのよい道を少し行ったあと、樹林の中を急降下していく。鞍部の直前で樹林が切れ、突如ザレに変わった。白砂の急な斜面には幾筋ものトレースが付いていた。

8:19 分岐通過(2720m, 21.2℃)

鞍部で、鳳凰小屋へのショートカットを分ける。なんとか日陰を探してザックを降ろし、みかんなどを食べた。正面にオベリスクが見える。賽の河原から鳳凰小屋へ下る急斜面のザレ道もよくわかる。
この先は赤抜沢の頭に向け急登になる。陽当たりのよい道は強烈な日差しで暑い。いくつかのパーティと数珠繋ぎになってじわじわと登る。みんな汗だくだ。木の間から再びオベリスクがちらちらと見えるようになると、ほどなく登りは終わった。
登りきるとオベリスクがすっきりと見えた。本当の赤抜沢の頭は登りきったところよりまだ少し先だが、とりあえずザックを降ろした。ひとしきり写真を撮ったりしてから赤抜沢の頭へ移動。

8:59 赤抜沢の頭(2815m, 31.3℃)

北岳
赤抜沢の頭から秋色の北岳を望む
地蔵岳
赤抜沢の頭から地蔵のオベリスクを望む
やはりオベリスクの角度はこちらからの方がいい。またひとしきり写真を撮って、この山行ではここが最後になる北岳の眺めをもう一度味わった。朝の光では分からなかったが、北岳は肩の下が薄く草紅葉になっているようだった。おそらく水場のあたりだろう。そういえば今日歩いてきたルートはほとんど紅葉していなかった。赤くなったウラシマツツジが稜線にぽつりぽつりとある程度で、カンバもようやく緑色が薄くなってきたかな、という感じだった。

9:36 賽の河原着(2775m, 34.5℃)

地蔵岳
青空に映える地蔵のオベリスク
賽の河原でまたまたザックを降ろす。大勢のおぢさんおばさんがオベリスクにうじゃうじゃ取り付いていた。「田中さーん、こっちよー」「やっほおおおう」などと喧しい。はしゃぎすぎだ。前回はオベリスクの肩までしか登らなかったので今回はてっぺんまで登りたかったが、事前にネットで情報収集したところではかなり難しいらしい。そのうえこの大渋滞で、もう肩まで登る気力も失せた。こんな渋滞に巻き込まれて時間を食うんだったら、下からこの眺めを楽しもう、ということにした。賽の河原からのオベリスクはずっと眺めていても飽きない。
賽の河原には地蔵がたくさん祀ってあるが、中には「安全登山祈願」とか書いてあるのもあった。賽の河原にいる地蔵の意味を知らずに奉納したのだろうか。しかし地蔵はそんなことにお構いなしに救済を続けるのだろう。

9:51 賽の河原発(2770m, 36.9℃)

甲斐駒
賽の河原から最後の甲斐駒を望む
登山道
白ザレの急な斜面を下る
最後にもう一度甲斐駒を見てから、下山にとりかかった。
まずは強烈な白ザレを下る。靴が真っ白になった。少しすると樹林帯に突入。足元は花崗岩のゴツゴツした石になった。これはあまり滑らないが、逆に靴底がひっかかってつんのめりそうになる。転んだりするとズル剥けそうなので怖かった。また6年前に思いっきり足を捻挫したのがこの樹林帯だったので、そんなトラウマにもさいなまれながらゆっくり下りた。

10:21 鳳凰小屋着(2430m, 25.8℃)

それでも30分ほどで鳳凰小屋に到着した。小屋のテラスは満員だった。水を補給し、トイレを済ませる。小屋主は例によって御座石下山をしきりに勧めているが、我々はドンドコ沢を青木鉱泉へ下る。御座石は前回歩いていたので違う道を歩きたいのと、花崗岩にかかる滝を見たいという理由からだ。しかしこの選択は誤りだったと後で思い知ることになる。

10:42 鳳凰小屋発(2430m, 26.3℃)


11:23 五色の滝(2225m, 24.5℃)

小屋から河原沿いを歩くようになるが、しばらくすると林の中に入る。最初の五色の滝まではだいたいが緩い下り。コースタイムより10分近く早く到着。滝は登山道からも見えるが、ちょっと下ると河原に出られる。我々も下って見に行ったが、暑いので河原までは出なかった。水量も多く結構迫力のある滝だ。写真を撮ったらすぐに分岐に戻って腰を下ろした。分岐は木陰の小さな広場で涼しく、休憩にはもってこいだった。

11:57 白糸の滝(2090m, 26.5℃)

白糸の滝
白糸の滝
次に白糸の滝へ。ちょっとした急坂になり、坂の途中に滝の標識があった。この滝もやはり道から見えた。白「糸」という割には豪快な滝だ。ここもコースタイムより10分も早く着いた。このペースで行けば14時過ぎには青木鉱泉に着けるだろうと一安心した。
標識の周りは狭いうえに斜めで、休憩には不適。そしてここから怒涛の下りが始まった。かなり大きな段差が続き、激しくキツい。急坂の山道は数多くあれど、これほど段差が続くことはないと思う。ストックを使っているのに、腿がガクガクしてきた。さらに追い討ちをかけるように崩壊地まで出現。ほんの数mの幅なのに大きく高巻かなければならない。もうカンベンしてくれい。

12:51 鳳凰の滝(1815m, 25.3℃)

鳳凰の滝の標識を通過。滝を見るには登山道を離れなければならないが、もうそんな気力はない。
少し下ると今度は平坦になった。高度計の値は全く下がらない。白糸の滝を出てから1時間が経過した。コースタイムは1時間なので、もう着いていてもおかしくない。しかし高度計を見ても、標高は南精進ケ滝よりまだ300mも高い。御座石コースを下りなかったことを激しく後悔した。あっちは一度歩いていて、概要はわかっている。あっちはこんなに道はひどくない。そういやあっちは甲斐駒や地蔵や八ツや富士山が見えるんだよなあ。

13:17 南精進ケ滝の分岐(1655m, 26.3℃)

結局コースタイムより20分遅れで南精進ケ滝の分岐に到着。地図上では、急な下りはここで終了だ。なんだか意識がもうろうとしていて途中の記憶があいまいだ。
分岐には2人しか座れない小さなベンチがあった。分岐の標識には、滝へは100mとあった。ここも当然パス。座って足を休めるが、じーんとしびれるような感覚は消えない。青木鉱泉から韮崎行きのバスは15時発。コースタイムは80分で、残された時間はあと90分。果たして間に合うだろうか。
南精進ケ滝の分岐からもひたすら平坦な道。それどころか緩く登ったりする。40分近く歩いたところで標高は50mほどしか下がらない。とにかく無言で歩いていると、それまでひたすら斜面をトラバースしていた道が、急下降に変わった。ザレザレの道を猛烈にジグザグを切って下る。はるか下に先行者のグループが見えた。道はすべりやすく、落石を起こさないよう注意しながら歩く。それがまた神経を遣うので精神的にもキツい。もう急坂はないと思っていたのでなおさら打撃が大きい。一息に標高差150mを下ったところで山道と川道の分岐に出た。

14:14 分岐通過(1450m, 26.4℃)

登山道
川沿いコースを青木鉱泉目指し下る
標識には「山沿いの道50分〜60分、川沿いの道40分〜50分」とある。当然川沿いを選択。40分〜50分という幅がイヤらしい。40分なら問題ないが、50分かかったら15時のバスには間に合わない。なんとも落ち着かない気分のまま、休みもとらずに歩き出す。
端が欠けた桃のような奇妙な形のでかい岩を過ぎ、おそらくダム工事用の道をだらだら下る。林道といった感じだ。途中で一時的に直射日光の河原に出るが、ほとんどは木陰の道なので助かった。

14:45 青木鉱泉着(1245m, 28.2℃)

桃の岩から約10分で「←青木鉱泉」という標識が。標識にしたがって左に曲がりキツリフネの咲く林の中へ入ると、先ほど分岐した山沿いの道が合流し、青木鉱泉の趣のある建物が意外にもすぐ近くに建っていた。バス停はそのまま駐車場を抜けたところ。分岐からは30分で着いたので、なんとかバスには間に合った。

帰路

バスは、広河原 - 北沢峠間の南アルプス市営バスのような、定員20人ちょっとのマイクロバスだった。もう1台空車があり、御座石温泉と無線で連絡をとりあって乗客の人数を確認していたので、乗りきれないということはないだろう。林道はめちゃくちゃ揺れ、運転席の横に積まれた大量のザックが崩れないかと心配になった。車中からまたしても猿の群を見かけた。
バスは予定時刻を10分くらいオーバーして韮崎に着いた。特急「はまかいじ」は指定は満席だったが、意外にも自由席は空いていて、ふたり並んで座れた。列車のトイレで、タイツを脱いだりTシャツを着替えたりした。はまかいじに乗るのは初めてで、八王子で乗り換えなくてすむのがなんだかヘンな気がした。
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