Beyond Plastics ニュースリリース 2022年4月19日
コカ・コーラは、プラスチック・リサイクルについて
世間を誤解させるために、”裏切り科学男”ビル・ナイを雇う。
Beyond Plasticsは、記録を正すために独自のクレイアニメで応答する。


情報源:Beyond Plastics, News Release, April 19, 2022
Coca-Cola Enlists Bill Nye, the Science Sellout Guy to
Mislead the Public About Plastics Recycling;
Beyond Plastics Responds with a Claymation Video
of its Own to Set the Record Straight

https://www.beyondplastics.org/plastics-recycling-is-a-lie
 or pdf version

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2022年5月月11日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/plastic/news/220419_Beyond_Plastics_Coca-Cola_Enlists_
Bill_Nye_the_Science_Sellout_Guy_to_Mislead_the_Public_About_Plastics_Recycling.html

 地球の日(4月22日金曜日)に向けて、コカ・コーラは、コカ・コーラのプラスチックボトル(ペットボトル)の大部分はリサイクルされていないのに、それらはリサイクルの成功物語であると世間を騙して信じさせようとして、科学男(Science Guy)のビル・ナイ(訳注1)を使ったアニメーションビデオを発表した。

 コカ・コーラは、1分間に20万本の新しいプラスチックボトルを生産し、世界中で毎年 1,120億本の清涼飲料ボトルを合計で約 300万トンのプラスチック容器とともに販売している。コカ・コーラのプラスチックボトルの大部分はリサイクルされておらず、11.5%だけがリサイクルされた材料で作られているにすぎない。コカ・コーラのプラスチックボトルの多くは、散らかって最終的には世界中の川や海に入り込む。

 これらの事実にもかかわらず、ビル・ナイはビデオの中で、”コカ・コーラ社の善良な人々は、我々の世界的なプラスチック廃棄物問題に取り組むことに専念している”と主張している。

 これに応えて、”Beyond Plastics”は、記録を正すことを目的とした独自のクレイアニメ(訳注:被写体を主に粘土を材料として作成したアニメ−ション)を発表した(Plastics Recycling is a LIE)。”ビル・ナイにコカ・コーラ社が環境によさそうな印象(グリーン・カバー)を与えさせることは問題である。真実は、増大するプラスチック汚染の危機から抜け出す方法をリサイクルすることはできないということである。代わりに、プラスチックの生産、使用、廃棄を大幅に削減するためには、コカ・コーラがしばしば反対する新しい法律や規制を制定する必要がある”と、”Beyond Plastics”の代表で元 EPA 地域管理者のジュディス・エンクは述べている。

 ”Beyond Plastics”は、ボール紙、紙、ガラス、金属などの材料のリサイクルを求めているが、環境保護庁によると、プラスチックのリサイクルはうまくいっておらず、米国でのリサイクル率はわずか 9%であると指摘している。ほとんどのプラスチックは、最終的に埋め立て地、焼却炉、またはごみ処理場に廃棄される。

 ”プラスチックの生産”は、主に低所得者層のコミュニティや有色人種のコミュニティで行われているが、大量の温室効果ガスの排出と有害な大気汚染を引き起こす。プラスチック業界は、それがひどい失敗であったとしても、プラスチックのリサイクルについて世間を誤解させるために何百万ドル(何億円)も費やしてきた。ビル・ナイは、コカコーラのグリーンウォッシング広告キャンペーン(訳注:環境に配慮するふりをする欺瞞的広告キャンペーン)に参加することで彼の評判を傷つけた”とエンクは述べた。

 コカ・コーラは、プラスチックのリサイクルの可能性について誤解を招くような動画を公開しているが、プラスチックごみを減らしてリサイクルを促進するための唯一の最も効果的な政策である、ボトル法案としてよく知られている容器預託法(container deposit laws)に反対し続けている。これらの法律は、飲料容器の回収率とリサイクル率を高めるのに非常に効果的であるが、主にコカ・コーラや他の主要な飲料会社や業界団体がこの常識的な環境政策を阻止するために何十年も費やしてきたため、現在、米国のわずか 10州で採用されているに過ぎない。

 コカ・コーラのプラスチックボトルはプラスチックごみの主な発生源である。国際的な非営利団体 Break Free From Plastic が実施した世界中のプラスチック汚染の毎年のブランド監査は、コカコーラがプラスチックの最大汚染源であることを一貫して示している。 2021年、コカ・コーラは 4年連続で世界のプラスチック汚染者のトップに君臨した。

 全米科学技術医学アカデミーの2021年12月1日のレポート「世界のプラスチック廃棄物における米国の役割を考慮して」によると、毎年 880万トンのプラスチック廃棄物が世界の海に流入している。 2016年、米国は他のどの国よりも多くのプラスチック廃棄物を生成した。政府の全てのレベルで直ちに行動を起こさなければ、海洋に侵入するプラスチック汚染は 2040年までに 3倍になると予測されている。

 世界最大のプラスチック汚染者らによる弱い自主的なリサイクルの取り組みではなく、プラスチックの義務的な削減こそが我々のプラスチック汚染問題に対する唯一の効果的な長期的解決策である。科学裏切り者のビル・ナイはもっとよく知るべきである。

 コカコーラのグリーンウォッシングビデオに対する ”Beyond Plastic” のアニメーションは、https://bit.ly/plastics-recycling-is-a-lieで見ることができる。
訳注1:ビル・ナイ
  • ビル・ナイ (教育者) ウィキペディア
    ・・・アメリカ合衆国の科学教育者、テレビ司会者、コメディアン、俳優、作家、科学者であり、アメリカで1993年から98年まで放送されていた科学教育番組「Bill Nye the Science Guy」の司会を務めていたことで有名な人物である。・・・
訳注:コカ・コーラ関連情報


化学物質問題市民研究会
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