NOETB 2016年8月4日
カナダ 提案された優先順位付けアプローチに
関するコンサルテーションを開始

リン L. バーガソン及びカルラ・ N. ハットン

情報源:Nano and Other Emerging Technologies Blog, August 4, 2016
Canada Begins Consultation on Proposed Prioritization Approach
for Nanoscale Forms of DSL Substances
by Lynn L. Bergeson and Carla N. Hutton
http://nanotech.lawbc.com/2016/08/canada-begins-consultation-
on-proposed-prioritization-approach-for-nanoscale-forms-of-dsl-substances/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2016年8月28日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/
160804_NOECTB_Canada_Prioritization_Approach_for_Nano_DSL_Substances.html


 2016年7月27日、カナダ環境気候変動省(ECCC)とカナダ保健省(HC)は、国内物質リスト(DSL)(訳注1)上のナノスケール形状物質のための優先順位付けアプローチ提案に関するコンサルテーション(訳注2)を開始した。カナダはこの提案されたアプローチを、(1) カナダの既存ナノ物質の優先順位リストを作成し、(2) ナノ物質のリスク評価の優先順位を決定するために利用可能な情報がどのように利用されるかを特定し、(3) 提案される優先付けプロセスの結果の概要を示す−ために利用するであろう。2015年にカナダは、カナダ環境保護法1999年(CEPA)第71条の下に義務的な調査を実施した。2014暦年に206種類のナノ物質のどれでも100kg以上の量で製造又は輸入した事業者に適用された。調査の結果に基づき、カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、カナダにおいて確認された既存のナノ物質の最終リストを準備し、それに続く優先付けのためにそのリストを利用するであろう。カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、可能ならば調査により特定された物質を優先づけを目的として、より広い親ナノ物質のグループにまとめることを提案している。カナダ環境気候変動省とカナダ保健省によれば、これは、個別の物質毎のアプローチを考慮するより、危険性と量をもっとしっかり観察し、適切にデータを使用することを可能にする。カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、サブグループ化(用途、独自の特性、又は機能分化などによる)のためのさらなる検討が優先づけ及び/又はリスク評価のために必要かもしれないと述べている。

 親物質に基づく可能性ある21種のグループは下記を含む。
  • 酸化アルミニウム
  • 酸化鉄 (II)/(II/III)
  • 改質シリカ
  • 酸化ビスマス
  • 酸化マグネシウム
  • 酸化シリコン
  • 炭酸カルシウム
  • 酸化マンガン(II & III)
  • 酸化セリウム
  • ナノセルロース
  • 二酸化チタン
  • 酸化コバルト (II)
  • ナノクレイ
  • 酸化イットリウム
  • 酸化銅 (II)
  • 酸化ニッケル (II)
  • 酸化亜鉛
  • 量子ドット
  • 酸化ジルコニウム

 ナノ物質を優先付けするために、カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、調査から量と用途情報、暴露ルート、及び危険性に関する科学的情報を含む多様な情報源を考慮するであろう。カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、量、分野(報告された北米産業分類システム(NAICS)コードに基づく)、及び用途(報告された物質機能コードに基づく)に関する情報のような調査から得られた情報を使用して、人と生態系の暴露を分けて調査するであろう。カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、調査期間中に報告されず、情報の自主的な提出のなかったナノ物質は、商業的に流通していないとみなされ、これらのナノ物質の優先付けに関するさらなる行動はとらないと述べた。直接的な人間への暴露は下記のようにランクづけられるであろう。
  • 低ランク:産業及び/又は商業用にのみ使用される物質(消費者用途ではない)又は工業製品中に含まれるが漏れ出さない物質
  • 中ランク:工業製品中に含まれ、通常の使用中に漏れ出す可能性のある物質
  • 高ランク:消費者により直接的に使用され、消費者製品中、又は子どもによる又は子どものための使用が意図されている工業製品に含まれる物質

 生態系暴露の優先づけは、カナダで使用されている量、及び環境暴露シナリオの可能性ある3つのタイプを含んで、調査を通じて報告された情報に基くであろう。
  1. ナノ物質の製造
  2. 最終使用製品の製造;及び/又は
  3. 最終使用製品の使用

 人の健康と環境への潜在的な危険をランク付けるために、カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、ピアレビューされた文献、カナダ政府の他の活動から利用できる情報(例えば化学物質管理計画(CMP))及び国際的な報告及び活動(例えば、経済協力開発機構の文書)を含んで、様々な筋からの情報を考慮するであろう。カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、ナノ物質自身の毒性学的影響に関する利用可能な全ての情報(例えば利用可能な毒性学研究の結果)はもちろん、ナノ物質の特性を検討することにより、人に及ぼす健康への危険をランク付けるであろう。カナダ環境気候変動省とカナダ保健省は、標準化され認められたテストガイドラインに準拠する研究を利用して、全ての環境系(例えば、土壌、底質、大気、水など)、生物種、及び暴露期間を通じて最も影響をうけやすい評価項目に目を向けることにより、生態系をランク付けるであろう。優先付けの結果は、現時点ではさらなる行動を求めないであろう。リスク評価のために優先づけられたナノ物質;及び不十分な情報のために将来の検討として保留されるナノ物質。提案された優先付けアプローチに関するコメントの期限は2016年9月25日である。


訳注1:DSL
カナダ環境省/国内物質リスト(DSL)分類審査計画

訳注2:DSL 上のナノ物質関連情報



化学物質問題市民研究会
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