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化学物質問題市民研究会の提案
ナノ物質管理の枠組み
ナノ物質管理法の早急な制定を求める

安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年7月30日
更新日:2010年4月12日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/nano_kanri/nano_kanri.html


 ナノ物質管理の枠組みに関する当研究会の提案は、下記の文書からなります。必要に応じて新たな文書の追加、及び、これらの文書の修正・追加を行い、改良しています。
  • 「ナノ物質管理法」制定の提言 (2010年4月12日版)(HTML
  • ナノ物質管理法(試案)の概要 (2009年9月12日版)(HTML
  • ナノ物質管理法(試案)概念図 (2009年9月12日版)(HTML

提案の趣旨


 ナノ技術に基づく応用技術や製品は、世界中で、非常に広い範囲で市場に出始めています。一方、ナノ物質の有害性を示唆する数多くの研究も報告されています。しかし、世界中どこの国にもナノ技術に関する安全基準はなく、ナノ物質、ナノ技術応用製品、そしてナノ応用技術は管理の対象になっておらず、安全性が確認されないままに市場に出されています。

 一方、2009年5月11−15日、スイス・ジュネーブで開催された第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)において、各国が取り組むべき喫緊の政策課題としてあげられた4つの課題のひとつは、「ナノテクノロジーと工業的ナノマテリアル」でした。

 日本では、2008年2月に、カーボン・ナノチューブがラットに中皮腫を引き起こす可能性を示す研究が報告されると厚労省・環境省・経産省は急遽、検討会をそれぞれ開始し、2009年3月31日までにナノの安全対策に関わるガイドラインや報告書などを発表しました。

 しかし、これらは、ナノ関連労働現場の法的拘束力のない安全指針であり、ナノ物質/ナノ製品の製造から使用、廃棄にいたるライフサイクルを包含する法拘束力のある「安全管理/規制」ではありません。また、「ナノ物質のヒトや環境、そして社会に及ぼす影響に対して国はどのように対処して行くのか」についての展望や安全政策のあるべき姿を包括的に示したものでもありません。ナノの安全管理に関する公開の議論もなく、行政の行う検討会への市民参加もありません。

 これはナノ技術、合成生物学、情報技術といった、すでに走りだした”新規”技術分野だけでなく、今後当然出現するであろう”新興技術分野”において、技術の進展と、人の健康、環境及び社会に与える影響に関して、どのように捉え、どのように対処すべきかについて、きちんとした議論がなされていないことが根本的な原因です。

 ナノ物質、ナノ応用技術、及びナノ製品が人の健康と環境に及ぼす有害影響を最小にするために、国は、意味ある市民参加の下に、ナノの安全政策を早急に策定し、安全性試験基準及び評価基準を早急に確立し、すでに市場に出ているものを含めて、全てのナノ物質、ナノ応用技術、及びナノ製品を対象にした法的強制力のある「ナノ物質管理法(仮称)」を早急に制定するよう提案します。

 また、法制定が実現するまでに時間がかかることが予想されますが、その間、ナノ管理を放置しておくことは許されません。予防原則に基づく過渡期対応の暫定的管理を早急に実施するよう提案します。



化学物質問題市民研究会
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